車検前整備 タイロッドエンドブーツ左右交換

今回は、タイロッドエンドブーツとロックナットを交換します。
ブーツの破れは無いのですが、ヒビ割れが酷く、前回の車検時に交換を勧められた為、事前に交換します。

『タイロッドエンドブーツ』とは？

タイロッドエンドとは、タイロッドの両端のことです。
この“タイロッド”とは、ハンドルの操作に合わせてタイヤを左右に動かすために取り付けられている棒(ロッド)のことです。
通常はボールジョイントが備え付けられ、グリースが封入されており、“ダストブーツ”で守られています。
この“ダストブーツ”のことを言います。

車体をジャッキアップし、リジットラックを車体のサイドにあるジャッキアップポイント付近に1本ずつ設置しタイヤを外します。

タイロッドエンドをステアリングナックルより分離させます。
14mmのロックナットを緩め、ボールジョイントにタイロッドエンドプーラーをセットします。

※ロックナットはタイロッドエンドボールジョイントのネジ山損傷防止の為、全部外さずにネジ山と面一の位置に噛ませておきます。

タイロッドエンドプーラーの使い方は以下の手順で行います。

①外したいボールジョイントにタイロッドエンドプーラーを挟み込む感じで取り付ける
②プーラーのネジを締めていく
プーラーのネジを締めて重くなってきたと感じたら、ハンマーでたたき、また少しマシ締めをして再度ハンマーでたたくという感じで徐々に外していくようにしましょう。

※無理にプーラーだけで外そうとすると、プーラーを壊してしまったり、タイロッドエンドを損傷するというリスクがあります。

②の作業を慎重に進めていくと“ガコッ”という音と共にタイロッドエンドがステアリングナックルから外れるので、ナットを全て緩めて完全に分離させます。

これで交換準備が整いました。
細いマイナスドライバーでこじりながら隙間を広げブーツを外していきます。

新品のタイロッドエンドブーツです

タイロッドエンドからブーツが外れましたので新旧の比較をしてみましょう。

左：外したブーツ
ヒビ割れしており潰れています
右：新品のブーツ
柔軟性がありシャキッとしています

ブーツを外したら、ボルトとボールジョイント部分のグリスを布などで綺麗に拭き取り、新しいグリスを塗ります。
今回は“MP(マルチパーパス)グリース”を使用しました。
いわゆる万能グリースです。

※清掃の際にパーツクリーナーなどを使用するとグリスの劣化を早めてしまいますので、薬剤は使用しない方が良いです。

ブーツの中にも少しグリースを充填します。

タイロッドエンドにブーツを被せ
“ボールジョイントブーツアタッチメント”を使い弓形(バイス)で挟み均等に嵌め込んでいきます。

参考寸法
内径(Φ34mm) を使用
内径(Φ32mm) は小さいです
内径(Φ36mm) は大きいです

※ブーツに合うサイズをしっかり確認することは重要です。

ブーツを嵌め込むための工具1式

上手く挿入できました。
作業の際は、ボールジョイントの 支えとして台があると便利です。

後はステアリングナックルとタイロッドエンドを元通りに組み付け、ロックナットは新品にして規定トルクで締め付け交換完了です。

※タイロッドエンドロックナット
締め付けトルク：41.7±12.2N・m