地元弁護士会に提出した書面です。
2020年(綱)第1号、2号、3号懲戒申立事件
懲戒請求書追加書面
令和2年7月31日
某弁護士会 御中
懲戒請求者 非純正銀2色
懲戒請求対象弁護士W氏(以下「W弁護士」と言う。)による令和2年5月29日付け答弁書、懲戒請求対象弁護士T氏(以下「T弁護士」と言う。)による令和2年5月29日付け答弁書、懲戒請求対象弁護士I氏(以下「I弁護士」と言う。)による令和2年5月29日付け答弁書に対する反論および当方による令和2年4月17日付け懲戒請求書(以下「請求書」と言う。)の補足を行う。
第1.各弁護士と保険会社の関係について
各弁護士がT保険(以下「保険会社」と言う。)の契約弁護士であることは、平成30年5月21日の保険会社からの聞き取りのみならず、当方との過去の委任契約、某弁護士会平成30年(綱)第1号でのW弁護士の答弁書などから明らかであるが、W弁護士による平成29年12月13日に発生した当方が被害者の交通事故(以下「事故」と言う。」に関する、加害者側との損害賠償請求事件(以下「事故訴訟」と言う。」での保険会社からの紹介による加害者側代理人の受任、当方と保険会社との損害賠償請求事件(以下「賠償請求」と言う。」での保険会社側代理人の受任以外、各弁護士は事故に関連する保険会社との関係を認めていない。
そうすると、保険会社の当方側部門のみならず加害者側部門も契約弁護士が指揮をしない中で事故調査や示談代行を行い、平成30年12月28日の弁護士による見解と称する当方への対応を行ったことになる。
第2.保険会社の利益相反行為、非弁行為および非弁提携について
保険会社(W弁護士)は賠償請求において、損害確認報告書を「保険金算定のために必要であると判断」した時に作成すると主張しているが、事故の一方の当事者について保険金算定のために損害確認報告書を作成しているにもかかわらず、もう一方の当事者である当方について事故の当初から保険金算定の必要がないとする対応は、契約約款や関連する法令、指針に基づかない対応である。(甲1(うち被告第4準備書面)、甲1(うち甲13))
また、平成29年12月22日に保険会社の当方部門から事故の調査結果として当方の損害額が提示されたが、この主張に基づけば、当方に示された調査結果は被害者部門と加害者部門の双方で情報の共有を行っている場合以外あり得ず、平成29年12月22日に示された事故の調査結果は加害者側の資料に基づくものになる。当方との契約約款に基づく対応を行わず、加害者側の資料に基づいた事故対応は明確な利益相反行為であり、損害確認報告書の作成に関わった弁護士についても同様である。
しかし、各弁護士は加害者側を含めこれら事故対応に一切関与していないと主張していることから、保険会社による事故調査や示談代行は日本弁護士連合会と日本損害保険協会の覚書(以下「覚書」と言う。)に基づいておらず、平成29年12月28日の弁護士を称した対応も含め非弁行為に該当するとともに、これ関連する事故訴訟や賠償請求で保険会社の紹介により代理人を務めたW弁護士は非弁提携を行ったことになる。
また、平成29年12月20以降の示談代行に関する保険会社の非弁行為については、保険会社が作成した明確な物証がある。(甲1(うち甲12))
よって、保険会社が利益相反行為および非弁行為を行ったのは動かし様のない事実であり、W弁護士は保険会社の紹介で事故の加害者の代理人となったことを認めている。
第3 W弁護士の守秘義務違反について
W弁護士の主張は、事故訴訟での資料は作成した保険会社に所有権があり、損害賠償で提出した手元にあった資料についても同様に保険会社に所有権があり、自己弁護のために使用する事は守秘義務より優先されると言うことであろうと思料する。
しかし、損害確認報告書には契約者の個人情報を含んでいるが、契約約款「5その他ご留意いただきたいこと 1 個人情報の扱い」にはW弁護士が主張するような使用目的が含まれておらず、保険会社自らの訴訟の為に使用することができない。また、事故訴訟での損害確認報告書は契約約款第5条(1)に基づき保険会社から事故の加害者に提供されたものであり、事故訴訟で乙第4号証と記入し提出された段階で裁判書証となって別物の扱いとなると同時に、所有権は事故の加害者に帰属する。(甲1(うち甲5)、甲2)
このため、W弁護士がこの資料を合法的に使用することが可能なのは、民事訴訟法第91条による訴訟記録の閲覧、謄写を行う場合および事故の加害者の同意を得て守秘義務を解除された場合(民事訴訟法197条2項)である。
W弁護士が主張するような守秘義務よりも自己弁護が優先される要件は、他に代替手段がない場合である。当該書証はこれら手続きを踏めば入手可能であるが、W弁護士は手続きを行わず手元にあった書証を謄写して提出したことを認めている。
よって弁護士としてありえない行為であり、弁護士法第23条に反しているのは明らかである。
なお、弁護士であれば当然知っていることとは思うが、手元にある書証を手続きを踏まずに独自に閲覧、謄写可能なのは、弁護人の独立性が認められている刑事事件のみである。(刑事訴訟法第41条)
