久留米水道局のブログ一覧

※これはフェイスブックで連載したものを加筆修正しております。当時の表現を重視しており現代では適切でない表現も含まれます。悪しからずご了承ください

コスモスで、アーモンドを置き忘れた

先日、ｺｽﾓｽでアーモンドを１袋、忘れた。部屋に帰って、気が付いた。200円損したぜ！ぐらいで終わらせればいいのだが、モヤモヤが募る。レシートをもとに、店に電話するも、なんか情けなくなり、途中で切る(笑)　200円ぐらいでと言われそうだが、私にとってはかなりな買い物だ。どーせ誰かが持って帰っているだろ…あるわけないよな…しかしモヤモヤは更に募る。そして私はある決断をする




買い物から帰って、あるはずの商品が、無い…時代はﾏｲﾊﾞｯｸ、入れ忘れとしか言いようがありません。私は覚悟を決め、お店に自転車でむかいました。この200円のミスをどう処理するか…たとえばｺﾞｰﾂｰｷｬﾝﾍﾟｰﾝで旅行すれば200円ぐらい取り戻せます。また、買い物をちょいと我慢すればいいのでしょう。しかし、200円を損失した事実は、どうしても変わらないのです。（若干鬱傾向の行動ですね）私は額に汗して、コスモスに到着しました。女性の高額化粧品ではなく、200円のアーモンド…名門福岡県立※倉高校卒業なのに、この情けなさ…そして登録販売者のおばちゃんに事情を説明しました。必死に200円を取り戻そうとする、50歳手前の筆者、どうぞ皆さん想像して笑ってください　


気温も高く、むせるような駐輪場から、エアコンの効いた店内へ。額に汗して私は販売管理者のおばちゃんに聞いた。喉が渇く。アーモンドの落し物はないか…福岡の名門、※倉高校を出て、やっていることは日田市のコスモスで、落し物探し…一体俺は何をしているのだ！落し物も、高価なものならまだ話は分かる。しかし、探し物は、アーモンド…しかし私は自分自身に、賭けていた。かならずアーモンドは、ある。夢は諦めない。甲子園球児も、１試合だけだが、甲子園の土を踏んだ。少しの可能性があるなら、アーモンドよ、でてきてくれｯ！200円の落し物を、暗闇の中自転車で探しに行く私…おばちゃんは落し物管理ファイル台帳を取り出した。そしておもむろにページをめくる。私もレシートを持参したが、汗でレシートを握りしめる。こんな厳密に管理されているのか！さすが東証１部企業だ！そして私の問い合わせは、198円のアーモンドだ。そして、おばちゃんはページの一部を眺め、私に問いかけた。「今日、ですか？」人はバカにするかもしれない。しかし、それでもかまわない。私は、おのれの可能性を信じる。それがたとえ、50歳独身だとしても



登録販売者のおばちゃんは、ファイルを取り出し、ｱｰﾓﾝﾄﾞが届けられているか調べ始めた。ファイルのぶ厚さに、私はおどろいた。忘れ物は多いのだろう。私も祈るようにおばちゃんの視線の先をみていた。すると、登録販売者のおばちゃんの目が、眼鏡越しに一瞬光った。おばちゃんはファイルを閉じ、入り口近くの隠し扉へ向かった。その足取りは確信に満ち溢れ、力強かった。この時点では、まだ成否はわかっていない。緊張して青ざめていた私は、登録販売者のおばちゃんが引っ張りだしたアーモンドが目に飛び込んできた。「あ、あった！」手が震える。登録販売者のおばちゃんは、笑顔で私にアーモンドを手渡し、笑顔で売り場へ戻っていった。たった198円の商品、それはリリースしてもいい程度かもしれない。夜の闇を額に汗してコスモスに向かう47歳独身（朝倉高校卒）過去、ミニカで走行中、職務質問を受けたこともある。フェイスブックに「匂わせ」リア充をアップする人間たち。しかし、私はアーモンドを通じてかけがえのない何かを、掴んだ。本文を執筆中に、渡哲也さんの訃報を聞く。経済成長の昭和から、停滞の30年、平成。そして絶望の令和へ。時代は無常に流れていく。戦中、学徒兵は靖国で会うことを誓い、戦地で散華した。貴様と俺とは同期の桜、そして福岡朝倉高校航空隊の桜に、私はこう言いたい。「みんな、浜勝甘木店で会おう」あとに続くを信じて（了）