今日は休日。暑い太陽が照りつける中、ぼくは同期とタクシーに乗って駅へ向かった。
公務員となったぼくは、現在親の住む秋田を離れ、配属先の山形へとやってきた。
とはいっても産まれは山形なので、実質的には「帰ってきた」という表現が正しいか。
同期とは降りる駅が違うので、一旦別れる。ここから単独行動だ。
さっそくレンタルサイクルを借りていざ…といきたかったが、突然のどしゃ降り。近くにコンビニがあったので雨宿り。せっかくの休みがタイムロスでなくなっていく。
1時間半ほど経っただろうか、やっと雨脚は途絶えた。
ここからしばし自分が小学生のころ歩いた道をたどってみることに。
住んでいた家、友達の家、よく行った公園、多少変わっていたが、代わり映えしない景色もあって懐かしく感じた。
そうこうしているうちに、時計は4時を指していた。確かこのチャリは5時に返さないとやばいはず。そろそろ行かねばとチャリを動かしたとき、ふと思い出した。
「そういやあのGT-R、まだいるかな」
小学生のころ、友達と家路についていたとき、信号が変わると同時に勢いよく飛び出してきた赤いBNR32 スカイラインGT-R。
ノーズを少し上に向けながら加速していくその姿は、迫力満点。今でも目に焼き付いている。
どこのクルマだろうかと探し回ると、とあるお菓子屋さんのクルマであったことが判明。
それからというもの、そのお菓子屋さんの前を通るたび、赤いGT-Rを眺めていた。
その赤いGT-Rは、果たしてまだいるのか、このご時世だ。もう手放してるかも…なんて思いつつ、お菓子屋さんへと向かう。すると、
いた。
リア回りに少し塗装の傷み等はあるが、間違いない。間違いなく、当時のまんま、そこに赤いGT-Rがあった。
フルノーマル。前期型。レッドパール。
無意識にも、お菓子屋さんの中へ入った。すると奥からまだ元気なお婆さんが出てきた。
チョコクッキーを手にしてレジにて会計。
お婆さん「はい、240円ねー」
自分「はい」
気になったので、聞いてみた。
「あの、あそこのGT-Rは、いつから所有されているんですか?」
「いつからだべなぁ。息子のだからなぁ。いつまでも手放したがらないし」
オーナーさんは息子さんか。
「あんたも好きで?GT-R」
「はい」
「来るお客さんにたまに聞いてくる人いるんだよね、やっぱり好きな人は好きなんだね」
そりゃ正面にGT-R、それも比較的希少なレッドパールのGT-Rがあればクルマ好きが反応しないわけがなかろう。
談笑した後店を出たぼくは、赤いGT-Rを眺めた後、携帯のカメラに収めて、山形駅へ向かった。
あのGT-Rと再開できたことはものすごく嬉しかった。今日という日は絶対に忘れないだろう。
もし、これをオーナーさんが見ているとしたら、言いたい。
あなたのGT-Rが、昔から好きでした。このGT-Rは、ぼくに元気をくれたと同時に、人生の目標をも決めてくれました。本当にありがとうございました。
目標:絶対、ぜったい、ゼッタイ、スカG乗ってやる!
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2016/07/30 19:57:17