第4.W弁護士の非弁提携について
W弁護士は保険学雑誌第640号に基づく非弁提携について否定している。
引用した資料にもあるように、理論上こうなるという見解であって実際に司法の場で結論が出たものではないが、筆者の主張は理論上破綻しておらず、日本弁護士連合会による日弁連LACを通した弁護士紹介制度およびそれに従っている多くの損害保険会社があることを考慮すれば、保険会社およびW弁護士の行為は、非弁行為および非弁提携を行ったと疑うに足りる相当な理由がある。
また、そもそも事故訴訟および賠償請求は、保険会社による利益相反行為および非弁行為が直接の原因となって行われたものである。保険会社は平成29年12月28日に弁護士を騙る発言を行い、事故の加害者との直接交渉に介入するとともに、不服があるなら裁判をするよう当方に働きかけている。これらは明確な非弁行為であり、証言などからこれ以外にも保険会社が日常的に非弁行為を行っていることがうかがえる。
W弁護士は保険会社の非弁行為が直接の原因となって始まった事故訴訟で、保険会社からの紹介により事故の加害者の代理人となることで契約弁護士としての報酬(この中には当方が支払った保険料が原資に含まれているため、利益相反行為に当たらないとした議決書の根拠には甚だ疑問が残るが)に加え、事故の加害者からも報酬を得ており、保険会社はW弁護士の弁護で事故訴訟での当方の請求額が減ぜられたことで利益を得ているため、W弁護士と保険会社には周旋の関係が成立する。
また、議決書に対する異議申し立てでの当方の指摘により、少なくとも平成30年10月12日には保険会社が非弁行為を行っていたことを知っていたが、それ以降も事故訴訟および賠償請求での代理人となっている。(甲1(うち原告準備書面(8)、甲14、甲15、甲16)、甲3、甲4)
なお、非弁提携については、弁護士職務基本規定第11条で「弁護士は、弁護士法第七十二条から第七十四条までの規定に違反する者又はこれらの規定に違反すると疑うに足りる相当な理由のある者から依頼者の紹介を受け、これらの者を利用し、又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない」とされており、W弁護士は「疑うに足りる」どころか、明確に非弁行為を行った保険会社からの紹介で事故訴訟他の代理人となり、保険会社が非弁行為を行ったことを認識しているにも関わらず代理人を続け、保険会社を利用して事故訴訟や賠償請求に必要な資料を得ている。
第5.各弁護士および某弁護士会の認識について
各弁護士による答弁書からは、保険会社よる事故調査や示談代行が覚書に基づき契約弁護士の指揮の下で行われ、保険会社が不法行為を行うと自らに責任が発生することを理解しておらず、保険会社との契約が事故対応の報告書を確認する業務としか認識していないことが窺える。
また、某弁護士会においても、某弁護士会平成30年(綱)第1号での議決書で「当該書面を、作成日に近い日時に受領していたことを、、、」など複数の保険会社およびW弁護士らの行為について問題がないとしているが、保険会社の事故対応は覚書に基づき契約弁護士の指揮の下で行われており、アジャスターが作成した報告書を最初に受け取るのは契約弁護士である。このため議決書は明らかに間違った判断であるとともに、慣例的に行われてきた事故対応の多くがが不法行為に該当もしくは該当する可能性が極めて高いことを認識していない。
第6.懲戒委員会による調査について
請求書で述べたように、今回の請求は各弁護士の主張に関わらず、発注No A7459820の損害確認報告書およびその前後の発注番号の対応を行った弁護士が誰かを調査するのみで事足りる。3名の弁護士が前後の番号についても提出できないのであれば、3名以外の福井地区における保険会社の契約弁護士の存在が確認されない限り(その確認された弁護士が不法行為を行った事になるが)、保険会社が恒常的に覚書に基づく対応を行わず非弁行為を行っていたことになる。
令和2年4月22日付けの調査開始通知書のとおり、懲戒委員会が行うのは審査ではなく調査である。弁護士自治を標榜するのであれば、3名の弁護士に必要な書類の提出を求めることや、他に保険会社の契約弁護士がいないか某弁護士会に所属する各弁護士および保険会社に対する調査を行うなど、厳正な対応を求める。
なお、今回の懲戒請求は、某弁護士会平成30年(綱)第1号の議決以降に明らかになった平成29年12月13日の事故当初から保険会社が契約に基づく対応を行わなかったことによる利益相反行為および平成29年12月20日から28日にかけての非弁行為に関するものである。また、賠償請求は平成30年5月21日に保険会社が行なった行為に関する訴訟である。よって、弁護士であれば当然理解しているとは思うが、どちらも今回の懲戒請求の判断根拠とすることはできない。
以上
Posted at 2020/08/01 09:29:15 | |
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