ハイエースのキャンパーをフロント2way化とサブウーファーでサウンドアップ♪
目的 |
チューニング・カスタム |
作業 |
ショップ作業 |
難易度 |
中級 |
作業時間 |
12時間以上 |
1
トヨタ・ハイエースの事例紹介です。
ハイエースはトヨタのキャブオーバー(エンジンの上に運転席がある)型の商用車・乗用車です。
初代H10系の発売は、今を遡ること56年の1967年(昭和42年)と古く、2代目(H20 - 40系)が1977-1985年、3代目(H50系)が1982年−1989年、4代目(H100系)が1989-2004年、そして2004年から現行のH200系にバトンタッチしています。
現行といっても、なにげに19年ほど経過していますが、その間に9回ほどの一部改良が施され、日々アップデートされています。
今回ご登場いただくのは、200系のキャンピング仕様車で、古くから当店をごひいきにしていただいているお客様が購入されたばかりの車両になります。
積載性のよいハイエースは、ミドルクラスのキャンピングカーのベース車両としても大活躍しており、多くのビルダー業者さんによって、様々な仕様に商品化されています。
今回の車は、アネックス・キャンピングカー(株式会社アネックス)が企画したコンパクトバンコンのWiZ(ウィズ)というシリーズです。
※バンコン=バンをコンバージョン(変換・転換)した車の意
https://annex-rv.co.jp/models/wiz/
エンジンを停止した状態で過ごす時間が長い、キャンピングカーならではの事情で、エンジン停止状態でも、サブバッテリーの電源でナビが起動できるように改造されています。そういった作り込みの都合上、ナビはあらかじめ取り付けられた状態で納車されているのですが、当然ながらフロントスピーカーは純正のままということで、当店にご依頼いただく流れとなりました。
ご希望としては、目的地までのドライブを快適にするオーディオ空間づくりと、現地でのBGM的に音が聞ければ良いというオーダーでした。
システム的には、サイバーナビをヘッドユニットとして、フロント2wayスピーカーと、パワードサブウーファーを鳴らすのに加えて、キャンピング用途ということで、リヤスピーカーも交換して鳴らすという内容です。
事前の試聴でスピーカーはBLUE MOON AUDIOに惚れ込んでいただいてたので、出来上がりを楽しみにお待ちいただきました♪
上記の作業内容に加えて、ステアリングリモコンスイッチの改造・取り付けも行い、すべて合計して税込497,508円でした。
納車の際は大変満足していただけて、想像よりも良い♪と喜んでいただけました(^o^)
それでは作業の様子をご覧ください♪
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以下、コンポーネント紹介です。
◯ナビ
carrozzeria AVIC-CW912-DCです。
7インチワイドのモニタを持つ、必要十分な使い勝手を持つナビです。
カーナビ製品の文字通りパイオニアであるパイオニアのナビですので、ナビ品質の高さは脚色の必要のないところですが、「サイバーナビ」ブランドを冠した製品群においては、内蔵アンプのクオリティも素晴らしく、評論家の方々の評価も高いようです。
今回の接続は、内蔵4chをフロント/リヤの4系統に割り当てて、プリアウト出力でパワードサブウーファーを鳴らすという、取付説明書の一番目に掲載されているスタンダードな接続方法です。
このうちフロント向けの出力については、スピーカーに付属しているパッシブネットワークを介在させて、ツイーターとウーファーに分岐させる接続になります。
◯スピーカー
フロントの2wayスピーカーとしてBLUE MOON AUDIO RX165(税込231,000円)
リアはcarrozzeria TS-G1010F(税込6,050円)を選びました。
フロントのRX165はブルームーンオーディオのフラッグシップスピーカーです。
一部の海外の超高価格品を除けば、値段は高い部類に入りますが、いざ聴いてしまうと、比べてしまうと、どうしても欲しくなってしまう魔性の製品です。
今回は、ビルダーさんからの納車待ちの段階ではミドルクラスのAX165で計画していたのですが、途中でモデルチェンジにともなう終売を迎えてしまったため、どうせなら!とご決断いただきました。
これだけの高性能なユニットですので、インストール面においても、デッドニングによってドア防振をしっかり施し、ジュラルミン製バッフルを介してガッチリと取り付けて、さらにバッフル・スタビライザー・ウエイトによって、スピーカーのブレ対策を図り、スピーカー性能を十分に引き出せる環境を整えました。
