ドアロックの不調は配線の不良やアクチュエーター(ソレノイド)の不具合が原因である事が多いようですが、今回はアクチュエーターのモーターを交換する事で完治させることが出来ましたので作業記録を残します。
ドアロックなどの自動車用アクチュエーターはほとんどのメーカー、車種がほぼ同じ型のモーターを使用しているようです。
今回、ホンダのCM3型アコードワゴンを修理する為に調べてみたところ、BMWにお乗りの方も同型のモーター交換で直ったとの事でした。全てのメーカーが同じ訳ではないでしょうし、細かい部分では差があるでしょうから、簡単な入れ替えだけで済まない場合もあると思います。
そのモーターですが、マブチ製のFC-280PCという品番が適合品とされているようです。
私も今回この品番の製品というオークション出品物を手に入れて使用しました。
*下がFC-280PC(但し、この写真では軸のみアコード用のものに交換しており、新品状態では上のモーターについている軸)
電極の入る位置は車に付いていた不具合品とまったく同じで、厚み、幅、長さも全て同じでした。
では、CM型アコードワゴンの助手席側を例にアクチュエーターの取り外し方法およびモーター交換方法を書いていきます。
まず、内装のドアパネルを外します。
すると、デッドニング等で剥がされていなければ防水用のビニールがドアに貼られているのが見えると思います。
このビニールをドアロックピンを起点にドアの4分の1ほど剥がします。
すると、ドアノブに接続するワイヤーが完全に露出します。
これをドアから外す為にドライバーで示した白い留め具を外します。
やや硬いので内側からラジオペンチなどで引っ掛かりを外してから抜いた方が良いと思います。
次にドアロックピンを固定しているネジを外します。
ネジが外した後、固定金具の引っ掛かり部分をずらしながらドアからロックピンを外します。
アクチュエーターを固定しているネジを外します。
ドアの車内側ではこの1本のみです。
次にドア側面のラッチ部分(?)周囲の3本の大きいネジを外します。これもアクチュエーターそのものです。
おそらく最初はとても硬いと思いますので、しっかりと押し込みながらネジを舐めないように外します。
ここまでネジ5本外すと、アクチュエーターはフリーになるんですが、ドア内部でウィンドウレギュレーターのレール(窓ガラスが下がる際のガイドレール)が邪魔をして取り出せません。
ですので、レールの位置を動かせるように固定ボルトを外します。
レールはアクチュエーターを遮るように固定されていますので、レールを前後に動かせるようにするとアクチュエーターを隙間から抜き出す事が出来ます。
ここで、もう一つ・・・
上の写真に記入していますが、レールに隠れた部分にドア外側のドアノブから延びてアクチュエーターに繋がる太い針金があります。
これを外さなければ、アクチュエーターは出てきません。
うまく撮れなかったので写真が無いのですが、基本的には内装パネルのドアノブについているワイヤーと同じようにプラスチックの“C”字形の押さえ部分を外し、側方にスライドして抜き取ります。じっくりと繋がりを見ればすぐに分かると思います。
さて、これでズリズリとアクチュエーターがドアから出てきます。
まずはドア内部から見た状態・・・
次にドア外側から見た状態・・・
これが助手席側のアクチュエーターになります。
このアクチュエーターからモーターを取り出して、代替品と交換という事になるのですが、まずモーターの位置です。
写真の一番下の出っ張り(赤線が引かれた下の部分)にモーターが収まっています。
アクチュエーターを半分に割ってキレイに元に戻せれば良いのですが、このアクチュエーターは構造上、それが難しいようでした。ですので、アクチュエーターを一部分切って、カバーを外すようにしてモーターを取り出しました。
その際、モーターとそこからアクチュエーターに繋がるギアなどを破損してはいけませんので、ゆっくりと割りながら位置決めをしました。
今回は赤線の部分を金ノコで切りました。
切った部分を外してみるとこのようにモーターが出てきます。
モーターの先にはアクチュエーターに回転を伝える為のギアが被せられています。モーター交換するには、このギアが軸から滑らないように新しい物に取り付けなければなりません。
しかし、冒頭でモーターについて書いた際、軸の長さが違うと言いましが、軸の形状も異なっていました。
そこで、確実に代替出来るように、モーターを分解して軸を不具合品から移植する事にしました。
まずモーターのプラスチック部分に引っ掛かっている金属部分の爪を左右共に起こします。
すると、プラ部分と金属部分が分かれます。
この時、プラ部分の内側の真ん中部分にある接点金具を見て、ブラシがどの程度残っているかを確認します。もし、ブラシが十分に残っているのにドアロックが不調であれば、この方法でのモーター交換は無駄になるかもしれません。
次に金属ケース内を覗いてみます。
するとコイルが巻かれた軸が刺さっているのが分かります。
この軸とコイル部分を磁石の力に逆らって引き抜きます。
特に引っ掛かる部分は無いので、真っ直ぐ引き抜けば良いです。
出てきたコイル部分をよく見て、劣化程度や錆、断線などを確認します。特に問題が無いようであれば、不具合のあるモーターの長い軸を新しいモーターのケースに入れます。新しいモーターについていた軸は特に必要ないです。
そして、“長い軸を移植した新しいモーターの金属ケース”&“新しいモーターのプラ部分”を分解と逆の手順で再度組み直します。
さらにアクチュエーター伝達用のギアに挿し込みます。
電極の接点がきちんと差し込まれるように注意しながら、新しいモーターをアクチュエーターの中に戻し入れます。
アクチュエーターの切り取った部分を接着する前に試運転をした方が良いので、モーターを入れて露出したままのアクチュエーターにドアの配線を接続します。
そして、クルマのボディ側の半ドア検知センサー(ゴムに覆われた丸いセンサー)を押しながら、半ドアでは無い状態にしてリモコンキーでドアロックしてみます。
これで、きちんと作動して、ドアロックピンも動けば修理成功です。
作動が無事に確認出来たら、アクチュエーターのモーター部分を切り取ったカバーを被せ、接着剤orコーキング剤で元に戻します。この時、接着剤等が内部のギアに付かないようにしないと、乾いた後で作動不良が発生するかもしれません。
あと、モーターはかなりの力で動きますので、接着剤だけでなく、補助的な固定材料で留めたほうが良いと思います。私は見栄えを気にせずにビニールテープでグルグル巻きにしてしまったのですが、タイラップなどで何箇所か巻くのも良いでしょうし、端っこにうまく穴を開けて小さなボルト&ナットで止めるのもありかなと思います。
以上、ドアロック用アクチュエーターのモーター交換についてでした(^^)