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イイね!
2006年11月21日

もはや追憶の中にしか居場所がない

もはや追憶の中にしか居場所がない 1968年生まれの僕にとっては、スカイラインと言う名前の車はやはりちょっと『別格』の印象があった。68年と言えば箱スカなどと俗称される3代目がデビューした年であり、したがってクルマ好きの幼児だった僕が物心つく頃に街中で見かける「スカイライン」と言えば、今ほど新モデルが素早く溢れかえるわけでなかった昭和40年代後半、代替わりした4代目ケンメリよりも圧倒的に箱スカのほうだった筈だ。
 「スカG」なんて愛称も人口に膾炙していた。僕に限らず、マツダに阻まれるまでツーリング・カーのレースで49連勝を誇った箱スカは、やっぱり特別スポーティなイメージの原点なのかもしれない。

 あの頃、まだまだクルマは高嶺の花だった。そうした中でフツーの善良な消費者にはパブリカだとかカローラ、コロナやブルーバードを買うのが常識的な選択肢で、ちょっと余裕がある偉い人なんかがコロナマーク2に手を出していたりした。
 そしてその選択肢は、往々にして会社での肩書きと(経済的事情もあるだろうが)密接にリンクしていた。クルマには、厳然たる序列があったのだ。

 思うに、スカイラインと言う車は、そうしたヒエラルキーから半身をずらしたような位置づけにあったような気がする。他の殆んど全ての国産セダンが「ファミリー・カーであること」を第一条件にオーナーの社会的地位と関連した序列の中に位置づけられていたのに対して、このモデルだけは「ドライバーズ・カー」だった。
 確かに、ローレルなどのように「家族よりもオーナー個人」を優先する車も登場し始めていたが、スポーツ・カー裸足の走行性能を商品イメージとして謳う大排気量セダン(当時の平均からすれば2リッター・エンジンは「大排気量」だ)は、控え目に言っても明らかに特徴的だった筈だ。

 時代は下がるが、4ドア・セダンが2ドアのクーペから「名ばかりのGT」云々とアヤつけられること自体、冷静に考えれば異常事態なわけで、スカイラインと言うのはファミリー・カーの皮を被ったパーソナル・カーだったと言えるかも知れない。そしてこれも想像だけれども、そういうちょっと一匹狼的なイメージに、憧れを抱く消費者は少なくなかっただろう。

 このことは、スカイラインという車を僕ら消費者に鮮烈に刻み付けるキー・タームになったけれども、それが今ではアンシャン・レジームと化しているのではないかなぁと僕は感じている。手かせ足かせではないのかと。
 いま現在の国産自動車を俯瞰して眺めてみると、かつてスカイラインの特色であった筈の「優れた動的性能」は、もはや他を圧して特徴的なものではなくなっている。なにしろ全体のレベルが大きく底上げされているし、スポーツ・カーが裸足で逃げ出すような4ドア・セダンは他に幾らでもある。パーソナル・ユースを前面に打ち出した商品に至っては言うに及ばずだ。

 日産は一貫して「スカイライン=スポーツ性能」で商売してきたわけだけれども、市場ではもうとっくに「スポーツ性能=スカイライン」ではなくなってしまっている。それなのに「日本のクルマに、ときめきが帰ってくる 」なんて、どこの宣伝屋が思いついたか知らないが、随分と時代錯誤的なコピーだ。
 R32のGT-Rが市場から渇望されていた20年前だったら通用したかもしれないが、2006年のスカイラインを売り込む言葉ではない。「日本のプロレスに、力道山が帰ってくる。力道山12世デビュー」とか言ってるのと殆んど同じレベルだ。いま平成18年だぞ。誰が待ってるんだ、そんなもん。

 自動車評論家の下野康史は著書のあとがきに「自動車ほど『虚』のイメージが重要性を持つ商品はない」と言うような趣旨のことを書いていた。虚のイメージを形成する最初のモチーフは、大概CMだとかキャッチ・コピーだとかの宣伝である。
 今となってはすっかり時代に取り残されてしまった「スカイラインの商品特徴」にしがみついていたのでは、結局先細りの哀しい末路を辿るしかないんじゃなかろうか。もう半分なりかけてると思うが、このままじゃ本当に追憶の中にしか居場所がなくなってしまう。歴史と伝統のあるビッグ・ネームの老残は見たくない。

