秘密の『秘密基地』へ ① プロローグの続きです。
繰り返しますが…
この場所を御存知の方はくれぐれも、
場所の特定出来るコメントはお控え願います。
更についでですが…
政治的な議論をするのが目的ではないので、
そのようなコメントは一切お受けしません。
以上、御了承下さい。
ここは、宮城県の某所…
観光遊覧船も往き来する『某有名景勝地』の裏側です。
東日本大震災で壊滅的な被害を受けた漁村を抜けて行くと、
急に道が細くなりサムネの駐車場に行き当たります。
駐車場と言うより…
ここで引き返す為の転換場のようです。
車を停めてドアを開けると
大量のセミが騒がしく鳴く声が降り注ぎます。
この先、更に道が細くなり
ぱぁ次郎と入る事は不可能なので
ここで独り寂しくお留守番をしてもらいます。
梅雨のせいで、山から湧き出るのでしょうか…
冷たい水の流れる道路を歩いて行きます。
幸いこの道は、舗装されているので
所々、土砂やコケが有るものの
足下にはさほど気を使わずに進めます。
流れ出る水のせいか異様に気温が低い上に
路の上にはモヤが立ちこめていました。
途中、錆び錆びの通行止看板が出てきたり
古く苔むした鳥居があったり
近くにお寺は無いはずなのですが…
時折、梵鐘(お寺の鐘)の音が聞こえたり
(後日、山の中に観音堂があることが判明)
たくさんのカラスが行く手を阻むかのように
ギャーギャー鳴いたり
ヤバい雰囲気満載です。
150m程、歩くと霧の向こうにシダ植物とコケに覆われた
砂岩を手彫りしたようなトンネルが現れます。
ここが秘密基地の入り口です。
一昔前の軽自動車なら通れるかな?というサイズです。
画像では、明るく写っていますが…
実際に入り口に立つと出口が見えるものの
中は真っ暗で何も見えないんです。
異世界に通じているかの様な不気味さが漂い…
『息子を無事に
連れて帰れるだろうか』
…との不安が頭をよぎりました。
入り口は、上から水が滴り落ちて暖簾のようになっていて…
『本当にこの先に行きますか?』
…と、心に問い掛けてくるようです。
引き返そうかとも思いましたがそれ以上に
行かねばならぬ気がして
息子と話し合い (彼も同じ感じがしたそうです)
トンネルへ入りました。
…と、言うより『飛び込みました』
けっこう濡れてしまいましたが水暖簾をくぐる時に…
『もう、元(の思考)には戻れませんよ』
…と、聞こえた気がしました。
中に入ると舗装と水の流れは続いていますが
崩れた砂岩が堆積していて足下がぬかるみます。
今にも崩れ落ちそうな天井と、
吸い込まれそうな闇に怖じけながらも、
何かに引っ張られるように進みました。
5~60m程のトンネルなのですが…
出口が見えるのにたどり着けないもどかしさと
崩落の危険と、闇から何か飛び出してきそうな恐怖に
何キロも歩いているような錯覚を覚えました。
やっとの事でトンネルを抜けると…
鬱蒼と茂る林の間の坂を下ります。
坂を下り切ると…
魑魅魍魎の類いが出てきてもおかしくない怪しさと
腐った潮臭さと、むわっとした湿気が襲います。
更に恐る恐る進むと…
道の右側に断崖が現れます。
そして、その断崖の下に…
先程、抜けてきたトンネルよりも更に不気味な
小さなトンネルがぽっかりと口を開けています。
こんなトンネルが5~6穴、間隔を置いて並んでいました。
半分は木々に隠れて、こちらを伺っているようです。
幅2〜3m
高さ1.5〜2m
奥行き 不明
不明というのも…
実のところ、あまりに不気味過ぎて中にも入れず。
チラッと見ただけなのです。
じっと、見つめたりしたら何かが出てきて、
中に引き摺り込まれる様な気さえしました。
これ、震洋の格納壕なんです…。
戦後、基地が廃棄された後に漁港になり…
いつからか漁港としてもあまり使われなくなり
東日本大震災の津波の被害も受けて
現在は、漁港としても完全に廃棄されています。
格納壕は、漁港だった頃に
漁具置場として使われていましたが
漁港の廃棄と共に漁具も置き去りにされています。
先の翁に聞いた話では…
今、ここを使っているのは『密漁者位』なんだとか…。
何にしても、ダークな場所です。
壕を過ぎると視界が開けて
リアス式海岸の
特徴的なギザギザとした入り江が拡がります。
その地形故に外洋からの影響は受けにくく
ヘドロの臭いが鼻をつきます。
波も穏やかで、恐ろしく無音です。
トンネルの向こうでは、あれほど騒がしく
鳴いていたセミの声さえもしません。
あちこちに大きな焚き火の跡があり
おびただしい貝殻が転がっていて
この世とも思えない異様な感じがします。
海岸はコンクリートで舗装されて、一角だけは
なだらかな斜面となって海へに入って行きます。
その斜面の上に赤錆たレールが手前と奥に2本…
造船所で船を進水させるのに使われるような敷き方です。
2本のレールの更に奥には、
水没した船着き場の様な物もあります。
噂では、このレールを使い
震洋を進水、陸揚げしたのだそうです。
真実は不明ですが…
この小さな漁港で漁船を進水、陸揚げに使うには
レールが二条あるのも不自然な感じがします。
朽ち果て具合も、最近の物ではない気がします。
片方のレールの上には、赤錆てはいるものの
しっかりとした作りの台車が載っています。
震洋をこれに載せて運んだのでしょうか?
ここにある施設は、謎だらけですが…
わかっているのは…
74年前に、この周辺の沿岸を守る為に
特攻隊の基地が置かれた事。
そして…
幸いにも、
本土決戦も宮城県沿岸での
艦砲射撃も無く、
第146震洋隊は出撃すること無く終戦を迎えた事だけです。
秘密の『秘密基地』へ ③…へ続く。
Posted at 2019/08/05 14:16:20 | |
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