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2006年09月27日

26年目のCOSMOS~第1夜「宇宙の浜辺で」~

26年目のCOSMOS~第1夜「宇宙の浜辺で」~ 1980年の11月3日から13日間にわたり、朝日放送系のテレビ局で「COSMOS」は放送された。日本惑星協会サイトのカール・セーガンの項にその番組企画から放送に至るまでの経緯が詳しい(なにしろ放送に関わった当事者が書いている)が、そこに記されているような『大人の計算』がどうであれ、折りしもヴォイジャー1号の土星最接近のタイミングと噛みあったこともあって、そりゃもう大興奮の13日間だった。

 そのCOSMOSのDVDが発売されていると言う話は、数年前から知っていた。ただ、12歳の僕が見たカール・セーガンが横内正の声で喋ったのに対してDVDでの彼は英語で話しているとか、せっかく日本語字幕がついているのに幾許かの(かなり重大な)誤訳・省略があるとかで、ちょっと手を出せずにいたのだ。米国の業者に注文しなければならない(らしい)ことも、面倒くさがりな僕には結構なハードルだった。

 先日ちょっと調べ物のついでに改めて見てみると、どうやら問題部分が(完全ではないまでも)改稿されているらしいとのレポートを見つけた。渡りに船と言うわけではないがアマゾンドットコムで検索すると、あるじゃないですか
 税込み15,879円は決して安価ではないけれども、これを買わない手はない。早速注文し、それが今夜(27日)配達された。

 およそ2週間かけて放送された長編番組なので、流石に一気呵成に見ることはできないし、するつもりもない。だって、そんなことしたら勿体ないではないか。

 今夜は、第1夜「宇宙の浜辺で」を見た。セーガン博士の実際の声を聞いて、ああなるほどと横内正に吹き替えを依頼したのが納得言った。声質が似ているのだ。
 また、DVD化した時点での最新の知見にアップ・デートしたと思われる部分があることに気づいた。具体的には、宇宙の「泡構造」が映像に取り入れられている。既に購入した人の感想などを読んでみると、そのほかにもハッブル宇宙望遠鏡で撮影した写真に差し替えられている部分もあるのだとか。うーむ、科学的に誠実な姿勢だ。

 画像の品質は、まぁ26年も前の番組(恐らくフィルム撮影)なので当たり前ではあるのだけれども、民生用が普及し始めたばかりの頃のVHSビデオで標準録画した程度で決してクリアではない。
 マイナス点をさらに挙げると、日本語字幕にやはり間違いや省略、誤訳とまでは言わないがニュアンスに疑問のつく表現が用いられていることなどが少し気になる。そういうことが気になるくらい、セーガン博士の言い回しや表現は吟味されているのだ。
 僕は決して英語に堪能と言うほどではないが、博士の発音はとても聞き取りやすく丁寧で、しかも平易なので大変理解しやすい。多少なりとも英語が理解できてよかったなぁとつくづく思う。ところで「COSMOS」って「コスモス」じゃなくて「コズモス」って発音するんだ。普段使う単語じゃないから、この年まで知らなかったよ。

 ともあれ内容は、26年も前の作品であるにも拘らず、すぐれて今日的だ。
セーガン博士は説く。紀元前300年くらいの時期、人類という種はアレキサンドリアの地に極めて高度な知性の集積を実現した。アレキサンドリア図書館だ。ここでの研究により、人類は地球は球体であることやその直径を論理的に導き出し、さらに地球が太陽の周りを公転することを解き明かしていた。
 しかしそのその成果のほとんど全ては、前47年のカエサル侵攻の際に破壊され焼き尽くされてしまう。人類が失われた知の成果を再び取り戻すには、16世紀まで待たなければならない。
 無意味な仮定だが、仮にもしカエサルの軍勢がアレキサンドリア図書館を打ち壊すことなく、その後も引き続き研究を篤く守っていたならば、あるいは人類の知見は、いまよりも1500年分進んでいたかもしれない。眩暈がするほどの損失だ。

