「男はメカに狂う。」
昆虫採り、野球、サッカー・・・それなりに普通の男の子的なことはしてきましたが、幼少の頃からそれと並行してメカ弄りばかりしてました。
皆さんも小学生~中学生くらいのときに、エアガンで遊んだ経験はあるかと思います。
私の場合、エアガンで遊びたくなる時期が5年~10年に一度くらい訪れてきました。1年で飽きるんですけど。
1回目小学校4年くらい、2回目は中学生、3回目大学生、・・そして4回目は今から4、5年前。
今はもう興味をなくしてしまいました。
2007年に銃刀法が改正され、いわゆるエアガン規制が施行されたのが一つの理由です。
具体的には、0.98J(6mmBB弾使用時)以下、0.2gのBB弾での初速が99m/s以下でなければ、法律で罰せられるようになりました。これを超えるものは「準空気銃」と呼ばれ処罰の対象になります。
80年代はガスガンが主流でした。ちょっとした小金持ちの男の子はガスボンベからライフルにホースを繋いでサバイバルゲームをやっていた時代です。今から考えればかなりのパワーがあり、危険なおもちゃだったと思います。
90年代に入り、東京マルイが「電動ガン」を発売しました。バッテリーを搭載してモーターでギア3枚を介してピストンを引く、という斬新的なものでした。
ガスを使わないので冬場でもフルオートで連射しても安定して発射できるという素晴らしいシステムです。
ただパワーが弱く、飛距離がでない・・・ そこでさらに改良を加えられたのが「ホップアップシステム」です。BB弾に回転を与え、重力による落下を回転で逆らって飛距離を伸ばすというものです。
ちょうど20歳になろうかという頃、東京マルイのMP5、AK47にホップアップシステムが搭載された電動ガンが発売され、それを購入して大学のクラスメートとサバイバルゲームをやってました。
それから数年・・・サバイバルゲームもすっかり飽きていた頃、電動ガンのアフターパーツ、パワーアップアイテムが続々とチューニングメーカー各社から発売されました。
SYSTEMA、Laylax、PDI、Angel・・・
パワーと命中精度。
しかも電動ガンでどれだけのパワーと命中精度が出せるか・・・
当時はエアガン規制というものがなく、東京マルイを主とする電動ガンメーカーはASGK(日本遊戯銃協同組合)の自主規制により85~90m/sの初速に抑えられていました。
そして内部パーツもメーカーの自主規制により、パワーアップすればあえて内部が壊れてしまうようにするため、金属パーツを肉抜きしたりギアの強度を落としたりという工夫?が施されてました。
電動ガンのアフターパーツは東京マルイが強度を落とした部分を強化パーツに変えるというものや精度や気密性をさらに向上させたものが殆どでした。
これにハマった私はありとあらゆる試行錯誤とテストを繰り返し、究極のカスタム電動ガンを作っていたわけですが・・・ 2007年のエアガン規制に伴いしぶしぶ撤退。
パワーの時代は終わりました。
前回中華iPhoneの話をしましたが、ちょうどこの2007年のエアガン規制後くらいでしょうか、中華電動ガンというものが少しずつ浸透し始めてきました。
さすがコピー大国、中国だけあって中身は全くの東京マルイのコピー品!!
もちろん中華品質の粗悪なものですが、一つだけ大きな魅力がありました。
エアガン好きなら誰もが憧れる「フルメタル」なんです。
もちろん実銃のような鋼鉄ではなくただの亜鉛合金なんですが。
東京マルイのレシーバー部分はASGKの自主規制?によるものかどうかわかりませんが、プラスチック製のチープなもので出来ています。
それが、中華電動ガンはマルイの半額以下にも関わらずフルメタルなんですよ!
