前回のブログで等価慣性重量のマジックについて触れたので、ちょっと燃費の話を掘り下げてみます。
カタログ等を眺めていると、同じ車種・エンジンなのにグレードによって燃費が異なるケースがあります。
なぜなのでしょうか?・・・このちょっと不思議な数字のマジックに、ちょっと触れてみたいと思います。
下記にいくつか例を挙げます。
プリウスE 車重:1310kg 燃費:40.8km/ℓ
プリウスS 車重:1360kg 燃費:37.2km/ℓ
ノートe-POWER S 車重:1170kg 燃費:37.2km/ℓ
ノートe-POWER X 車重:1210kg 燃費:34.0km/ℓ
一見すると、「
装備を省いて軽量化するというメーカーの涙ぐましい努力によって、優れた燃費を達成した」・・・ように見えます。
一部当たりではありますが、殆ど
ハズレです。
さて、このJC08モード燃費というもの。どうやって算出されるのでしょうか?
実のところ国交省により定められたこのモード燃費は、
実走状態ではなくシャシーダイナモ上で計測されます。
加・減速時に駆動輪にかかる負荷をローラーに接続したフライホイールにより調整するのですが、試験車両の重量に応じてあらゆる重量のフライホイールを用意したのでは莫大な費用がかかってしまいます。
そこで、下記のような重量区分に応じて、何種類かのフライホイールを使い分ける(共有するとも言う)のですね。
【JC08モード】
車両重量[kg] IW [kg] =フライホイールの重量
0000~0740 0800
0741~0855 0910
0856~0970 1020
0971~1080 1130
1081~1195 1250
1196~1310 1360
1311~1420 1470
1421~1530 1590
1531~1650 1700
1651~1760 1810
1761~1870 1930
1871~1990 2040
1991~2100 2150
2101~2270 2270
例えば車両重量1196kgの車種と1310kgの車種は、いずれもIW=1360kgのフライホイールを使用して燃費が計測されます。
したがって、両車の車両重量には114kgもの差があるにも関わらず、同じエンジン、変速機等であればカタログ燃費も同一となってしまうのです。
そう・・・114kgも差があってもカタログ値は同じになるのです。
プリウスのEとSは僅か50kgの差でも、カタログ値には大差が出ているのにです。
なぜか・・・?
それは「プリウスEは1310kg」で「プリウスSは1360kg」の車重であるため測定区分が1ワンク違い、
重さの違うフライホイールで計測しているからです。
結論としては
(1)装備を削って軽くすることにより測定条件を甘くして、良い燃費値を獲得した。
(2)測定条件が異なるだけで車の実力はほぼ一緒なので、実燃費は基本として変わらない。
・・・と言う事です。
メーカーの名誉のために追記しておくと、これは
詐欺でも違法でもありません。
このような抜け道を残している燃費測定方法に不備があるのです。
そして、このような手法は、トヨタ・日産に限らず全てのメーカーが行っているのです;;;
じゃあ、本当の実力はどの数値なのよ?と言う話ですが、殆どの場合、カタログ値で悪いほうのグレードが真の実力でしょう。
これを知っている人なら良いのですが、前述のプリウスEが
燃費の良いスペシャルグレードだと勘違いし、装備が悪いのを我慢して購入したなら・・・悲劇です。
なんの変化も無い燃費性能のために、リアスタビライザーやリアワイパーやエンジンアンダーカバーが無いこと、ガソリンタンクが小さい事を我慢したなら。
まぁ、この程度なら良いか・・・wwww
問題はノートe-POWER Sの方で、こちらは”オートエアコン”が無く、OPでも選べないようなので・・・・
幸いに上記のグレード。販売比率は0%らしいです。(今のところ)
まぁ・・・さすがにねw
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Posted at
2017/01/29 18:05:06