ブリーフ&トランクス、我々の年代ではカラオケの定番でしたが…。
ここんとこ仕事が暇です。時間をサバ読みに会社に行ってる気がします。家ではもっぱらそに子をレンズに収めるのが日課です。どうも、H-TECです。
先日インジェクタの(インチキ臭い)お話をしたんですが、その時にジョークで触れたバルトロのことが少し気になっていました。
言い訳がましい弁明をしますとそもそも、あそこでバルトロについて触れた意味ってのは単純にドイツ人頭オカシイよね。って話だけだったんですが、まあ身近にBMW関係者もいることだし実際のトコどーなのよ?ってとこを聞いてみました。
バルトロとはなんぞや?というのを説明するのは今更ですけど、簡単に言うとスロットルを電スロに変えてもまだまだ問題があるからいっそのことスロットルやめちゃおう。そんな発想で作られたものです。
全く参考にならないけど一応Wikiを貼っときます。
で、結構このトリックとか謎とかあんまり知られてなくて、その筋では昔のVTECみたいに神話めいているところもあるんですがそのへんぶっちゃけた話を、本家の人から聞いてみたので少し転載してみますね。
まずバルトロが開発された経緯について。
私は直噴とバルトロって平行軸上で考えていたんですが、以下のようなモノらしいです。
「高性能&低燃費に加えて高出力&ハイレスポンスなエンジンを設計するというコンセプトが始まりです。
当初検討していた直噴は,リーンバーンによるNOxで触媒が痛み易い為に採用が却下。そこで高圧縮比&ロスの排除に主眼を置いて開発されたことがバルトロ誕生の要因ですね。」
ハイ出ました。リーンバーンが触媒へ与える悪影響。これは先述のJTSにも共通する点です。結局、希薄燃焼の際に発生するNOxの還元っていうトコが難しかったんですね。
具体的にはどんなギミックなの?
「バルブトロニックについてまず誤解されがちなのが,単にスロットル開度=バルブリフト量の機構ってコトですね。確かに間違いではないですが,これだと50%です。バルブリフト量無段階調整機構を要として,IN&EXバルブタイミングの可変機構である"ダブルVANOS"と組合わせて初めて"バルブトロニック"になります。」
要するに、i-VTECのさらに賢いヤツってことですね。IN/EXの制御ができて初めてバルトロ、ということです。
じゃあ実際メリットって何なんだってばよ?
「メリットはもちろん,スロットルバルブの廃止によるポンピングロスの低減。通常エンジンは,スロットル全開でない場合は常にマニホールド内に負圧が発生していて,これがピストンの下降を妨げる,つまり"ポンピングロス"が起きるワケです。
ところが吸気管内で面積を絞るスロットルバルブない=負圧が発生しない(常に全開)状態であれば,理論上ポンピングロスはゼロ。
さらにバルブタイミング可変機構の"ダブルVANOS"との組合わせで吸気途中でバルブを閉じ,実効圧縮比を向上させる所謂"ミラーサイクル"としても機能するので,吸気量&実効圧縮比の連続変化が可能=膨張比が大きくかつ高効率が可能なエンジンとなります。
ついでにスロットルバルブを介した吸気ではなく,バルブリフトによる直接の吸気の為にレスポンスに優れている点も特徴ですね。」
少し前にマフラーの背圧がどーのこーので酸欠状態になるって話をしましたが、簡単に言うとアレがインマニ及びサージタンク内で起こっているのが"ポンピングロス"って話ですね。
さらに、通常のエンジンではスロットル→INバルブといういわば二重の吸気制御を行っていることになりますが、これも簡単に言ってしまえばロスだから取っちゃおうと。そんな発想ですよね。
しかしどうして、バルトロそのものは世間に多く広まっているわけではなさそうですね。デメリットは何なんでしょう?
「デメリットですが,まず機構が複雑過ぎるってところです。リフト量無段階調整に用いるエキセントリックシャフト,それをロッカーアームに伝えるアーム,エキセンシャフトを動かすモーター…等々。さらにVANOSの作動・制御機構も加わって重量がかさみます。
当然これらの制御に油圧,或いはシャフトを使う為に頻発するオイル漏れ…エンジンオイル漏れの原因の3割くらいはこれらが占めていると言ってもいいでしょう。
それから負圧が発生しないこともデメリットになります。ブレーキブースターは相変わらず負圧を使うので,インテークラインからは負圧をとれません。と言うよりインテーク側も大気圧になってます。その為負圧生成用のバキュームポンプを使うほかないのですが,コレを駆動するのにカムシャフトを使うので,これまた僅かな駆動損失になるワケです。」
なんでドイツの機械ってWW2あたりからそんなワケわかんないんでしょうね…結局ギミックが難しすぎることがデメリットのようです。メカニックの話なんか聞くともっと大変だなって思います。
しかも、驚くなかれ挙げ句の果てにはバルトロが故障して暴走を防ぐためにアイドル用のスロットルはちゃんと付いているんだとか。アレ…意味ないジャン…。
この会話、オチが付いて終わるんですが以下のようなものです。
「ちなみにM3に採用されているエンジンはバルブトロニック付いてないんです。
理由としては超高回転ユニット故に連スロを採用しているからで,そこから推測できるようにバルブトロニックは,極低回転から高回転までで有効なのであって,徹底的にパワー&効率を追求すればただのムダでしかないってことは間違いないです。」
えーっと…ここまで来て私がサムネをM社にした理由を理解していただけたかと思います。(汗)
ご存知のとおりM3のエンジンといえばS65なわけですが、結局のところバルトロは「高回転に特化した場合では」意味がないということです。
この二つの事実から私が推察するのは、昨今のEuro6やスーパークレジットみたいな企業責任の動きから、BMWとしても環境アプローチのあるエンジンと「BMWが本当に作りたいエンジン」との兼ね合いという方向を目指しているのではないかと。
もちろん具体的な数値や結果に現れないとそういう規制には対応し得ないわけだけど、結局そういう規制で一番の実害を受けるのはドイツのハイエンドメーカーになってくるわけで、じゃあEU全体の環境推進に対しても表向きのアプローチ(=リスクヘッジ)を作っておけばいざという時に切り札になるんじゃないかなと。
だって、そういう方向性を考慮に入れない限り、
このタイミングで発売されてるアクティブハイブリッドとか、よもや全くの無意味でしょ。と、個人的には思うんだもの。
もっと抜本的な話をするとEUと日本の環境基準自体目指すところが違ったりします。少し前なんかはEUはとにかくCO2を嫌がった。なぜなら海抜の低い沿岸諸国は温暖化に対する危機感が非常に強かったからです。それに対して、酸性雨や大気汚染に対する懸念のほうが大きい日本においてはとにかくSOx、NOxが嫌われていた。クリーンディーゼルで出遅れた大きな要因はここらへんの政府政策にありますよね。
とまあ…何やら小難しい将来についての杞憂みたいなネガティブな話になってきましたが、要するにバルトロってのは"いかにもドイツ人らしい意味わかんねー機構"だね。くらいの理解にとどめておけばいいのかなと。笑
まあ私は、超レスポンス高回転エンジンのほうが当然好きですから、M3買うならE46のCSLかなあ…などと言ってみたりしますがそれ以前にまず乗りたいのはクワトロなので、今度発売されるA3セダンのコンポーネンツが気になります。昨今流行りのCセグ以下セダンってのが、日本市場でどんだけ需要があるんでしょうか。おそらく売れるとは思いますが、「売れる」以上の魅力があるのかなあ…?と、少し着目してみたいところです。
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2014/02/05 22:40:15