日本では、ライフルに関してはメタル部分の規制がありませんので実物そっくり志向の一部のマニア達は中華ガンにハマりました。私もその一人でした。
実は中国という国はエアガンのパワーどころか所持も禁止されています。中国で製造されたものは特別行政区である香港に運ばれ、そこから世界中に輸出されています。
初めて買った中華がこちら、クラシックアーミーのM16 R.I.S.カービンです(画像中央)。クラシックアーミーは香港製ですので中華ガンの中ではかなりマシなほうです。
しかし、それでも3発撃って弾が出るのは1発、というレベルです。
日本のエアガンショップで販売されている中華ガンは一度ショップで分解されて、内部を調整して販売されてます。その調整代がショップの利益の一部になってるわけです。
パワーカスタムの規制がかかってから、マルイのカスタムで利益をあげていたショップは中華ガンを輸入して分解、調整して販売するようになりました。
じゃないと生き残れないですから。
私は海外ショップのサイトから直接輸入して、自分で分解調整してました。
もちろん、香港ではパワー規制がありませんので、あえて内部を一部破壊したり穴あけしてエアー漏れを起こさせて(デチューンといいます)日本の規制に適合するようにして発送してもらうのです。
日本の税関で一度開封されパワーチェック、規制値を越えてなければ通関し自宅まで発送されます。
一応香港のショップもそのあたりの事情は知ってますので「初速証明書」という書類を発行してくれます。
幸運なことに、中華ガンは東京マルイのコピー品ですからマルイ用のアフターパーツやカスタムパーツと互換性があるんです。
精度が求められるパーツのみ日本製のアフターパーツに交換、あとは手作業でバリを取ったり分解調整、研磨、擦り合わせをしてマルイ並の精度に仕上げていくのです。
あちらはパワー規制がありませんので、内部のパーツは精度が悪いだけでかなり頑丈・肉厚に出来ています。それらのおいしいとこを組み合わせていくわけですね。
エアガン規制に伴い、カスタムの流れも変わってきました。時代はハイパワーカスタムからハイサイクルカスタムへ・・・。
ハイサイクルカスタムというのは1秒間に何発のBB弾が連射できるかというカスタムです。
ゼロヨン仕様から最高速仕様へ・・・という感じです。
発射サイクルに関する規制はありません。
詳しいことを書いていくとキリがありませんので、私が挑戦した最後のカスタムを紹介したいと思います。セミオートで命中精度にこだわっていて連射に全く興味がなかった自分が初めてのハイサイクルカスタムに挑戦してみました。そしてこれが最後のエアガンカスタムとなりました。
必ず必要なのが弾速計です。これはLaylaxのBbCheckerです。
日本の規制値を超えないように、0.98J(6mmBB弾使用時)以下、0.2gのBB弾での初速が99m/s以下となるように調整しなければいけません。
そして、弾速計では連射時に1秒間に何発発射されているかという発射サイクルも測れます。
しかし、この弾速計はあまり知られてませんが重大な欠点があります。
電池の残量が少なくなってくると、実際よりも初速が低く表示されます。
これ、実はシャレになってません。例えば電池が消耗した状態で初速98m/sくらいのギリギリのセッティングをしていると実際には初速100m/sをオーバーしてる可能性があります。となると、準空気銃となり捕まってしまいます。
そこで内部基板を取り出し、ちょとした細工を施します。
秋月電子通商から購入したDCジャックを取り付けます。
配線をハンダ付けしケースを加工します。
これでACアダプター化されました。電池の消耗による計測誤差がなくなります。
しかし、これで計測したデータは本当に正しいのでしょうか?
念には念を入れて、弾速計をもう一つ導入しました。
こちらです。
XCORTECHという弾速計で、某有名ショップでもパワーチェックに使用されているものです。ただ、ちょっと難点がありまして・・・ さすが中国製というところなんですが、
撃ち込んでも「TOUT」というエラー表示が頻繁に出てしまいます。
原因は2つほどありまして、まずは先ほどの弾速計と同様に電池が消耗してるとエラーがでます。それと、センサーへ繋がるミニコネクターが接触不良を起こしてエラーが出るようです。
では早速分解してみましょう。
画像中央あたりの右側のミニコネクターが接触不良の原因です。
センサーは赤外線の発光部と受光部がそれぞれ2点あり、BB弾が通過すると赤外線が遮断されることにより弾速を計測しています。
赤外線は肉眼では見えませんが、このようにデジカメのプレビュー画面から見ると液晶画面に写ります。
