引き続き予備エンジンのオーバーホール。メンテナンスには良い気候になりました。
まずはオイルパンの掃除。パッキンの除去と清掃です。
スクレイパーとマイナスドライバー等でパッキンを除去してひたすら清掃しました。
続いてはクランクシャフトを外していきます。
クランクシャフトベアリング(親メタル)は交換することにしたのですが、一応13万KM走行したエンジンのメタルがどんな状態なのか計測しておくことにしました。
まだ使えるような気もしていたのですが、もう開けることもないと思うので換えることにしました。
一旦クランクシャフトを外して清掃。
このエンジンの符号は以下のようなサイズになっています。
A.シリンダーブロック符号:33233
B.クランクシャフト符号:11111
A/Bからベアリングを選択します。
C.選択ベアリング:44344
ベアリングは44344となるので、整備書に記載されている基準値をベースにベアリングの肉厚を計測しました。
■ベアリング中央肉厚
場所(基準値):上(ブロック側)/下(オイルパン側)
1(2.006-2.009):1.93/1.96 X
2(2.006-2.009):1.89/1.94 X
3(2.003-2.006):1.93/1.91 X
4(2.006-2.009):1.91/1.85 X
5(2.006-2.009):1.91/1.91 X
ということで全滅ww
やはり13万km走っているとメタルもそこそこ摩耗するようです。これは全交換。
続いては一応クランクシャフトのクリアランスを計測しておきます。
■クランクシャフトクリアランス
場所(基準値):計測値 限度0.08mm
1(0.015-0.034):0.025-0.038 ▲
2(0.015-0.034):0.038-0.051 ▲
3(0.025-0.044):0.025-0.038 ◯
4(0.015-0.034):0.025-0.038 ▲
5(0.015-0.034):0.025-0.038 ▲
ということで、限度内ではありますが、3番以外はすべてクリアランスが大きくなっていることがわかりました。ベアリングの肉厚、クリアランス双方の観点から、ベアリングは交換した方が良さそうです。やっぱり走ると摩耗するんですねw
必然的にコンロッドベアリング(子メタル)も交換ということになりますね。
ちなみにおろしたクランクシャフトはこちら。
続いてはピストンの清掃と計測です。
サビが出ていたピストンも軽く掃除をしたらほとんどサビは除去できました。
色々と計測をしていきます。
■シリンダー内径
1:85.99mm ◯
2:85.98mm ◯
3:85.98mm ◯
4:85.98mm ◯
シリンダー内径の基準値を示す符号はシリンダヘッド側に記載されているはずなのですが、もはや読み取り不能でした(^o^;)
しかしながら、基準値は以下の値で、限度は0.2mm。狭い方向の結果なので、どの符号であっても基準値内と判断できました。
※シリンダー内径基準値
符号1:86.00-86.01mm
符号2:86.01-86.02mm
符号3:86.02-86.03mm
=最大限度 85.8-86.23mm
その他も計測。
一部基準値を外れるものもありますが、限度内という結果でした。
■ピストンピン外径
基準値:21.997-22.009mm
1:22.000mm ◯
2:22.000mm ◯
3:22.000mm ◯
4:22.000mm ◯
■ピストンリング溝隙間
基準値-No.1(上):0.03-0.07mm
基準値-No.2(下):0.03-0.07mm
1-No.1(上):0.05mm ◯
1-No.2(下):0.03mm ◯
2-No.1(上):0.04mm ◯
2-No.2(下):0.04mm ◯
3-No.1(上):0.04mm ◯
3-No.2(下):0.04mm ◯
4-No.1(上):0.04mm ◯
4-No.2(下):0.04mm ◯
■ピストンリング合口隙間
基準値-No.1(上):0.25-0.46mm 限度:1.0mm
基準値-No.2(下):0.45-0.66mm 限度:1.2mm
基準値-オイル1(上):0.20-0.45mm 限度:1.15mm
基準値-オイル2(下):0.20-0.45mm 限度:1.15mm
1-No.1(上):0.38mm ◯
1-No.2(下):0.7mm ▲限度内
1-オイル1(上):0.65mm ▲限度内
1-オイル2(下):0.38mm ◯
2-No.1(上):0.38mm ◯
2-No.2(下):0.6mm ◯
2-オイル1(上):0.48mm ▲限度内
2-オイル2(下):0.48mm ▲限度内
3-No.1(上):0.35mm ◯
3-No.2(下):0.7mm ▲限度内
3-オイル1(上):0.30mm ◯
3-オイル2(下):0.35mm ◯
4-No.1(上):0.25mm ◯
4-No.2(下):0.58mm ◯
4-オイル1(上):0.38mm ◯
4-オイル2(下):0.28mm ◯
また、コンロッドベアリングも計測しました。
以下の通りで、コンロッドベアリングもクランクシャフトベアリング同様に摩耗していることがわかりました。
■コンロッドベアリング(子メタル)肉厚
嵌合符号:3223