 多分、実際に見て乗ってみれば新型スカイラインは、輸送機械としての『実』の部分は、凄くよくできた自動車なんだろうと思う。先代V35にチョロッと乗ったときのことから想像して、その点では信頼できる。
 僕は商品宣伝の専門家じゃないので無理だが、それで飯を食ってるプロの人たちには是非、21世紀の今、スカイラインと言う出色のブランドに『ときめき』をとりもどす方策を真剣に考えて欲しいと思うのだ。

(画像はV35世代のクーペ)
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Posted at 2006/11/21 13:01:46

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この記事へのコメント

2006/11/21 22:57:23
スカイラインはそろそろミニバンにすべきですね。
今のプラットホームをそのまま使い、ホンダに負けない走りのミニバンとして出せば居住性に対する文句を封殺出来ます。FRの三列六人乗りのミニバンなら、D1グランプリの主流に一気に上り詰めるでしょう。(笑)

V36はインフィニティとしてヤナセに販売させるのが良いかと思います。そしてGT-Rはコーンズ専売とすれば1500万以上で販売出来るでしょう。
コメントへの返答
2006/11/22 10:39:39
割と最近、日産は確かフーガをベースにした3列座席のキューブみたいなコンセプトを(インフィニティのブランドだったはずですが)出してましたので、あながちありえない話ではないかも!?

しかし流石にスカイラインの名前をそのまま使うのはナニなので、その折にはスカイラインズ・ミニ(バン)として、是非ラングレーを名乗っていただきたいところです(笑)。

GT-Rのコーンズ専売はいいアイディアかもしれないですねぇ。代理店手数料をどのくらいふんだくられるかは分かりませんが。
2006/11/22 00:06:58
この時間ですが、「いま平成18年だぞ。誰が待ってるんだ、そんなもん。」に大笑いしてしまいました。消費者が求めている物と、メーカーが思う消費者像の乖離が顕著な一例なんじゃないでしょうかねぇ。思い込みだけで車が売れる時代はとうの昔に終わってますって、ねぇ。(とはいえ、某高級ブランドの最上級車は納車待ちらしいですが・・・来年の今ごろでも同じ状況なら認められると思いますけど。。。)

業界は全く違いますが、ウチの会社も似たような状況です。上層部の思い込みが現場にしわ寄せを生み、惨憺たる結果の原因は現場である、みたいな・・・・
もうそんな仕組みの中でしか生きられない方々には退場頂かないと、明日の発展は永遠に望めないのです。
コメントへの返答
2006/11/22 10:57:04
僕個人の感覚でいうと、スカイラインと言うのはいわば、石原裕次郎とか美空ひばりみたいなものではないかと思うのです。この二人が今もって大スターであることは議論の余地がないのですが、しかし仮に今の時代に彼らがデビューしていたとしたら、果たしてここまでの大スターになりえたのだろうかと。

敗戦直後の社会情勢だとか、高度経済成長期の世の中の空気だとか、つまりマーケット側の環境が彼らをスターダムに押し上げた部分は絶対にあるはずで、そうした時代背景を考慮しないで昭和の頃にウケた(そしてファンは今でも支持している)ロジックを持ち出してきても、成功しないんじゃないかと疑義をさしはさみたくなるのです。

例えば格闘技系のショウ・ビズでも、世間の人気はプロレスからK1などにシフトしてきましたし、大相撲だって色々と改革をしてきています。
そういう種類の『商品開発』や『市場開拓』の努力をせずに老舗の看板にしがみついていても、いいことなんて何もないと思うんですけどねえ……。
2006/11/22 00:43:42
前のV35、土屋氏に言わせると「あれはセフィーロです。」だそうで。(笑)
日産はスカイラインというブランドを一体どうしようというのかがわかりません。私的にはハコもケンメリもR32も、熱くてちょっとキレたハコ車なんですが。
しかし、そんなスカイラインというクルマはユーザーが求めに応じて生まれてきたようにも思えます。

あのようなクルマが受け入れられない時代であり、日産という会社もずいぶん商売の仕方を変えましたが、果たして新しいスカイラインは誰が求め、誰が受け入れるのか。そこは注目ですね。

一部のデザイン的には面白い手法だと思います。ただ、私は全然好きになれませぬが。広告に関しては歯が浮きそうで見てられません。
コメントへの返答
2006/11/22 11:10:31
もしかしたらの話ですが、ユーザーやファンからの「こういうモノでなければならぬ」という熱い声援があっても作り手の側にそれに見合った思いや信念がないと、こういうことになっていくのかなぁなんて気もします。
と言うのは、マツダのロードスター3代との対比でふと思ったことなのですが。