ミニコネクターに接触不良があると、コネクター部分を手で揺さぶると赤外線の発光部にチラつきが見られます。
分解して、内部の基板を取り外します。
センサー部分の基板からコネクターと配線を外し、新たに配線を引きなおしハンダ付けします。
コネクター部分も直にハンダ付けします。そして熱収縮チューブで絶縁します。
電源を入れてみてデジカメのプレビュー画面から赤外線のチラつきがないかどうか確認します。
こちらの弾速計もACアダプター化しますので、秋月電子のDCジャックを取り付けます。
L
Laylaxのほうは手抜きしましたが、こちらは乾電池が入ってる状態でACアダプターを接続すると乾電池からの導通が遮断されるように配線しました。
バラしたパーツと基板を元に戻します。配線はネジ穴に干渉しないように取り回します。
ジャック用の穴も綺麗にあけて後から改造したことが分からないように仕上げます。
ACアダプターを接続し電源を入れます。どうやら無事に作動してるようです。
試射してみました。
対策前の状態ではエラー表示ばかり出てましたが、センサーの接触不良対策、ACアダプター化によりエラー表示は殆どでなくなりました。
気になるのは、これらの2つの弾速計でどれくらいの誤差があるのか、というところで・・・
こんな感じで弾速を計測してみました。
このようにほぼ同じ値となりました。
意外と正確に測定できてます。
では、弾速計の準備が終わったところで、今度は中華エアガンをハイサイクル(以下ハイサイ)仕様にカスタムします。
こちら、中国D-Boys社のクリンコフですがストックは本物の合板を使用したリアルウッド、しかもフルメタルです。これで12000円くらいです。ちなみに東京マルイですと全く同じモデルはありませんが、ストックはプラスチック、レシーバーもプラスチックで3万円くらいします。
今回のハイサイ機は極力お金をかけない方法でやってみました。
安いのにはもちろん理由がありまして、そこは中華クオリティー。
撃っても弾はでません(爆
さらに、間違って弾が出てしまったときに日本のパワー規制に引っかからないようにデチューンされてます。
基本的に試射すると必要な部分まで壊れてしまいますので、到着したらすぐに分解して中のメカボックス(画像の装置)を取り出します。
そしてメカボックスのフタをあけるとこんな感じになってます。
見た目はマルイのパクリですのでマルイのメカボックスとそっくりですが、とんでもない異臭を放ってます。そしてギアを含む各パーツ類の精度はかなり粗悪です。
異臭と異音、そして発がん性物質、これは定番となっております。
画像中央にオレンジ色のプラスチックの破片は見えますが、これがデチューンの正体です。ノズル(透明のチューブみたいなやつです)の前進量を制限し、エア漏れを起こさせて初速を落としています。
内部パーツはすべて取り出して分解、洗浄します。
これらも、ギアのシム調整や各パーツの擦り合わせやバリ取りをしてあげれば発射できるくらいにはなりますが、今回はハイサイ機を作りますので使うのはスイッチ類、逆転防止ラッチ、カットオフレバー、チャンバーくらいです。
メカボックスの内部を良く見てみますと、このようにバリだらけです。
ピストンレールの下にはネジのタップを切ったバリもそのままです。
これらのバリはすべて除去して研磨します。
メカボックスのネジ穴もすべてM3でタップを切りなおします。
ネジの緩みがメカボックス破損の一番の原因ですので重要な作業です。
タップ切りしたネジ穴にはステンレス製の国産ネジをカットして使用します。
チャンバーの給弾口にもこんなバリがありますので正確に除去して研磨します。
ハイサイ機を作りますので、ギアはノーマルギア比18:1からハイスピードギア比13:1のものに交換します。
本来なら日本製のギアを組み込むところですが・・・ 怪しい中華モノが大好きな私は敢えて中華ギアを組み込みます。
このギアはSHSの守護神という香港製のもので私の知る限り中華ギアの中ではかなり精度が高いです。日本製ですとギアだけで8000円くらいしますが、これは1800円くらいです。
ピストンとシリンダーは重要なパーツですので日本製のものを使用します。
日本製でもピストンのギア(ラック歯)の1枚目が画像のようにセクターギア(ピストンを引くギア)の歯のない部分に干渉しています。
干渉している部分をマーキングし、削って調整します。
このピストンはショートストロークピストンと言って、通常のピストンよりも歯の数が4枚少なくなっています。ショートストローク化することによって連射のサイクルを上げることができます。
いろんなところで、車と構造が似てるんですよね。だから結構ハマってしまいます。