基準値2:1.492-1.496mm
基準値3:1.496-1.500mm
1(上):1.45mm X
1(下):1.45mm X
2(上):1.42mm X
2(下):1.43mm X
3(上):1.46mm X
3(下):1.46mm X
4(上):1.45mm X
4(下):1.45mm X
わかりにくいのでまとめてみました。
基準値内ではありますが、4つのシリンダーの中では1番、2番の摩耗が傾向的に大きいように見受けられます。
最後にシリンダーをホーニングしてみます。
市販のホーニングツールにオイルをしこたま塗って、電動ドリルにつけて回転させます。
ホーニングツールが安いからなのか、回しているときにドリル本体から抜けやすいことがわかりました。ということで、ホーニングツールを上向きにすれば外れないので、最初は下から入れてみました。
しかし下からは相当やりにくかったので上からに戻しました。
結果的には回す速度と動かし方の問題で、上から入れてもうまくホーニングできました。
じわっと継続的に回すのがコツのようで、回転を早くすると外れやすいことがわかりました。そこそこうまくできたのではないかと思います。写真だと全然わかりませんが(笑)、クロスハッチもついています。
印象的には結構回さないと効果がないようです。シリンダーが削れるのが怖くて何回転かしたところで止めたくなりますが、イメージ的には1箇所につき10秒くらい回してやっときれいになってくる感じでした。(もちろんついている砥石の粗さによると思います)
ということで実作業はここまで。あとは何を交換するかを決めます。
結論的には、基準内・限度内ではありますが、もう開けないのでメタルとピストンリングは全部変えようということになりました。
クランクシャフトベアリングは純正品指定品番が入手可能です。
・11711 クランクシャフト ベアリング
3SG#..SW20 MARK 4,NO.1,2,4,5
11701-88570-04 x 4
・11711 クランクシャフト ベアリング
3SG#..SW20 MARK 3,NO.3
11071-88570-03 x 1
コンロッドベアリングは純正品番だとSW20は1-5型まで同じなのですが、SW20 5型NAの場合、コンロッドはどうもアルテッツァSXE10用が使われているような気がします。SWの3S-GEコンロッドはオイル用の穴があるのですが、5型NAコンロッドには穴が無いようです。
伴って、コンロッドベアリングもSW用は穴がありますが、アルテッツァ用は穴がなくなっています。つまり、5型NAの場合はアルテッツァ用を使う方が正しいのでは?ということで、アルテッツァ用を発注しました。
ちなみに型番を見るとわかるのですが、クランクシャフトベアリングは元々アルテッツァと共用(同じ品番)で、"88570"です。コンロッドベアリングだけが1-5型共通の"88360"品番。
参考までにコンロッドの品番を見てみると、以下の通り。
13201-79096 1989/12-1993/09 3SGE..SW20・・・1-2型
13201-79195 1993/09-1997/08 3SGE..SW20・・・3-4型
13201-79415 1997/12-1998/07 3SGE..SW20・・・5型
13201-79416 1998/07-1999/02 3SGE..SW20・・・5型
13201-79417 1999/02- 3SGE..SW20・・・5型
13201-79446 1998/10-2001/05 3SGE..SXE10・・・アルテッツァ
5型の販売は、1997/12 - 1999/08でした。ということで、1-4型と異なるだけではなく、5型だけでも3回コンロッドが変わっているのです。ということで、コンロッドは同型内で改良されたと予想できます。しかも後半2つ(79416,79417)はアルテッツァと販売時期が被っていますので、双方影響されていると予想できます。
結局どうしたら良いかはよくわかりませんが(笑)、非常に興味深い内容です。
届いてから様子を見て、大丈夫そうならアルテッツァ用を使ってみたいと思います。
・13041 コネクティングロッド ベアリング
3SG#..SW20 MARK 3
13041-88360-03
↓
3SGE..SXE10 MARK 3,マーク 3
13041-88570-03 x 2
・13041 コネクティングロッド ベアリング
3SG#..SW20 MARK 2
13041-88360-02
↓
3SGE..SXE10 MARK 3,マーク 2
13041-88570-02 x 2
ちなみに、別の事情としてSW用のMARK3(13041-88360-03)は納期未定となっています。もう入荷しないのでは、、、、という情報です。
最後にピストンリングですが、前回の通りでSW20 5型 3S-GE用はスタンダード、オーバーサイズともに入手不能です。従ってアルテッツァ用を使うしかありません。
これも届いてから様子を見てみたいと思います。
・13011 ピストン リングセット
1998/10-2001/05 3SGE..SXE10 STD
13011-88570 x 1
ということで、パーツが届いたら進める予定です。