リヤスピーカーはパイオニアが世界共通仕様で販売しているパイオニアグローバルシリーズの製品です。(こちらはビルダーさんのほうで取り付けてありました。)
10センチのフルレンジスピーカーで、中央に高音域用の小さなコーンを組み込んだ「ダブルコーン」型になっています。ツイーター付きのコアキシャルには及ばないものの、それなりにメリハリのある、常識的な音を再生してくれます。
◯パワードサブウーファー
カロッツェリアのTS-WX010A(オープン価格)を使いました。
これは近年発売された新製品で、クロスポイント以下の低音域を全体的に受け持つような従来のパワードサブウーファーとは異なり、100Hz近辺の周波数をピークとした、ウーファー(ドアスピーカー)寄りの低域を補強することで、アタック感・ビート感を演出するという新発想の製品です。
製品カテゴリとしてはパワードサブウーファーの仲間とせざるを得ませんが、「BASS SOUND CREATOR」というサブタイトルに、その商品コンセプトが表れています。
くぼんだ形をしている助手席の足元に設置して鳴らすことで、ホーン効果による音の広がりを狙っているのがミソで、230 mm (W) × 70 mm (H) × 116 mm (D)と小ぶりなボディでありながら、大方の予想を超える驚きをもたらしてくれます。
以上を持って、ハイエースのキャンピングカーのサウンドアップが実現しました。
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それではフロントドアの外観からです。
基本的に商用車ベースのバンですので、内装全般に質素です。
とは言え、上半分に起毛資材が組み合わせてあったりして、それなりの質感が演出されています。
ハイエース(バン)のスピーカーは、スーパーGLが4スピーカーで、DXはフロントのみの2スピーカーです。
いずれにおいても、フロントにはツイーターがありませんので、セパレートツイーターを取り付ける場合は、ダッシュボード上に配置するか、Aピラーへの埋め込み等の対処となります。
なお、今回は前者で対応します。
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それでは作業開始です。まずはドアトリムをはすします。
ドアトリムを外すとサービスホールは鉄板と樹脂パネルで塞がれています。
100系までは、サービスホールをビニールシートで塞ぐ、見慣れたスタイルでしたが、200系になってからは「蓋付き」になっています。
ハイエースは、多くの配送系の車がそうであるように、勇ましい外観とは裏腹にドアがかなり薄いんですが、その割に(後方の)サービスホールが大きいので、鉄板の蓋には強度を補う目的があるのかなと思いました。
あと、パワーウィンドウではなく、クルクルハンドル仕様車もあるのですが、その場合はインナーパネルが変わる様です。この写真の白いカプラーのあたりに穴が開いているパネルを見たことがあります。
わざわざ別仕様のドアをこしらえるくらいの経済合理性があるという事でしょうから、クルクル仕様車はそれなりの台数、流通しているということなんでしょうね。
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アウターパネル側の作業が終わったところです。
サービスホールを塞いでいるフタ系部品と、純正スピーカーを外して作業に入ります。
スピーカーは作業性バツグン!のリベットで止められているので、ドリルでリベットを取り除いてから、スピーカーを取り外します。
純正スピーカーのままでドア防振をすることがありますが、この場合でも、一旦スピーカーを取り外さないとスピーカー裏まで手を差し込むことができないので、補修用のリベットを利用して復元します。
アウターパネルの清掃と脱脂を済ませたら、短冊状にカットした防振材を貼っていきます。
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インナーパネル側の作業が終わったところです。
サービスホールを塞いでいたパネル部品を付け戻してから、インナーパネル全面を覆うように防振材を貼ります。
パネルの強度によっては、取り外した状態で防振材で覆う判断もありますが、インナーパネル部に準じた強度が期待できる、しっかりとした鉄板製でもありますので、元通りにして貼ることにしました。気密性、耐振性ともにバッチリです。
