ちょうど4年前の夏、
小熊と一緒に、ベランダから風船を飛ばしたんです。
お手紙を付けて。
外国まで行くかな?
海に落ちて沈んじゃうかな?
な~んて、わくわくしながら。
放たれた風船は、あっという間に、マンションの屋上を越え、
小熊も私も、反対側の玄関先まで走り出て、
ぐんぐんと、空に向かって登り続ける風船を、
悲しいような、嬉しいような、
ちょっと不思議な気持ちで、見送りました。
そんな夏も過ぎ、風船のことも忘れかけたある日、
「稲刈りしたら、田んぼに落ちてたよー!」
それは、直線距離で約40km離れた、海沿いに住む方からの電話でした。
親切そうな声のおじさんが、
「手紙に電話くれってあったから、電話したよ」って言うんです。
風船の辿りついた先は、意外に近かったけど、
わざわざ電話してくれたその気持ちが、とても嬉しかたこと。。。。!!
小熊も、小躍りしながら大喜びでした。
その後は、今度遊びに行きますね!! と、
何度かおじさんの奥さんと、お手紙のやり取りをしたものの、
結局時間だけが過ぎてしまい、後の2年は年賀状だけになってしまっていたのです。
そして去年の暮れに届いた、喪中のはがき。
慌てて奥さんに電話したら、おじさんが、一年前に職場で倒れ、
その後回復したものの後遺症がひどく、
それを苦に、半年後に自ら命を絶ってしまった、と言うのです。
言葉になりませんでした。
私に、何ができたというわけではありませんが、
あの時、直ぐに会いに行っていれば、もしかしたら、
何かが違っていたかもしれません。
会いに行かなかったことが、本当に悔やまれました。
「遺品を整理していたら、風船が出てきたんだよ。
お返ししないとね。」
喪中のハガキから、また半年が過ぎてしまいました。
「お父さんのことばかり考えてしまって、眠れないから、
朝から晩まで動いて、何かしら仕事をしてるんだよ。
そうすれば、疲れて良く眠れるから。」
残された奥さんは、毎日そんな想いで、一生懸命作ったのでしょう、
箱いっぱいの、大きな玉ねぎとジャガイモを届けてくれました。
そしてその中に、しぼんだ風船と、小熊が書いたお手紙もありました。
風船は、おじさんに、ずっと持っていて欲しかったね。。。
もういよいよ、会いに行かずにはいられなくなり、
小熊のこの夏休みの初日を待って、やっと実現したのでした。
おじさんの仏壇に、お花と、お線香をあげてきました。
奥さんとは初対面なのに、なぜか懐かしい気持ちでいっぱいになりました。
悲しいお話もあったけど、それも色々面白おかしく話してくれる、
とても優しい方でした。
風船が落ちていた場所は、家の前の田んぼかと思ったら、
車で数キロ離れた所まで、わざわざ案内してくれました。
「そこの、真ん中辺に、落ちていたんだよ~。」
もうじき、今年も一面に、稲穂が金色に実り、
そしてまた、刈り入れとなるのでしょう。
おじさんが、風船を拾ってくれた、あの日と同じ様に。。。。
Posted at 2013/08/30 23:23:23 | |
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