去る2000年、それまで乗っていた1000HL(クーラーレスシングルSUキャブ車)が修理不可となって今の40th Anniversary(いわゆる'97年以降車)に乗り換えたとき、いちばん始めに、それも早急に手を入れたい部分が2ヵ所ありました。
一つ目はルームミラーが下過ぎて左前方の視界を遮る問題で、もう一つはステアリング問題でした。
1.SRSエアバッグ導入
(1) '97年のミニ延命措置
時代は'94年、ローバーがBMW傘下に入り、ミニはいつ生産終了してもおかしくない状況でした。
その中で'97年にはMPiやフロントラジエター、サイドインパクトバーなど大きな延命措置が図られ、ミニもこれであと10年は戦える!と、当時のファンは思ったものでした。
(結果はみなさんご存じのとおりでしたけどね)
そのうちのひとつが、SRSエアバッグ付きステアリングの導入でした。
ところがこのSRSエアバッグ付きステアリング(長いw)、私にはどうにも馴染めませんでした。
↓純正のSRSエアバッグ付きステアリング
(2) MGFからの流用だった
このステアリング、もちろん専用設計などでは無く、同じローバーグループから出していたMGFからの流用(エンブレムはさすがにMGからMINIに変えた)でした。
それに伴ってステアリングシャフトが細くなったり、コラム周りが一新されて前照灯が手元に来たりと、進化したところもあります。
↓MGは当時、ローバー傘下でした
(3) パワステありきの形状
ところが、MGFはミニと違ってパワステが付いていますので、ステアリングもそのような形状に設計されています。
だからステアリングの裏側は、力を込めて握らなくても良いところは「指が掛からなくても差し支えない」形になってるんですね。
具体的には、10時10分か8時40分を把持すれば事足りる、せいぜい右左折時に12時前後を握れさえすれば問題ないんです。
2.パワステ無しには不向き!?
(1) しっかり握れない!?
ところが、ミニはFFで重ステでハンドルが上を向いています。
だから、そのまま流用してはいけない不都合がいろいろとあるんです。
下の略図は、ステアリング中心を真横に両断した断面図です。
上の写真と良く見比べてください。
ステアリングを持ち替えた時に、矢印で示した、すり鉢のようなこの部分へ薬指~中指~人差し指が来ると、指が弾かれて滑って、どうしてもハンドル操作が遅くなります。
慣れの問題じゃありません。
ステアリングが立ったミニは12時付近が運転手からいちばん遠くなり腕力が弱くなりますが、ここで腕を交差させてステア操作したとき、万が一引き手側の手がステアリングから離れてしまうと、トルクステアからのフィードバックで挙動が乱れ、さいあく事故に繋がりかねません。
この持ちにくい部分が、全周の約1/3を占めるのです。
(2) 径が小さい
'96年までの純正ハンドルや定番のモトリタやナルディと比べても、このステアリングは径が小さいです。
ということは、テコの原理で保持するのに大きな力が必要です。
MGFのようにパワーアシストがあれば、手の平でクルクルと据え切りもできるのでしょうが、仰け反って後ろを目視しながら車庫入れする時など、まるでヨガの苦行のような全身運動が求められます。
3.エアバッグ車用ハンドルボス
そんな訳で、割と早くからステアリング交換したいと思った人は多かったと思います。
が、前述の通り'97からはステアリングシャフトごと流用されていて、'96年までとは文字どおり根本から根本的に違い、今までのマーケットで流通していたボスが使えません。
だから'97オーナーはエアバッグ付き車専用ボスの発売を待たねばなりませんでした。
↓エアバッグ付車用ハンドルボス。黄色い四角いのはエアバッグのダミープラグ。
これは、'97車のシャフトに社外品のステアリングを付けられるハンドルボスです。
ネジ穴が2パターンあって、ナルディとモモはそのまま、モトリタやマウントニーは別売りのアダプターが必要でした。
うちもこのボスを使って、純正ハンドルを社外品に変えたいと思いました。
しかも付けたいステアリングは、これ。
↓英国「PLAY MINI」誌の限定品
英国の「PLAY MINI」誌がミニ生誕40周年を記念して企画した全世界ン本の限定品!専用ボス付き!! 40th Anniversary車に付けるなら当然これでしょう、と意気揚々と買い求めました。
しかしこれが一筋縄でいかず、以下の整備手帳で取り付ける苦労話を記録しました。
一緒に見てもらえると、幸いです。