ピストンの歯が4枚少ないですのでそれに合わせてセクターギアの歯を4枚カットします。
どのギアの歯をカットするかは人によって好みがありますが、私の動物的直感ではリリース側を4枚カットするとベスト・・・だと思います。
カット面は歯がない部分と同じように削って仕上げていきます。
次にピストンの端を見てみますと・・・ 画像では分かり辛いですが、長軸に対して完全に垂直にはなってません。
これが意外と重要で、ピストンヘッドの緩みの原因になります。
実際、デフォの状態で組み込んで試射したところ、ピストンヘッドのネジが緩んで脱落しました。
トリーマーという機械でピストンの接触面を完全に垂直に、かつ平坦になるように削ります。
ほんの0.1mm~0.2mmというレベルですが、これで完全に垂直になりました。
これはピストンヘッドというもので、それをさらに分解してゴムの緩衝剤を取り外したところです。
6つの穴があいてますが、これは後方吸気用の穴で超高速でピストンを引くときにシリンダー内が陰圧になりそれが抵抗となるのを防ぐためのものです。
デフォの穴の大きさで試射したらゴムの部分が外れました。
後方吸気用の穴を拡大します。
拡大したらこれが外れないように特殊な接着剤で固定します。
ハイサイクルでもハイパワーでも、車と同じで高速化するとあらゆるところにしわ寄せがきます。それをすべて対策し、強化していく必要があるわけです。
スプリングはハイサイ用の高レートスプリングが売ってますが、あえて中華スプリングをそのまま使います。
初速規制のない海外製品では、気密取りをきっちり行えば初速120m/s(M120)ほどのパワーが出てしまう高レートスプリングが入ってますので通常はM90程度の低レートスプリングに交換します。
しかし、ハイサイ仕様はピストンをショートストローク化してますので、M120程度のスプリングを組み込んでちょうど規制内の96~98m/s程度の初速となります。
ちょっとしたこだわりですが、スプリングの接触面を加工します。
トリーマーで垂直に0.6mm程削ります。
スプリングの線径の半分くらいです。
こんな感じです。これで、ピストンとの接触面、スプリングガイドとの接触面に垂直に面接触します。
高級な国産スプリングは最初からこの加工が施されてます。両端研磨加工といいます。
細かいことを書くとキリがありませんが、小スプリング類の交換、ノズルをOリング入りに変更して気密取り、3種のグリスを使い分けて塗布、ギアのシム調整、ギア軸受を国産ベアリング軸受に交換、セクターチップ打ち込み、メカボックスの擦り合わせ、加速シリンダー・・・ その他様々な調整をして組み込んでいきます。
中華ガンのデフォでの連射サイクルは8.4Vのバッテリーで大体12発/秒くらい、東京マルイの連射サイクルで15発/秒くらいですが、上記の仕様で23発/秒にアップしました。
これは後日談ですが、最近東京マルイからハイサイクルカスタムの電動ガンが発売されました。驚異の発射サイクル毎秒25発/秒。
メカボックスの仕様は日本のカスタムパーツ屋が出していたものとそっくりで、これが発売された時は「メーカーがカスタムパーツ屋のパクリをした」と少し話題になりました。
そして、秒間25発/秒の秘密はこの30,000回転/分という新開発のモーターにあるんですね。
もちろん、これが発売される10年くらい前からカスタムモーターというものは存在してました。
今回のこの長いブログの記事、実はここからがメインです(爆
SYSTEMAのマグナムモーター。
これが世界最強と言われるモーターで、ネオジウムマグネット搭載の4ベアリング仕様、アルミ削り出しのエンドベルに銀線&ラグ端子付きのブラシ。
1個10000円くらいしますので、私もまだ一つしか買ったことがありません。
東京マルイのEG-1000。
マルイモーターの最高級品ですが、軸受けはメタル、マグネットはフェライト仕様です。(現在は最上位グレードのEG-30000HCが発売されてます)
では長くなると眠くなりますので、簡単に有名どころのモーターだけですがどんな性能なのか計測してみましょう。
画像左側がシャインテクニカのモーターテスターです。
(右側は電源装置です)
0.00Vごとの正確な回転数(〇〇回転/分)、消費電力(A)、KV値などが計測できます。
ただデフォでは回転の読み取りエラーで表示されないことがありますので・・・
分解します(爆
私の人生、分解ばかりです。
画像中央よりちょっと上にあるのが回転を読み取るセンサーです。
このセンサーの角度を微調整すると読み取りエラーがなくなります。
まず中華銃に標準で付いているモーター(通称:机モーターと呼ばれてます)。