玉屋には玉屋の、鍵屋には鍵屋の芸風があって、その伝統の骨子は墨守したうえで、しかし懐古趣味にならず同時代的にも魅力的であり続ける――そのためには作り手側が余程強く深く自分たちの特質を理解していなければならないのではないでしょうか。
丁度マツダの貴島氏が「今後の世代でもロードスターの開発だけは広島だけで(フォードにも北米販社にも口出しさせずに)やりたい!」と大見得を切ったように。

ただ2006年のスカイラインとしては、あれでいいんじゃないかと言う気も僕はしているのです。7代目の「柔らかい都市工学」みたいな感じで。
欠けているとすれば作り手側の「今の時代に作られる『スカイライン』は、こういうものであるべきなのだ!」と言った、ユーザーやファンをも言いくるめんばかりの信念みたいなものでしょうか。
ご紹介いただいた土屋氏の台詞じゃないですが、内心どこかで「これはインフィニティなんだけど日本向けにはスカイラインの名前で売るだけ」なんて意識があるんじゃないのかなあ。
2006/11/22 14:03:00
>「自動車ほど『虚』のイメージが重要性を持つ商品はない」と言うような趣旨のことを書いていた。
>虚のイメージを形成する最初のモチーフは、大概CMだとかキャッチ・コピーだとかの宣伝である。

この論には納得出来るんですが、今回のキャッチコピーに「ときめき」を感じないのは、
やはり商品にその力がないからでしょうね(笑)




思えば私なんか、、33、34の時代に、もうデザイン的にも、スポーツコンセプトも含めて、過去の呪縛から解き放たれて
「スマートな都会的セダン」に生まれ変わった方がいいと思っていた一人ですが、そうなったら

「全てを失った」...みたいですね(笑)

でも、これだけ議論が出るのも、「スカイライン」だからですよね!
コメントへの返答
2006/11/22 17:33:14
>今回のキャッチコピーに「ときめき」を感じないのは、
やはり商品にその力がないからでしょうね(笑)

ああっ敢えて言わずにいたことをっっ!!(笑)。

……と言いますか、僕もやはり商品に『説得力』がないのが一番の泣き所のような気がします。
インフィニティG35でいいじゃん、なんでスカイラインの名前を持ち出すの?みたいな。

>これだけ議論が出るのも、「スカイライン」だからですよね!
全く同感です。それだけ知名度も人気も(実際の商品はともかくとして…)ある名前なんですよね。
メーカーさんには、その資産を大事にしてもらいたいなあと思います。
2006/11/22 20:58:36
私もオヤジ化が進んだせいか、最近の若いアイドルの顔立ちが区別できなくなってきました。モー娘。の加護ちゃんと辻ちゃんを判別できません。
同じように、新型と現行型も見分けられません。
コメントへの返答
2006/11/24 10:19:08
その二人を見分けるのは(とりわけ30半ば以上の人にとっては)結構な難関なのではないかと……

ちなみに新型スカイライン、第一印象は「小フーガト短調」って感じでした。
2006/11/23 10:54:33
日産としては今回のスカイライン、起死回生をかけて、プロモーションにも力が入ってるそうですが、スカイラインに対する我々消費者のイメージと、設計者のイメージもしくは出来上がった実車と、CMやキャッチコピーと、それぞれがどうもズレてるんじゃないでしょうかね。
その点マツダ、特におっしゃる通りロードスターは良く出来てる、と言うか設計側の主張がはっきりしてるんだと思います。
スカイラインは「こう売りたい」ってのは何となく解るんですが、設計者はどんな車を作りたかったのか、イマイチ見えてこないですねぇ。
コメントへの返答
2006/11/24 10:27:48
ロードスターについて印象深いのは、これもマーケットの受け止めや要請なんかが相当に厳格(こんなのもはやロードスターじゃない!みたいな)車だと思うのですが、雑誌記事に拠ると3代目の開発に当たってメーカーではチャート図を作って、コンセプト・メイクにものすごく時間をかけているんですね。

 多分、スカイラインはそこまでやっていない――と言うか、やればやるほどこれまで11代に渡って積み上げられてきた「ファンの思い」なんかに振り回されて、商品性がどんどんニッチな方向に向いていってしまうような気がします。

 いずれにせよメーカーとしては『売れる商品』と『開発者が作りたいもの』と『市場が欲しがるもの』などの間での折衷案を解として示さなければならないのでしょうが、果たして広告宣伝のやり方を初めとして、今のそれが最適解なのかどうかと言うと、僕も、かなり違うんじゃないかなぁと思います。
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