緊急脱出ハンマーの選定と設置(1)
目的 |
修理・故障・メンテナンス |
作業 |
DIY |
難易度 |
![](/images/icon_difficult_on.svg) 初級 |
作業時間 |
30分以内 |
1
緊急脱出ハンマーの選定(1)
ここのところゲリラ豪雨の事を良く聞くようになってきた。降雨の夜間に運転していると、道路が冠水していても気がつかずに突っ込んでしまうことがあるらしい。そこで緊急脱出ハンマー(シートベルトを切って、ガラスを割る道具)を車内に設置することとした。
その選定にあたって考えたこと、また設置にあたって考えたこと、さらに実際の設置を、数回にわたって記録する。
いざというときに使用する品物であるにもかかわらず、訓練というと大げさだが、非常時を想定しての実習というか体験ができないところに、本製品のミソがある。性能の評価が、自分ではできない。ベルトを切ってみることもできなければ、ガラスを割ってみることもできない。と言うことは、第三者の信頼できる誰かが評価したものの中から選ばざるを得ない。
また、品物そのものの評価も大切であるが、設置位置もまた非常に重要と思われる。シートベルトがロックされてしまえば、助手席まで体が動かせなくなり、助手席側まで手が届かないこともあるのではないか。また横転したときに、どこかへ飛んでいかずに定位置にあることも重要と思う。すなわち、後付けであるがために、緊急時に取りやすいところに設置できかつ運転等に邪魔にならないこと、さらにきちんと保持できるもの、でなければならない。
(写真は、「自動車用緊急脱出ハンマーの性能-シートベルトカッターが付いているものを対象に-」国民生活センター、平成24年5月、より)
2
○ 最初に頼った機関
まず最初に私が頼った第三者機関は、自動車メーカー。すなわち、メーカーの純正品というかオプション品。自動車メーカーとして、信頼できる製品をアクセサリーとしているであろうし、また設置位置も案内をしていると思う。そしてその中から、自分の考えに合う(使いやすそうで、かつ設置しやすいもの)を選定することとした。
そこで各社のホームページを見に行った。その結果が以下の通り。
VW:まずはゴルフ君の輸入代理店のカスタマーセンターに聞いてみたが、日本のVWとしては用意していないとのこと。販社では扱っているかもしれないので、聞いてみて欲しいとのこと。とはいうものの、各車種のアクセサリーカタログ中の「Q_Bag」に「ハンマーライト」というものがあり、これが緊急脱出ハンマー。Websiteには、それ以上の情報は、一切ない。VW Proffessional Service Library Ver8 (2012.12) という小冊子が手元にあるが、「安全で快適なカーライフのために、こんなときどうする」なんて書いてあるものの、閉じ込め事故の記述は何もない。輸入代理店なんて、まぁ、こんなものだろう。
日産:日産のサイトを見ても、水没等の安全紹介にたどり着けるような案内が全はくない。トップページからアクセサリーをたどってみるが、わからない。楽天等のネットショップには純正品があるように記述はされているのだが。トップページのサイト内検索で「緊急脱出ハンマー」を検索するも「該当無し」との結果。いろいろと探ってみると、限られた車種のサイトにあるのを見つけたが、商品のみの紹介があるだけで、設置や使用法の案内もない。メーカーとしての責任が感じられず、信頼できないので、パス。
トヨタ:日産と同じく、水没等の安全の案内にたどり着けるような案内が全くない。トップページからアクセサリーをたどってみるが、わからない。楽天等のネットショップには純正品があるように記述はされているのだが。トップページのサイト内検索で「緊急脱出ハンマー」を検索するも「該当無し」との結果。やっと見つけたが、それは「カーケア」という「もっときれいに、快適に」という中。それも商品のみの紹介があるだけで、設置や使用法の案内もない。メーカーとしての責任が感じられず、信頼できないので、パス。
マツダ:メーカーサイトの「アフターサービス」の下の「万が一の事故のときは」の中に商品の紹介があるのみ。設置や使用法の案内もない。メーカーとしての責任が感じられず、信頼できないので、パス。
三菱:日産やトヨタと同じく、水没等の安全の案内にたどり着けるような案内が全くない。トップページからアクセサリーをたどってみるが、わからない。トップページのサイト内検索で「緊急脱出ハンマー」を検索するも「該当無し」との結果。いろいろと探ってみると、1車種のサイトにあるのを見つけたが、商品のみの紹介があるのみ。設置や使用法の案内もない。メーカーとしての責任が感じられず、信頼できないので、パス。
