この事故でのバイクがどうなったを見てみると、衝突後に前方には飛んでいかず、バスに寄り添う形で止まっています。高速からの衝突であれば、その衝撃がいかばかりかは想像に難くありません。
この形になる条件のひとつとして、バスとバイクの相対衝突角度は90度以下でなければならないでしょう。そうでなければバイクは進行方向前方に飛ばされていると考えられるからです。
さて、バスは歩道から出て6.5m付近にいた可能性が高いと考えられます。根拠としては、
・スリップ痕の存在
・バス2列目に座っていた先生の証言
・運転手の主張
などが挙げられます。
後者2つについては、運転手主張の位置は10mくらいじゃなかったかと思われるでしょうが、まず先生の証言は左列2番目に座ってたとのことですから、右側の中央分離帯を注視したとは考えにくいこと、そしてバス運転手も基本的には主として左方を確認していたはずなので、中央分離帯も左で確認している可能性が高いことなどを根拠として挙げておきます。
つまり、バイクは衝突地点に歩道から6.5m付近に角度14度~で向かう必要があります。
先にバイクの旋回限界Rの計算のところで計算したとおり、衝突地点に対して、
・バイク100km/h、バス14.5度 … 0.9秒前、24.6m手前、3.1m左から
・バイク110km/h、バス15.5度 … 1.05秒前、31.8m手前、4.33m左から
・バイク120km/h、バス17.0度 … 1.26秒前、41.4m手前、6.19m左から
・バイク130km/h、バス19.0度 … 1.53秒前、54.15m手前、9.06m左から
という結果があります。
この中で道幅方向で9m台の移動となるする130km/hは道路幅を考えても苦しいので消えますが、先のバスのスリップ軌跡の計算から見れば、バイクの衝突速度は高く、バスの角度が大きい方が、バスが止まっていたとの主張に合致しやすいのと、車線変更したというような証言もあったと思うので、計算上はバイクは120km/h付近だったと考えるのが妥当だと思われます。
そこで衝突までの時間を整理すると、旋回して回避していたとすれば、旋回開始地点や時間は上記のとおりとなります。一方、視認可能地点が100m手前だったとすると、そこまで同じ120km/hだったなら距離と速度から、
・視認可能地点から旋回地点まで約1.8秒、衝突まで約3.0秒。
という時間が出てきます。視認可能地点から1.8秒間に何をしていたかは気になりますが、前方を先行する乗用車がバス手前で減速していたり、バス後ろを通過中なのが見えて、そこからでは止まれないと思ってバス前方に舵を切ったとすると、それなりの時間のような気もします。
事故直後にトラックが止まっていたという証言もありましたしね。
こう考えると上手くパズルが埋まっていくと思います。
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Posted at
2008/02/19 04:02:37