8.4Vで毎分19800rpm。
こちらは東京マルイのなかでも高級モデルに搭載されている、EG1000というモーターです。
8.4Vで毎分28380rpm。さすがですね。
そして、最強のモーター、SYSTEMAのマグナムです。
8.4Vで脅威の毎分30360rpm ! 3万回転オーバーですよ。
さらにこのモーターはトルクが化け物クラスです。モーターのピニオンギアとベベルギアの噛み合せを浅くして試射するとピニオンギアの歯が全部欠けてしまうほどです。
さて、もう想像がつくかもしれませんが・・・
まさかのまさかで・・・
ピニオンリムーバーで打ち込んであるピニオンギアを外して・・・
モーターを分解しました(爆
エンドベルを固定している爪は切断してます(このモーターは非分解構造です)。
ちょっと意外なのは、東京マルイのEG-1000は高級モーターなのに軸受けがメタル軸受けなんです。モーターのタワーはナイロンの軸受けです。
一方、中華モーター(机モーター)はベアリング軸受け! そこまではいいのですが、タワー部は軸受け無しです^^;
さて、モーターは上記のもの以外にも何種類も存在します。特に中華モーターはかなりの種類が存在します。
これから何をするかといいますと、各モーターのパーツをすべてバラして、何十、何百パターンとあるパーツを組み合わてみて、どの組み合わせで最高のパフォーマンスが得られるか検証していきます。
さらに、取り外したローターのコイルの巻き数、線形との組み合わせを検証してデータをとります。
こちらは自作の起動トルク測定器です。支点、作用点の長さと重量から計算上でトルクを算出します。
各種組み合わせをモーターテスターにて測定し、エクセルにデータを落としていきます。
コイルの巻き数と線形はコイルをバラさないとわかりませんので、測定後にコイルをバラしていきます。
測定結果より、コイルの線径、巻き数、巻き方、ブラシの種類、ブラシスプリングの巻き数や線径・レート、などの組み合わせによってどのような特性があるのか見えてきました。
そして、ついに・・・
前代未聞の
「手巻き自作モーターの製作」に取り掛かり始めました(爆
左はマルイのEG-700、右は机モーターです。
マルイと机ではコイルの巻き方が逆でした。例えばマルイのモーター缶に机のローターを入れると、モーターは逆回転します。
お金をかけずに作りますので使用するローターは机モーターです。
ショップに行くと中古で1個100円くらいで売ってます。
これ、どんな環境で作られてるのかわかりませんが錆が凄いです。ペーパーポイントで丁寧に錆を落としていきます。
コミュも研磨します。
こんな感じでローターをオーバーホールします。
コイルといえばエナメル線というイメージですが、今エナメル線というものは殆ど売ってません。コイルに使用する銅線はポリウレタン線(UEW)かポリエステル線(PEW)になります。
銅線の線径と巻き数の組み合わせは無数にありますので、とりあえず巻いて試運転、巻き数を変更して試運転・・・ もう写真には撮りきれないくらいの数のコイルを巻きました。
電動ガンのモーターを手巻きしている人なんてもちろんいませんのでそれはそれは苦難の連続です。
もちろんマニュアルなんてものは存在しません。
完成品をゆっくりバラしてコイルをほどいてどのような巻き方をしているのか頭の中に叩き込みます。
試運転すると遠心力で写真のようにコイルが膨らんでクラッシュしたり・・・
高回転で回すと熱でポリウレタン線の被服が溶けてショートしたり・・・
そしてあらゆるテストと試行錯誤を繰り返した結果、ようやく完成への道筋が見えてきました。
使用する銅線は、線径0.8mmのPEWに決定。
コイルはシャフトに2巻きほど絡めてからコミュに引っ掛けます。
巻き方は様々な方法がありますが、マルイモーターと同じ方法で巻いていきます。
線径0.8mmとなるとかなりの力が必要ですし、隙間無く綺麗に巻かないとコイルがバラけてマグネットに干渉します。
コイルを巻き終えてコミュにカシメたところです。
PEWは半田の熱でも被覆が溶けませんのでカシメの部分はきっちり被覆を剥がさなければいけません。
そしてカシメの部分にハンダを流していきます。この接触面積で回転数に大きな差が出てきます。
ハンダがコミュのブラシ接触面に流れたらアウトですので慎重に・・・。
次にコイル部分を固定します。
この材料選びはかなり苦労しました。通常の回転では問題なくても超高回転になるとコイルの熱と遠心力で固定材が溶けてローターがクラッシュします。
常温重合レジンを使用することにより解決しました。
