
小一時間のドライブをスバル360で楽しみなが修理屋さんに到着した。今日はシャッターが開いている。
あの時と同じ工場の角っこに、あの時のまま置いてある赤い車が目に飛び込んできた!
高揚した気持ちを抑え、出迎えてくれた、ご夫婦に一先ず挨拶をして、車を見させて貰った。
五年間、幾度と無く思いだして想像した。想像が膨らみ美化される事が多いが、こいつは違った。
思っていたより、遥かに雰囲気が素晴らしかった。
年配のご主人が近くに居たが、何て話しかけたら良いか分からない。
親戚と私は、この時点では、ただ車を見に来た物好きな二人組以外の何者でもない。
ご主人「昭和37年に日本に20台、初めて正規輸入されたけど、殆んどが進駐軍の外人さんが買って、帰国する時に持って帰ったって話だよ。」
私「これは、それじゃディーラー車なんですか!?」
ご主人「そうだね。確か日英自動車だったかな。私で3オーナー目」
私「凄い…」
ご主人「距離はまだ7万キロ位だよ。車検証見るかい?」
私「是非、お願いします。」
右ハンドルでキロ表示のメーター、内装は使い込まれているが、オリジナル。昭和37年はMGA最後の年だから、正規に型式の入った車は20台だけだった事になる。
数十年、乗らずにいたらしい。
「欲しい!」
しかし、絶対に、ご主人はこのMGAに思い入れや、様々な思い出、愛着が有るに違い無い。手放す気なんて無いだろうなぁ…ご主人に愛されているのなら、車の居場所はココが良い。それなら清く諦められる。見させて貰って話しが出来ただけでも嬉しい。そう思っていた。
そこに、先日の電話でお話しした、おばあさんがお茶が入ったと事務所に招いてくれた。
お茶を頂きながら、ご夫婦の昔話しに盛り上がった。以前は大通り沿いに有って、従業員も何人も居て、プリンス自動車の販売協力店をしていた時の話。ジャガーに乗ってるお得意様のお医者さんに代車でMGを貸した話。ご主人がハコスカGT-Rに乗ってた時の話しで、おばあさんが「燃料代が凄い掛かってね、100リッタータンクだったしね」
「100リッタータンク」って言葉が、まさかおばあさんの口から聞けるとは…驚いた!
とても楽しく2~3時間は話し込んだが、結局、このMGAが欲しいとは言い出せなかった。
すっかり日が暮れていた。
ご主人が店仕舞いで工場の方に行ったので、事務所には私と親戚とおばあさんの3人になった。
おばあさんから「MG、欲しいんでしょ?実は主人は病気でね、もう仕事は出来ても数ヶ月。跡継ぎも居ないしね。だから、工場をその内閉めるんですよ。昔にね、MGは何回か売ってくれって言われた事も有ったけど、みんな主人は断って…でも、もう持ってても乗らないだろうし、工場の中も片付けなきゃいけないし。そう思っていた所に丁度あなたから電話が来たんですよ。私から主人に話して置くから、欲しいんだったら何度か通ってみてください。」
涙が出そうになった。
無理に譲って貰う気は無い。でも、ご主人が良いよって気持ち良く言ってくれるなら引き継ぎたい。
通ってみよう!
Posted at 2017/02/20 03:40:47 | |
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