惰眠のブログ一覧

イアン・キャラムとモリ・キャラムは、ともに自動車デザイナー。
兄のイアンはアストン・マーティンの、弟のモリはマツダの、それぞれデザイン部門のトップを務めている…はずだ。僕の知ってる限りでは。
どちらもフォード傘下の企業というのが、かつての阪神の嶋田兄弟とか、相撲の花田兄弟みたいでちょっと面白い。ま、役者さんの世界には兄弟で同業者なんて例は幾らでもあるのだけれど。

　ちなみに写真のアストン・マーティン＝ヴァンキッシュは兄の作。
アストンの車はどれもこれも基本線がおんなじで変わり映えしないなぁと思っていたら、それはわざと狙ってやっているのだそうだ。
automotive designに掲載されている自動車デザイナー荒川健氏のコラム（第８回『これが伝統の底力？』）によると、アストンマーチンは顧客の要望が絶対であり、その顧客は極めて保守的でモデルチェンジの許容範囲が狭いので、デザイン作業は気が遠くなるほど繊細で、しかも狭い範囲を念入りに、時間をかけてリファインしていく事が要求されるとある。

　まるで伝統工芸の技能伝承だ。
これじゃあデザイナーは腕のふるう余地が少なくてつまらんのじゃないかと言う気もするが、そうでもないらしい。数年前、あるメーカー勤務の現役デザイナーが「アストン・マーチンで働いてみたい」と、目をギラギラさせて言っていたくらいだから。

　それはそれとして、この兄弟の名前を並べたときの語感が何かに似ているなぁ～と思ったら「メロンライスにガムライス」だった。
　どんな食べ物か想像するとちょっと食欲がなくなるけれど、これは星新一のショートショート、『おのぞみの結末』に登場する新興宗教「ジャックポット教」の秘密の呪文。食べ物じゃない。
メロンライスにガムライス、イアンキャラムにモリキャラム…なんだか七五調の狂歌が作れそうな感じだ。