EUが2022年7月以降に発売される新型車の
ADAS(先進運転支援システム)装着を義務化したそうな。ご存知の通り日本の輸入経路では、まだOpt Outする(新車オプションから除く)ことが出来ているが…。
いきなり超現実論として、例えばF8の中古車でADAS装備のものはCORNES広報車含め
3年間で1台たりとも見たことがない。仮に装着すると、フロントリップに取って付けたような[場違いなお弁当箱(=ミリ波レーダー発信装置)]が鎮座するためSダクトのインテークが塞がれ、ナンバープレートも跳ね上がってしまうことになる。Roma以外のモデルでは、誇張抜きで、生産台数の99%以上が装着していないと考えている。
実は広く公表されるでもなくFerrariは2020年式を境に、全車フロントガラスの裏側の、ルームミラー付け根にADAS用のカメラASSYがしれっと搭載されるようになった(が、オプションリストから高額のFCAMないしADASを付けない限りそのカメラレンズはハーネスを持たぬ単なるガラス玉であって何ら機能を有する訳でもない)。
つまり全ての
F8や
SF90には既にこの単眼カメラが
搭載されてはいる。
ポルトフィーノ、
812SF、
GTC4はモデル途中(2020年モデル)からはこの単眼カメラが組み込まれるようになった。そんなこんなで日本では実質飾り以上には機能していないが、これは勿論厳しい欧州での販売継続を意識した戦略となる。
となると、街中の跳ね馬にこんなものや
こんなものが
※カーボンフロントスポイラー同時選択不可
全新車標準で義務化されるわけである。
確かにADASは通勤車ならば、一度使えば依存的になる程に「快適な」装備であろう。
2022年現在Ferrari車でADASを付けると、自動緊急ブレーキ、アダプティブ・クルーズ・コントロール(車間維持走行機能)、レーン・キープ・アシスト、360°全方位の俯瞰ビュー、ブラインド・アシスト、道路標識読み取り、自動ハイビームといった複合的機能が実現され、確かに便利かつ安全性の向上するシステムで約83万円の新車時オプションだ。先述のデザイン上のデメリットが余りに大きく、ADASが任意である米国での新車装着率はわずか数%に留まるらしい。
【FCAM】Advanced front driving camera
【BRAD】Back radar
【SURR】Surround view
【ACC1】Front radar with Active cruise control
【ADAS】ADAS full package=【FCAM】+【ACC1】+【BRAD】+【MIR3】
※ACC1には、あくまで車線逸脱警告はあるが
車線保持機能はない。というかF8、GTC4は油圧パワーステアリングなので構造上不可能。(そもそもモーター直結の電動パワステでなければ実現不能な機能。)
しかし繰り返しになるが何より巨大な各センサーの視覚的インパクトが強すぎて、美しいスタイルを「台無し」にしてしまっているのは間違いない。やはり本心を言えば、このようなデザインは断じて受け入れることが出来ない。ピニンファリーナではないが、デザイナーにも大変不義理である。
(そもそもSダクトの入り口をオプションのミリ波レーダー装置で塞ぐのは滑稽。)
日本では2021年11月で既に国産車のADASが義務化済みで、輸入車については義務化はまだ免除されておりギリギリ延命されているが、
全身デコボコなフェラーリしか正規輸入出来なくなる日は
そう遠くないというか目と鼻の先の未来(※2年後)。
全国のフェラリスタ達は果たして“美しくない”フェラーリを受け入れられるのか?
輸入代理店としては昨今の悩みの種ではなかろうか。
<追記>
我が国の輸入登録車に対するADAS義務化だが、
2024年6月からとのこと。
ADAS必須にされるとMT車は販売出来なくなってしまう(正確には
新規発売のモデルにのみ義務化、つまり継続生産車は義務化から免除だが)ため、正真正銘最後のMT車になってしまったポルシェ992GT3のマニュアル車は高騰する予感しかない…。
Posted at 2022/07/12 21:41:45 | |
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