Ｔバードはそこにいる。

とある暑い夏の日、千葉県の房総半島某所にやってきた。
目的は背後に見える黄色い飛行機だ。

ここはとある工業団地の一角にある小さな公園。
ここの片隅に古い飛行機が飾られている。

これが何なのか知るものはこれだけしかない。
補足するとこの機体はアメリカ製ノースアメリカンT-6テキサン練習機だ。1930年代に作られた物だが戦後に日本にやってきたらしい。退役してからここに展示されるようになった経緯はわからない。

この公園にはもうひとつ慰霊碑がある。
それによるとこの地には戦時中軍の飛行場がありそれに纏わる戦没者を祀るために建てられたとのことだ。

その飛行場は終戦により役割を終えたがエックス状に配置された滑走路は今も痕跡を残す。
あるブレーキメーカーが滑走路をまるまるテストコースに転用したので上空から見ればよく目立つ。

ただこの飛行場と展示してある飛行機とは特に繋がりはない。
おそらくかつてこの地に軍の飛行場があった事を示す代弁者として置かれることになったのではないか。

今年で終戦から70年。かつてこの国にも悲惨な戦争があったこと、そして多くの人間が戦争により亡くなっていったことを記憶に留めておきたい。

彼は、今日も此処にいる。
今はもう届かない大空を見上げ永遠の夢を見る。