前回のブログでお知らせしましたように、昨日北海道スピードパーク(HSP)に行ってきました。
私自身、初めてのサーキットということになるんですが、まさかあのようなことが起きるとは…。
本日19日の朝刊でも報道されているところですので、既にご存じの方も多いと思います。
コース外に飛び出す
18日午後1時45分頃、倶知安町峠下のサーキット場「北海道スピードパーク」で、レーシングカーがコースから外れ、運営スタッフの八雲町、同町職員Aさん(28)と札幌市、会社員Bさん(46)をはね、Aさんが頭を強く打つなどして間もなく死亡、Bさんは右腕を打撲した。
運転していた同市白石区、医師Cさん(42)は頭部打撲などの軽傷を負った。
倶知安署の発表では、愛好家ら14人によるレース中で、Cさんの車は左カーブを曲がりきれずガードレールに衝突し、そのままコース外に飛び出た。
レースでは最高速度が時速180キロまで達し、路面が雨でぬれていてスリップした可能性があるという。
(2011年9月19日 読売新聞)
【お断り】文中、個人情報に関する記述があったため、内容を一部修正しています。
まずは、今回亡くなられた方のご冥福をお祈り申し上げますが、この件について触れることに、正直悩みました。
何せ昨日の今日で、現在警察が鋭意捜査中の案件ですし、後述しますが、私自身、事故発生の瞬間を直接見たわけではなく、これからお話することも、人伝いに聞いた話と憶測が殆どになります。
しかしながら、モータースポーツにもこういった側面があるということを知っていただきたく、あえて書くことにしました。
それでは、拾ってきたコース図をもとに作成した、今回の事故の概略図から御覧ください。
当日は「北海道スーパープロダクションレース」(HSPR)の第3戦が行われていて、その合間の時間に、勤務先の会社ともう一つの団体さんが、午前・午後の15分間各1回づつのサーキット走行会を開催することになっていて、そのお手伝いで私もHSPに行くことになりました。
私が現地についた頃辺りから霧雨のような細かい雨が降ってきましたが、レース参加者による午前中のフリー走行が始まった頃からだんだんと雨脚が強くなり、走行会が始まる頃にはコース上に水が浮いてるのを確認できるぐらいまでひどくなりました。
更に、この雨に加えて、当日は今シーズン一番の寒気が入ったとかで、吐いた息が白くなるほどの寒さとなり、山間部にあるサーキットであることも手伝い、ガタガタと震えながらの観戦となりました。
最初は、ピットレーンからS字コーナーが見渡せる場所に陣取っていたのですが、小康状態になりつつも一向に雨が止む気配がなく、もう一つの団体さんの走行会が始まって見ていたんですが、FR車が主体だったこともあって、ところどころ浮いていた水たまりのせいで、テールを若干振りながらS字コーナーを立ち上がっていくといった状態でした。
そんな状況下で始まった、ウチの会社の走行会。
私が乗ってきたレンタカーのMG-Fに乗った社長と、社長のお知り合いがドライブするランエボがハイペースで駆け抜けていく中、会社の常連さんが乗るもう一台のMG-F、会社のお客さんで今回初めてサーキットを走る180SXとSW20(元ウチの会社のデモカーらしい…)がやや抑え気味のペースで走るといった展開で、午前の部が無事終了。
私も見ていたんですが、ウェット路面を物ともせず突っ走っていく社長とエボのドライバーに、思わず舌を巻いてしまいましたが、走ってきたメンバーが戻ってきてから聞いたのは危なかったの一言。
社長も「接地感がイマイチなんだよなぁ~」とのことで、私も手伝ってMG-Fの車高を下げ、午後からの走行に備えたところで昼食に。
ウチの会社ではこういったイベントの際、コンロ持ち込んで焼肉と言うのが恒例になっているんですが、ピットレーン内で火気が使えないことから、ギャラリーの更に上にある小高い丘の上に場所を移すことになりました。
ちなみに、会社の常連さんは心得ておりまして、こうしたアウトドアグッズ持参で来られる方がほとんどだったりします(^^;
HSPに行ったことのある方はご存知だと思いますが、ギャラリーの上にレーシングスクール用の施設があって、1~3コーナー以外のコースが見渡せるんですよね。
ただ、ギャラリーの傾斜が結構急で、日頃の運動不足が露呈してしまいましたが(^^ゞ
