
==長文になってしまいました==
■乗る前に・・・
ポルシェ入門といわれるボクスターも
オーラは十分感じます。
空冷964 カレラ4の「いいもの感」が詰まった感じと同じでした。
・リアフードの描く曲線美
・美しい発色の「キャララ・ホワイト」
・低くスラントし、ピンと張られた幌
・サイドのクラシカルな「PORSCHE」デカール
かっこいいです。。。
■ドアを開けて乗り込む・・・
アルミドアなのでドアを開けた瞬間に、ドアノブを持つ手から
硬質な感じが伝わります。
深いバケットシート搭載し、低くスラントした幌、右足を先に入れ、
前かがみ姿勢でステアリングを両手で抱えるように乗り込みます。
幌骨の無いお陰で、意外と乗り降りしやすいです。
バケットシートに腰の位置を調整し
ドアを閉めると・・
「バシッ」と残響の全く響かせない、位置決めがバッチッと出ている
超高剛性感がします。
このとき、このクルマの高い剛性感を感じます。
「964 RS」と全く同じ閉まり方です。これは凄そう・・・
中の赤い紐も同じですね・・・こういう演出 嬉しいです。
エンジンをかけると
「クルル・・バーアン、ボーーーーー」
エンジンに火が入って ブワンと1800rpmくらいに一瞬自動フリッピングします。
このときの演出もとてもいいです。レスポンスの良さを感じさせます。
■クラッチミート
クラッチの感触は意外と重たいです。
この踏力設定は クルマを印象付ける重要なところです。
硬派仕立てな、クルマの味付けを予感させます。
1速にシフトし繋いでみると
「スルッツ」と軽くクルマが動き出します。
直噴エンジンはボトムエンドのトルクが細いと聞いていましたが
僕は感じませんでした。
このスルッツと前に出る軽さはFD3Sと同じ感触です。。。
車重1.2トン台の軽さかな・・・
■加速感
未だ慣らし中ですので Max3200rpmにしていますが
1⇒2⇒3⇒・・・とエンジンに負荷をかけ無い感じで
シフトアップさせていっても、十分な加速です。
軽さが効いているのでしょう。早く解き放ちたい・・・
■走行感覚、乗り味
・見事なまでのスポーツシャシーです。久しぶりに胃で上下ストロークを感じます。
しかし、どんな凹凸でも一発で振動を収束させます。これ癖になります・・・
オープン車ってガタツキがでたり、ブルっと振動が残ったりしますが
全く感じません!なんで・・・どうして・・・・
986Sも凄くスムーズな乗り味と思いましたが、低速領域で、ほんの少しだけ、
サスが吸収できない凸が残っていましたけど、
もっと硬派仕立てなスパイダーには、それが全くありません。
サスストロークにフリクションを感じません。ダンパーが相当高品質です。
それにシャシーもかなりの高剛性感です。
公表されている数値上の剛性値「捩れ」「曲げ」はそれほど986と変わっていませんが
乗ると全く別物です。(987系とも違います。公表されない何かをやっているのかな・・・)
986系のボディ接合面がスポットによる点接合から、
987系ではボンド接着+スポットの面接合に変わっていることも効いているのでしょう。
986系と比較し過渡特性を出さない状態での限界付近の動き方、フラット路面の乗り味、
コーナーリング時の横Gの出方はあまり変わらない感じですが、
過渡的な運動、スラローム反転や直進時の凹凸路面、マンホール通過時のストローク感
などは大きな違いが出ています。
ストリートでは、過渡的運動の繰り返しですから、これは大きくフィールの差として
感じると思います。
■ステアフィール
直進安定感が バシっと出ています。
サス取り付けブッシュのプリロード、パワステの特性、ステアリング支持部剛性、
ボディー共振点の適切化、ダンパーの低フリクション化が効いていると思います。
ステアリングの切り始めもいたって リニアーです。
素晴らしい・・・
■サスセッティング
いきなりですが・・・ダンパーセッティング公式です。
減衰比:C/Cc=C/2√(k×W/9.8)
k:スプリングバネ定数(Kg/m)
W:重量(kg)
Cc:臨界減衰係数
C:減衰係数
難しそうですが・・・サスセッテイングでは欠かせない式です。
バネを固めると、減衰を大きくしてマッチングを取らないといけないことが
解ります。
