2014年12月30日
経験潤沢4
浜松市中区砂山町 浜松駅 午後5時0分
その日敷かれた強盗事件の緊急配備がやっと解除され,浜松中央署の配備中だった地域警察官が職質し連れてきた被疑者を緊急逮捕し現場検証のさなかだった。バリアテープの外で野次馬を制止していた元自ら隊員の警部補が,人混みの間にシャブ中っぽい車を見付けた。
警備を巡査長に任せると,車を見に行った。どうやら路上駐車の模様である。車は全体的に一見しただけで,シャブかXTCの類いの薬物犯が乗車していたと判断できる。
そこから野次馬に視線を戻すと,後ろ姿で薬物犯特有の人物が居たから,
「幾らで買ってきたの?」
と聞くと,「3万円だよ」と答える。
すぐに浜松中央署に無線で応援要請すると,管轄外からも浜松東署や自動車警ら隊が来てくれた。
応援の巡査が,「「Bあり」です」とわざわざ言ってくるので,
「ありがとう。でも,今は面白そうだからさー,後でいいよ」
と返事していた。
やり取りをたまたま耳にしたシャブ中が捜索に付き添っていたのをそっちのけで,
「てめー!指名手配よりシャブを優先すんのかい!」
と,とてもお節介な事を言い出す。
「もーうるさいなあ。普通の指名手配は嫌なんだけどなー。そんな言うなら何なの?」
「何の容疑か聞いてないのかよ」
「うるさいなあ。Bしか聞いてないよ。人でもぶっ殺したの?」
「そうだよ。後ね,強盗もした」と自慢気に言ってくるので,
「あーそう。俺,そんなのどうでもいいや。シャブの続きやろうぜ」
警部補は全く取り合わない。
Posted at 2014/12/30 09:13:52 | |
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2014年12月12日
経験潤沢3
「機捜13,間も無く銀行付近,間も無く着,間も無く着,どうぞ」
「長野本部了解」
「長野本部から現在までの134番,強盗着手中の各局。マルヒは,現在までの110番関係聴取によれば刃渡り,もしくは鈍器を使用し,人質となったマルガイを脅迫するような状況。従って,第一に人質マルガイとマルヒを完全分離,着の機捜13以外のマルエンパトによって現場封鎖,現場保存を急げ。機捜13はマルガイ保護の後,マルヒ人着関係を本部無線にて一斉放送せよ。以上長野本部」
「至急至急,長野機捜13から長野本部,長野中央」
「至急至急,長野本部から機捜13どうぞ」
「マルガイ保護,分離した。尚,人着関係を送る。上衣黒トレーナー,クリーム色の運動帽,青ジーンズ,アディダスの白スニーカー,凶器はスタンガン,こちらは既に機捜が押収している。どうぞ」
「長野本部了解。以上長野本部」「長野中央了解。以上長野中央」
「至急至急,長野本部から強盗着手中の各局は現場指揮の長野中央に従事せよ。以上長野本部」
「自らから134で割り込みます。自らで現場住所付近からコールサイン送れ」
「104間も無く着ですどうぞ」
「了解。尚,着予定の自らも聴けるように。現在までの人着情報から既にバンカケであったが,このマルヒの柄は恐らくマルカク絡み,繰り返す,マルカク絡みの可能性が強い。よって,機捜の支援時には必ず完全確保を期するため,長野中央,交機白バイと連携し,当たれ。指揮は長野中央だが,この方,念頭にしたい。よろしいか,104」
「104了解」
Posted at 2014/12/12 11:19:31 | |
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2014年11月26日
経験潤沢 2
富山市 磯部町 遊歩道 午前1時0分
県警本部に程近い「磯部松川堤遊歩道」を通り掛かった,警部補になったばかりの男から後輩の巡査に電話があった。
「俺,非番だったんだけど自転車でコンビニから帰る途中で職質してるから,松川の辺までバイクでもミニパトでもいいから来てくれよ」
国道41号で未成年喫煙に対応していた巡査は20代後半で配属2年目だが,電話を掛けた警部補は「職質の担い手」だと目していた。電話の大体の内容で,相手は観光客だがシャブ絡みだと思った。若者に厳重注意すると,サイレンを鳴らして猛スピードで警部補の所に駆け付けた。余計な内勤の意地悪が入ると嫌なので,サイレンを消した。
警部補は2年前に巡査部長の頃,京都府警の自ら隊に研修に行ってからと言うもの,富山にも気付いていなかっただけで犯罪が段々増えてきていると思った。京都から帰り,実際に技を試したところ,驚くほど多くの覚醒剤や危険ドラッグの犯罪や,指名手配犯を検挙できた。
