前回のBMW 320i
私情記に引き続き、
今回は先日試乗してきたシトロエンC5について。
最寄のシトロエンのディーラーはそれなりに大きい街の駅から程近いところにあります。
そのため、先ずは混雑する駅周辺地帯を抜けるまで助手席であれこれ見たわけです。
助手席に座って先ず感じたのがシートの平らさ。プレセア以来スポーツ系の
グレードに乗り続けている所為で、バケットシートに慣れきった身体にはなんか
落ち着かないものを感じさせられました。おまけにシート内蔵アームレスト。
倒すとサイドブレーキが引き難い…… まぁ、使わなければいいだけですが。
車内のデザインは質感も含めて丁寧に作られた感じが伝わります。尤も、
オーディオ操作レバーがステアリング脇にあって、レバーがステアリング周りに都合4本。
その点は後発のC4のようにセンターに並べた方が操舵時にぶつからない気もしました。
エンジンが目的の2lではなく3lだったこととATが6速だったこともあって、
シフトチェンジは気にしないと判らないレベルです。まさに噂通りの乗り心地で、
寛ぐにはもってこいという感じでした。工事現場のギャップも呆れるほど卒なくこなし、
某公園際で路肩に寄ったところで交代です。
外に出て改めてよーく見ると、意外にも大きさを感じません。
320iと較べると元々あちらの方が広いとは言え、C5は一回りも二回りも狭く見えます。
スラントしたボンネットとそこから綺麗に立ち上がるフロントウィンドウの所為でしょうか。
320iがある意味押し出しの強さと立ち上がりの鋭さを見せるのに対して、C5はあくまで
しなやかなラインを見せています。その流れはルーフを越えてリヤウィンドウ……
もとい、まるでトランクのように見えるC5独特のハッチゲートまで辿り着きます。
寧ろ320iより長いボディーですが、そのお蔭でスペースには余裕もあります。
実際中から見ても広さは充分で、後席も足元ゆったり。シートも4:6可倒で使い勝手は
申し分なし。ハッチゲートとの組み合わせでかなりの荷物を積めそう(詰めそう)です。
さて、本題の運転席での感想です。
助手席で感じた乗り心地のよさは勿論、運転席でも変わりません。それでも流石に
大きなギャップはきちんと伝えてくれますし、ロールも大きくはなく意外にも
キレがいい動きをします。
動き出しには不安を感じたほど軽いステアリングも、速度が乗るとしっかりとしてきます。
20-30km/hの渋滞気味のカーブでは、ステアリングを切った状態で手を離すとそのまま
戻らず曲がっていきます。処が、交叉点でしっかりステアリングを切って立ち上がりで
加速しながら手を離すとあら不思議、今度はしっかり直進位置まで戻ろうとします。
兎に角そんな風に安心して横着ができる車ですね。例えば二車線道路で前の車が
いきなり右折ウインカーを出すような状況で、一旦減速して安全を確認したら左に
レーンチェンジ、加速しつつもう一度右にレーンチェンジ、なんて一連の動作が
小気味よく決まります。
そうそう、視界の広さに触れるのを忘れちゃいけません。
320iの「コックピット」感と違い、元々オープンなデザインな上にドアミラーの下の隙間から
路面がしっかり見えるデザインのお蔭で自車の位置を掴み易いのもいい感じですね。
窓の大きさと内装色の所為もあるのでしょうが、明るく見通しのいい運転席です。
全体を纏めると、320iとは違い「しなやかで綺麗な車」と言えばいいのでしょうか。
シトロエンに共通する「各車それぞれのパッケージに合わせたデザイン」もC5では
ハッチゲートという遊びと相俟って大人の優雅さを感じさせられます。
「乗りこなす」なんて堅いことを言わず、あくまでもしなやかに流すのが似合う車でしょう。
尤も私にとっては、VWゴルフ(愛車である4代目GTI)ほどやんちゃでなくていいから
もう少し「無茶」をさせて欲しいところです。
寧ろシトロエンではC4の方が今の私には相性がいいのかもしれません。
最後にその他のシトロエンについても少し。
お洒落と粋が共存するC4クーペも、実用性重視のC4サルーンも洒落た楽しい車です。
国産ミニバンと実用性で較べると厳しいけどクサラピカソは大人(熟年(?))の魅力ですし、
C3プルリエルはVWビートルのオープン版とクローズド版に更に+αした車です。
余り目にする機会がないのが難ですが、どのシトロエンも一見の価値ありです。
--
こちらも一年後の補足。
実は(買う気はないものの)一番気に入ったのがプルリエルだったり。
「丸」をテーマにした車にはVWのNewビートルがありますが、あれの
カブリオレは丸さを捨ててしまっています。それと比べると、
プルリエルの丸いこと。屋根があろうがなかろうが、ちゃんと丸です。
シトロエンらしく、見ているだけでドラマが目に浮かぶような車です。
#そんなわけでちょっとした小話を書いたのでいずれどこかに載せます。