ホンダ:2つの紹介がある。1つ目は、「アフターサービス」の「ワンポイントアドバイス」の「トラブルシューティング」の中の「クルマが浸水・冠水してしまったら?」に、どのように対処するかが書いてある。そしてその対応商品として2つの案内があり、そのうちの1つが商品詳細ページへリンクし、1ページだけど使い方も書いてある。またその取り付け例も、小さい写真で見にくいが記載がある。2つめは、「アクセサリー」の「純正アクセサリー」の中の「安心・盗難防止」の中に商品紹介があり、上記1つめの商品詳細ページへリンクしている。
富士重工:日産やトヨタと同じく、水没等の安全の案内にたどり着けるような案内が全くない。トップページからアクセサリーをたどってみるが、わからない。トップページのサイト内検索で「緊急脱出ハンマー」を検索するも「該当無し」との結果。関連すると思われる商品の案内が全くわからない。話の土俵にも上がらない。メーカーとしての責任を全く考えていないのだろう。
スズキ:日産やトヨタと同じく、水没等の安全の案内にたどり着けるような案内が全くない。アクセサリーで、車種ごとのPDFカタログに商品の紹介があるのみ。サイト内検索もできないので、関連すると思われる商品の案内の有無も全くわからない。メーカーとしての責任が感じられず、信頼できないので、パス。
以上の国内自動車メーカーのWebsiteの商品案内は、ホンダを除きレベルが低すぎて、「お粗末」。標準装備品として最初から搭載されていないオプションなのであるし、それ自体の価格は高くないものの、人命救助の品であることから、自社の自動車にどのように考えて、その商品を採用し、顧客に提供しているのか示すべきと思う。が、その姿勢が全く見えない。脱出用工具であるにもかかわらず、その使い方も、また設置場所についても、なんら情報が提供されていない。
例えば上記写真の真ん中の製品は、日産等が採用しているが、シートベルトカッターの刃の奥行きが浅いことに一目で気づく。これでは、眉毛切りはさみで、緊急時に、非常に切れにくいシートベルト切りに挑むようなものではないのか思ってしまう。しかし、その不安を解消するような情報は全く書かれていない。案の定、本製品のシートベルト切断性能は、下記レポートによれば、かなり悪い。
当初期待した自動車メーカーとして、自分で性能評価して、商品を採用し、ユーザーに案内しているとは、とても思えない。トヨタに至っては、「あなたの車を凶器に変えないでください。安全な車づくりをめざすトヨタからのお願いです。」と国内で初めて車を危険物に位置づけた名誉ある地位を捨てている姿勢だ。もちろん、ホンダも決して見やすいとは言えない。
まぁ、閉じ込め事故の発生度合いを製造台数で割って考えて、さらにその商品価格を考えると、メーカーとしてはそんな位置づけになるのだろうか。
3
○ 次に頼った機関
次に頼ったのは、国民生活センターのレポート。上記に書いたメーカーの製品を検索する際に見つけた(
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20120510_1.html)。
ただこのレポートを読んでみると、その実験手法も、評価方法も、とても公的機関が書いたまともなレポートとは言いにくい。簡単に言えば、採用されている試験方法が明確ではなく、定量化しているとは言えず、官能試験のように見えてしまう。しかも消費者目線でないところがレポートとして中途半端。これじゃぁ、使い物にならない。「暮しの手帖」の試験手法や評価を見習って欲しい。
とはいうものの、少しだけど参考できる記載もあった。自動車メーカーごとに採用されているという商品のリストと、シートベルトが切れにくいという商品があった事、の2点。
上記を見てきたように、頼ることのできる評価報告がないことから、仕方なく、国民生活センターのレポートでシートベルトを切りにくいと評価された製品(日産とスバルが採用しているライフハンマー)を除き、それぞれのハンマー製造メーカー、または輸入代理店による製品紹介を見て選定することとした。
日産:ライフハンマー(LHJA002), (株)ジーエム, \2,394.-
トヨタ:レスキューマンIII, 丸愛産業(株), \2,415.-
マツダ:レスキューマンIII, 丸愛産業(株), \2,415.-
三菱:レスキューマンIII, 丸愛産業(株), \2,415.-
スバル:ライフハンマー(LHJA002), (株)ジーエム, \2,394.-
スズキ:緊急ツール(RE-20), 長谷川刃物 (株), \1,780.-
ホンダ:商品テストの対象品となっていないが、ホンダのサイトから以下の2商品が純正として扱われていると思われる。
・ハイフレヤープラス+ピック, 日本カーリット(株),
・消棒RESCUE, (株)ワイピーシステム,
4
○ 次回
緊急脱出ハンマーのメーカーの自社製品紹介(各社のWebsite)から、私が製品を選定した経緯を記録する。
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