「なかはらの虹」ではなく「ちゅうげんの虹」。
「ちゅうげん」とは今の中国大陸を上のほう、中ほど、下のほうと分けた時の「中ほど」の部分にあたります。北のほうは気候も寒冷で厳しく、作物の生育もあまり良くない地域。当時のモンゴル民族は農耕には頼らず、羊や馬を生活の交通手段や生活の糧としていました。
南のほうは逆に亜熱帯に近く、また河川の豊富な地域でもあり漁業、船舶での交易が主な生活スタイルとなっていたようです。しかし豊富な河川はまた氾濫の元にもなり、肥沃な大地の「ちゅうげん」のもたらす農耕産物のほぼ安定した供給は大陸民族の争いの元として常に狙われる位置にあったのです。
その「ちゅうげん」を一握りの支配層の手から人民の全てに奪い取ろうと、馬賊の総大将「張作霖(チャンヅオリン)」が登場するあたりからの話です。
現在2巻。
浅田次郎は人物の性格を深く、ではなく興味深く読者に読ませるのがうまく、今のところ楽しく読んでます。
「壬生義士伝」が一番好きな作品です。
控えめな主人公の、家族の為に死んでいく上下巻の話は、浅田作品の中で唯一繰り返し3度読んだ作品です。
南部のなまりが主人公に独特な性格描写を加味していて、スマートではないけれど、その見事な「男振り」に惚れ惚れとさせられました。
「おもさげながんす」とは「申し訳ないです」の意。主人公がよく口にする言葉です。謙虚でありながら新撰組一の剣の使い手として、家族に稼いだ金を送る為に敵を両断する。TVドラマ版では主役・吉村貫一郎を渡辺謙が見事に演じていました。
時代物に任侠モノ。ピカレスクに人情モノ。いろいろと手を出してる書き手ですが、文章の読みやすさで気に入ってます。
Posted at 2008/04/03 02:23:56 |
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