今や,覚醒剤の犯行は都市部だけの問題では無く,郊外の隅々まで蔓延していると思い知らされた。
「松川公園」の賊は,口頭で,東京の千住の住民だっと語った。今日は観光でホテルに泊まっていたが,今は夜風に当たりたくて散歩していたと言った。
しかし,薄明かりでも異様な風貌であり,二人に言わせれば完全にシャブのよれ方を呈している。
本部に電話してみれば,一度,マルカク使用がある。前科のあるのは人によってはよれが治らない事もあり,だから今でも摂取しているとは言い切れなかったが,往々にしてシャブ中は再犯が圧倒的だった。だから疑ってしまった。
「非番なのに職質なんていいのかよこの野郎」と男は罵声を浴びせる。
警部補も「着替え忘れただけだ。てめーにごたごた抜かされる筋合いはねぇよ」と。
巡査は「マルカクの前科があるから持ち物,チラ見さして?」。
男は見せるだけだ触るなよと言ったが持ち物を見せた。
バッグの中のポケットに大量の白い粉末が見付かった。二人は顔を見合わせて「ちょっと待ってて。打ち合わせあるから」と言って話し込んだ。
「ありゃただのシャブ中じゃないな...。店,開きに来やがったんだ」と言う結論になった。どうせならこいつと客を一緒に捕まえようと言って,男に「さっさと失せろバカ野郎」と突き放した。
Posted at 2014/11/26 13:25:33 | |
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2014年11月21日
経験潤沢 1
岐阜県笠松町 国道22号「名岐バイパス」 夜中2時35分
岐阜県側の「岐南インター交差点」は,岐阜県内で最も交通量が多い交差点で,国道156号の「岐阜東バイパス」と,国道21号の「岐大バイパス」とも交わる。
県庁もある岐阜県の行政中枢や,刃物の町で知られる関市や東海地方の中枢で名古屋への通り道でもある。
自動車警ら隊のパトカーが国道22号のバイパスの下をくぐって笠松町から岐南町に向かって居ると,「伏屋交差点」でシャブ中のセルシオを見とがめた。
「あ,今,京都ナンバーのシャブ中のよれたのに付いてって」
助手席の巡査部長が同僚の運転手の巡査部長に言った。サイレンを一吹きして愛知県側の木曽川に転じた。
交通量が多いと言ってもこの辺りは通過交通が多いので,夜間は閑散としている。セルシオの他には5,6台のバイクや車が走っているだけだ。セルシオはその先頭を80キロ位出して走っていた。
あんま緊急走行したくないよねーと言う思いが二人に漂っていた。出来れば応援要請して体制が整ってから職質したかったからだ。
助手席の巡査部長が携帯で県警にナンバープレートを伝えた。少しして県警から,交通違反未出頭と,昔のシンナー吸引が見付かった。
「マルビーなの?」
「いや,それは言ってなかったけど」
どうしようか迷った。ただのやくざ屋なら自分等の嫌いな内勤の仕事だし,せめて,銃器を持っていたり指名手配なら遣り甲斐もあろうが...。
「150から岐阜本部宛てー。どうぞ」
「150,どうぞ」
「えー不審なセルシオ,これは笠松町ですから岐阜羽島の所ですが,もうすぐ愛知に入ってしまいます。一見するとシャブよれなんですが,チンピラと思われます。現在高速度,目測で130くらい出てます。失尾として愛知に依頼,当県でも事後捜査が妥当と思うが。どうぞ」
ほんとはセルシオは75キロしか出して居ないが,二人とも経験則からつまらなそうな賊だったのでどうでもいい気持ちでいた。
その時,助手席の携帯が鳴った。自ら隊。
「おい,てめーらいい加減な送信くれてんじゃねーよ。そいつはこの前話した京都の警部から回って来たなしの売人で,ビー号の寸前の野郎だぞ,バカ野郎」
警部補だった。
ほんとかよ,どうでもなれーと思ってやけくそになって岐阜150は愛知県側の「北方町交差点」の少し手前でセルシオを停めた。
Posted at 2014/11/21 18:11:28 | |
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2014年10月24日
http://m.blogs.yahoo.co.jp/p_no_kimochi/35063387.html
Posted at 2014/10/24 23:20:52 | |
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