車高-20mmで重心-25mmとカタログで謳っています。
ノーマル車のスプリングレート上げてもクルマのコーナーリングは
速くはなりません。
これを書き出すと 本になりそうですが車体全体を
物理モデリングすると容易に想像できます。
(ですから、スプリングはメーカー設定のノーマルがいいですよって
僕の周りには言っています。)
例えば同じタイヤでロールを減らすと
・速度域のロール角変更、タイヤ接地キャンバー角変更
・タイヤ面圧の設定値変更(外側と内側も)
速度域が上がってくると
・入力に対する、車体バネ定数の見直しが必要です。
車体全体のバネ定数=「車体重量と入力対捩れ曲げ強度の直線性変化」が大きく絡むので
公式どおりにやっても 結果に結びつかない・・・素直にいかなくなってきます。
FDインプレで書いたことがあるのですが、運動入力点(ステアリングABCペダル、外乱)
から出力点(運動性能、速度、加速G、コーナリングG)、感じるフィーリングは
一致しないことが多いです。(メンテしないクルマは殊更です・・・)
フィーリング一致させるには不定要素の排除が必要です。
それが車体剛性の「入力対捩れ曲げ剛性変化時の直線性」です。
車体を軽くすると「入力に対する剛性変化直線性」が良くなるので フィーリングに
大きく効いてきます。
ボクスタースパイダーが車両重量を軽くしたのは サスセッテイングのため
フィーリング向上のためということが解りました。
■僕が感じたコンセプト・・・
・軽量化による剛性感のリニアリティー追求と運動性、動力性能向上
・更なる低重心化(全てのポルシェが同じ方向です)による過渡特性向上。
・スプリングレート、ホイルレート上げて運動性能を上げる。(速度域向上)
・エンジンレスポンス追求する。(フィーリング追求)
・マシンインターフェースに拘る(バケットシート、ハンドルの握り感、
ABCペダルのゲイン設定)
以上が僕の感想です・・・
素性のいいオリジナルがあると
チューニングにより、ノーマル系とスパイダー系でここまで印象が変える
ことができるのでしょうかね。。
ケイマンR・・・これは更に剛性高いですから どうなってしまうのか・・・
ところで986のused購入を考えている方・・・
絶対お勧めです。
987系は未だ価格が高いです。
986は同じコンセプトですが 市場の供給量が多いので、
価格が下がっていてとてもお買い得です。
メンテされた固体を選んで、是非楽しんでください。。
タイヤ選びの工夫で、凄く質感があがるクルマですよ。
■ボクスタースパイダーに乗ってみて FD3Sを想い出す・・・
同志が目指す理想は同じなのか・・・答えは同じなのか・・・
ボクスタースパイダーに乗って感じた 懐かしい感覚・・・
それはFD3S TypeRz (マツダスピードTUNE)でした。
無駄なものを削ぎとり、スポーツカーの理想を追求する・・・
ポルシェとFD3Sってクルマの育て方が似ているような気がします。
(自動車誌にも良く書いてありますね)
スポーツカーの楽しさって
「こうしたいから、こう操作する、今、こうなったから次はこうなる」
がドライビングの中で連続的に続いていく運動過程みたいなものと思います。
その中に「怖い」と感じる要素があったら それはその運動の中に
人間の入力に対して間違った答え(出力)が出てきていることと思います。
それがこの2台には出ません。
凄いです。FD3S・・
FD3S・・・広島が独自にスポーツカーを追求していった戦闘機系バトルスポーツカー
ボクスタースパイダー・・・ポルシェが生んだ伝統のスポーツカー
FD魂よ・・・早く蘇って欲しいと心から願う。
■ポルシェ社の凄さ・・・
僕もものつくりの開発者として見習いたい。
見習うのは、、技術で追求した結果(出来上がったもの)に値付けできるビジネス体質の強さ・・・
全てのポルシェ車は、乗った人にその価値を、その価格で納得させてしまう
フィーリングを持っていると思います。
僕の師匠が良く言います
「いい技術で造った本物に 営業なんて要らないんだよ」
ポルシェ社って奥が深い、知らなければ幸せな世界もあるのか・・・
いつになったら、その知りたいって思う気持ちは いつ失せるのか・・・
それは 僕が天命終えるときかと・・・
==noir==