固まるとほぼ透明になりますので分かり辛いですが、こんな感じです。
固定が終わりましたらローターのバランス取りを行います。
マルイのモーターはバランス取りは施されてませんが、一応究極のモーター作りを目指してますのでやっておきます。
新品のカッターの刃を二枚縦に並べてゆっくりと転がせます。
ローターの重い部分が下になり、振り子のような動きをしますので、その対角線上の中央にマジックでマーキングしレジンを積んでいきます。
決まった位置で止まらなくなればOKです。
モーターのタワー部分にベアリングを入れますので、フライス盤でベアリング用のザグリを入れます。
電動ガンのモーターのシャフトはインチ規格ですので、ベアリングも内径もインチ規格のものを使用します。
通販でないと入手できません。
タワーの反対側にも同様にベアリングを仕込みます。
これでSYSTEMAと同じ4ベアリング仕様になります。
こんな感じですね。
ただし、このタワーはM16などのロングモーター仕様のエアガンには必要ですが、コリンコフはタワーのないショートモーターを使いますので今回は必要ありません。
ローターのバランス取りが終わったらモーター缶へ組み込んでいくのですが、マグネットが一番ローターを引き付ける位置、ニュートラルゾーンとでも言うのでしょうか、その位置にくるようにモーター用のシムを使って調整します。
細かいことを書くとキリがありませんので省略します。
ブラシは「ラグ端子」というパーツを使ってエンドベルに接続します。
使用するブラシはこちら。ラジコン用ですが「スプリントプラス AH フルフェイスブラシ」です。何10種類とテストした結果、このブラシが最も高回転で回りました。
ラジコン用の規格で作られてますので、電動ガン用のモーターに合うようにサンドペーパーで削ってサイズを合わせました。
ブラシとラグ端子はこのように接続します。
通常はブラシスプリングに引っかけてあるだけですが、これだけでも接触面積が増えて高回転まで回ります。
そして、エンドベルは今後のオーバーホールやベアリングの注油もできるようにネジ止めしていつでも分解できるようにします。
モーター缶は元々グレーでしたが、ブルーのメタリックに塗装しました^^
2種類ありますが、若干内部の仕様を変えてまして、低ボルトでも高回転で回る仕様、高ボルトで高回転が回り鬼トルクを発生する仕様の2種類となってます。
これで自作モーター、完成です!
さて、このモーター、どれくらいのポテンシャルを秘めているのか。。。
参考値ですが、
・机モーター:8.4V時 毎分19800rpm
・マルイEG-1000:8.4V時 毎分28380rpm
・マルイEG-30000HC:8.4V時 毎分30000rpm(メーカー公表値)
・SYSTEMA マグナム:8.4V時 毎分30360rpm
・クリスチーネ自作モーター:8.3V時 毎分51900rpm !!!
なんと、5万回転を超えてしまいました(驚
そして、実射性能です。
ただモーターが高回転で回っても実射性能なしでは何の説得力もありません。
参考値ですが、
・東京マルイ ハイサイクルカスタム MP5 A5 HC 8.4V
25発/秒 初速85m/s
・ガンショップFIRST 最強のハイサイクルカスタム「タキオン」 13.2V?
39発/秒 初速92m/s 0.84J
・クリスチーネ中華ハイサイクル自作モーターカスタム 11.1V
49発/秒 初速98m/s 0.96J !!!
ただの49発ではありません。初速が規制値限界ギリギリの98m/sです。
ハイサイクルには詳しくありませんので分かりませんが、初速を加味すると恐らく前人未到ではないでしょうか。
40発の壁・・・
カスタムのプロショップでも中々越えられなかった壁を、ド素人の私があっさりと超えてしまいました。
恐らく、13.2Vキラーバッテリーを入れてさらに初速を90m/s前半まで落とせば55発/秒まではいくと思います。
表舞台に立つことが苦手な私は、若干微笑みながらこの記録を胸に終い込みエアガンの趣味から手を引きました。
やるからには一つでも伝説を残したい。
・なぜ500馬力必要なの?
・なぜ320km/h出る必要があるの?
・なぜパワーが必要なの?
・なぜ1秒間に50発も弾が出る必要があるの?
・なぜギターを速く弾く必要があるの?
女性陣からはこんな問いかけをされることがあります。
わかりません。
ただ、
それは・・・ 「男のロマン」なんです。
最後に車ネタです。
ヤナセで修理を依頼していたSLのトランクですが修理から戻ってきましたので早速ハザードスイッチを交換してみました。
「えっ」というオチがありましたが詳細は交換方法含め整備手帳にUPします。