 第1夜の終わりには、セーガン博士の『宇宙カレンダー』が登場する。およそ150億年の宇宙の歴史を、地球の1年に圧縮して喩えたものだ。それによると地球上に最初の人類が発生したのは、12月31日の夜10時45分。初めての文明が生まれたのにいたっては、深夜11時59分51秒。人の世の喜びや悲しみや怒りや楽しみの歴史は、たったそれだけのものに過ぎない。そのさらに最後の、ナノ秒にも満たない時間の内で、150億年もの時をかけて宇宙が作り出した『知性』が、宇宙自身の姿を知ろうとしている。生命はあまりにも矮小で、しかしあまりにも貴い。

 セーガン博士の言わんとすることは明快だ。人類は、己の存在そのものが己の生存を脅かすような種になってしまった。150億年の時の果てにようやくたどり着いたこの果実を、むざむざ台無しにしてしまうのかい?そんなもったいないことはないんじゃない?と。
 番組が制作・放送された1980年頃、世界は東西冷戦の真っ只中だった。人類が「自らの手によって滅ぶ」未来絵図が、容易に描きえた危機の時代だ。21世紀の今は違う?どうだかな。
 確かに冷戦を作り上げた片方の極はいまや零落し見る影もない。確かに時代背景は変わっただろう。けれども世界は一向に平和になんかなっていない。 その点からもカール・セーガンのCOSMOSは、今日的なのだ。きっとそれは、悲しむべきことなのだけれども。
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Posted at 2006/09/28 20:12:16

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この記事へのコメント

2006年9月28日 22:48
私もドキドキしながら見てました。1980年ですか。もうそんな昔の話なのですね。

あの当時、自分が大人になる21世紀はどんな世界になっているんだろうと考えました。米ソの核戦争で滅びるか、宇宙開発が進んで世界平和の道を辿るか。

絶望と希望の二つの未来を想い描きましたが、結局どっちも外れ、ああ、昔とちっとも変わってない、どころか、かなりややこしい世界になりました。

宇宙カレンダーでは秒針も動いていない程なので仕方ないのでしょうけれど、なかなか人類は変わりませんね。権力者はいつの時代もカエサルのようであり、自分の欲望のためなら他人が築き上げた文化を正義の名のもとに滅ぼします。誰もがおかしいと思うのに、それが肯定されているのが問題です。

あと何十年後、世界がどうなっているのか想像もつきませんが、私は自分の子供達には株を覚えて儲けるよりも、COSMOSを見せて未来や平和について考えて欲しいと思ってます。
コメントへの返答
2006年9月29日 12:17
そーなんですよ。もう四半世紀以上も前なんですよ……。
当時はちょっとした宇宙ブームでしたよね。NHKも八神純子の主題歌で似たような番組作ったりしてたのも思い出します。

 最近ではアインシュタイン・ロマンなんてのもありましたが(劇用車が日産フィガロだった)、見てて何かひどく食い足りない感じがしていました。演出がコスモスほど良くないからなのか台本に責任があるのかと首を傾げていましたが、今回セーガン博士のDVDを見て、NHKの番組に何が一番足りなかったのか、はっきり分かりました。

メッセージです。

 セーガン博士の番組は、単に科学の到達点を分かりやすく視聴者に提示しているだけではなく、なぜ彼ら(あるいは我々)が知りたがるのか、と言うことや、生命(知性ある生命)がどれほどかけがえなく尊いものなのか、それを伝えたくて仕方がない。
 科学の到達した知識についても「説明する」のではなく「共有し、その知識を足がかりに一緒に考えよう」というスタンスなんですね。ハートが熱いのです。

 最近よく、ジェネシスのLand Of Confusion(混迷の地)が頭の中でリフレインします。あの曲もレーガン時代に作られたものですが、この歌詞も極めて今日的です。勿論、とても残念な意味で。
 この歌についてはいずれきちんと触れるつもりなので今はサラッと流しますが、ひとまず「この混迷の地が俺たちの住む世界だ。でも、俺たちには主に授かった『手』がある。そいつを使ってこの世界が、生きていくに値するものになるように頑張ってみようぜ」というフィル・コリンズのメッセージに希望を見出したいと思ってることだけは書き留めておこうと思います(笑)。

 人ひとりの手の届く範囲なんて多寡が知れていますけど、そこはそれ、ハンド・イン・ハンド(By アリス)ですから。

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