炭の火おこしも順調に行き肉をつまみ出したところで、ホンダB型エンジン搭載車クラス(BTCC)の決勝レースから午後のプログラムがスタート。
ちなみに、この日行われたレース決勝は4つあったのですが、最後の60分耐久レースを除いて20~25周のスプリントレースです。
この時点でも、やや強めの雨が降り続いていて、当然路面は結構なウェット状態。車も、水煙を上げながらの走行を強いられています。
我々は文字通り「高見の見物」となったわけですが、流石にあの雨の中ですから、先頭車以外はハイスピードで走っても視界が効かないのは結構辛いと思います。
そうこうしているうちにBTCCの決勝が表彰式まで無事に終了。シャンパンファイトも結構寒かったと思います。
そんな中、3位入賞のEKシビックのドライバーさんは、19日に十勝インターナショナルスピードウェイで行われるレースにも参戦されたそうですけど…。
そして、問題の事故となります…。
参戦台数も少ないということもあってか、シビックメインのB16型搭載車のみのクラス(B-16クラス)と、それ以外のNA車クラス、昭和57年までに生産された車で競うヒストリックカークラスと、今回1台のみエントリーだった軽カークラスの、合計14台による混走レースが13:30にスタートしました。
途中、ヒストリックカークラスの2台がリタイヤとなったのですが、突然赤旗が振られてレース中断。
コース上を走る車も、次々とピットへ戻って行きます。
ただ、昼食場所から見渡してみても、特段これと言ってコース上にトラブッた車がいるわけでもなく、サーキット所有のレッカー車が1コーナーの方へ走っていったので、てっきりコースアウトしてサンドトラップにでもはまったかと思っていたら、突然聞こえてくる救急車と消防車のサイレン。
この時点で、尋常ではないことは判断できました。
そして放送で…
「只今、重大事故が発生したため、レース及びイベントを一時中断しております」
とのアナウンスが。
社長と数人の参加者が1コーナーの方へ駆け寄っていったので、私もあとについていくことに。
そして、そこで見たものは…。
少々乱雑な配置となった、1コーナー周辺にあるスポンジバリア
(概略図中のピンク色の実線)。
ガードレール
(同青色の実線)にくっきりと残った衝突痕と、衝突で出来た歪み。
その傍らにあった2番マーシャル詰所のプレハブは、原型をある程度留めながらも破壊されているように見え、すぐそばには走行順路とは逆をむいたEKシビックRが止まっており、何が起こったのかはすぐに想像がつきました。
つまり、
レースの最中に何らかの要因でシビックがコースアウトし、スポンジバリアとガードレールに激突。
そのはずみで車体がガードレールを飛び越えてしまい、マーシャルの詰所に飛び込んでしまった、ということ。
当然レース中なので、詰所にはマーシャルが居るわけでして、
詰所の中にいた2人に襲いかかったというわけです。
今回亡くなられた方は
シビックの下敷きになってしまい、心肺停止状態で発見されたとのことでしたが、聞いた話だと、八雲町役場に採用されて、まだ間もなかったらしいようです。
その後、倶知安警察署の警察官が到着し現場検証が始まったことから、レース自体も、その後のプログラムも中止。
我々を含めた参加者全員が、17時頃までその場に待機することになりました。
その後現地解散となったのですが、さすがにあのアクシデントを見たあということもあり、再びMG-Fで慎重に運転して帰宅し、翌朝、19日の朝刊の記事を読んだという流れになります。
今回サーキットに初めて行き、勝手が何もわかっていない私が言うのもおこがましいのですが…。
確かに、一般公道ではありえない環境で走れるサーキット走行は、ある意味では安全だと思います。
しかしながら、
あのF1ですら、重大な事故が起こってしまうのです。
実際にレースや走行会で走る方もそうでしょうけど、あのアイルトン・セナが亡くなったニュースを、リアルタイムで知った私と同年代の方なら、尚更その思いは強いと思います。
まして、今の会社はサーキット走行会を開催するほど、サーキットとは縁深いところです。
今後、そういった車に接する機会が多くなるであろう私も、
走られるお客様の安全を最優先に考えて仕事を進めなくてはならないと考えさせられた、今回の事故でした。
それにしても、HSPRもあと1戦が残っているんですが、今後どうなっちゃうんでしょうか…。