前方の樹脂パネルは微妙なところですが、カップホルダーの形状で整形されており、防振材で覆う際のガイドとして有用なので、こちらも元通りにしました。
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バッフル周りに使った部材ご紹介です。
今回は、M&M DESIGNのハイエース専用のバッフルと、当店オリジナルのバッフル・スタビライザー・ウェイトを設置させていただきました。
M&M DESIGNのジュラルミン製バッフルは非常に評価の高い製品です。数多くの車種向けが用意されており、かつ、市販のほとんどの製品が取り付けられるように、ネジ穴がたくさん設けてあるのです。また、造りの精度が高いので、インナーパネルとの締結、スピーカーの固定のいずれもしっかりできて、スピーカーの性能をしっかり引き出すための前提条件を整える役目を果たしてくれます。
赤印で表現しているのは、当店オリジナル商品のバッフル・スタビライザー・ウエイトです。
バッフルボードの真裏にウエイトを取り付けて、スピーカー周辺の質量を増加させることで、振動板の動作によって生じていた反動を吸収し、スピーカーバスケット、バッフルボード、ドア鉄板のブレを抑制することで、振動板の安定した動作を可能にしてくれます。
https://www.soundpro.jp/ec/products/detail/168 8
スピーカー部の近影です。
今回使用したBLUE MOON AUDIOのRX165のウーファーです。
長年、販売に携わってきたので贔屓目ではありますが、低音から中域まで、リニアに再生できる優秀なスピーカーだと思います。
アルミバッフルとバッフル・スタビライザー・ウエイトを組み合わせているので、より安定した低域とクリアな中高域が引き出せているように感じます。
奥に束ねられているいるのは、純正スピーカーケーブルです。今回はスピーカーケーブルを新たに引き込んでいるため、出番がありません。といっても、プラプラさせておくと、コネクタがドアトリムと接触して、異音の原因となるため、タイラップで拘束しておきます。
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ツイーターの設置状況です。
冒頭でも触れましたが、本来商用のハイエースにセパレートツイーターはついていないため、オンダッシュや、Aピラー埋め込み等の対処となります。
多くの趣味系のオーナーに愛されるハイエースには、この手ニーズはたくさんあるので、業者側も放っておきません。ピラー埋め込み型や、ドアミラー裏のカバーを加工したツイーターマウント商品が複数販売されています。
今回は、ODEONという樹脂製のポッドを使用して、ダッシュボードのピラーの根元に設置しました。
左右のツイーターは、車両の中央辺りで交わるような位置関係で固定してあります。DSPで具体的に制御してしまう場合は別として、自然にパッシブで鳴らすときは、この方法が無難に安定してくれます。
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パワードサブウーファーは前席足元の中央に設置しました。
キャンピングカーのベースとなる車両は、主にトラックやバンですので、それなりに走行音が侵入してきます。
ガッツリ防振して静かな空間をつくりたいのですが、これだけの大きさの車体を黙らせようと思うと、だいぶ材料を使うことになり、コストも重さも気になってしまいます。
ということで、音の厚みと広さを演出するという主目的に加えて、かき消されてしまうであろう重低音を具体的に補ってやろうという事で、パワードサブーファーを投入することにしました。
製品はいろいろありますが、小型でも主張が強くて頑張ってくれるカロッツェリアのTS-WX010Aです。
このスピーカーは調整用のリモコンが付属しておらず、本体のつまみで行う設計になっていますが、今回のヘッドユニットであるサイバーナビには、サブウーファー出力がありますので、ナビ側での調整が可能です。
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食べ残しの煮魚みたいでショッキングな画像ですね。
ハイエースで、ドアにスピーカー配線などを引き込むには、なんと前回りを分解する必要があります。
一般的な車の場合、ダッシュボードの中からドアに向かう導線が見いだせますが、ハイエースの場合、一旦ボディの外(というか前)に出てから、ドアのヒンジ部分に向かうという経路をたどるので、写真のようにグリルを外しての作業になるのです。
ちょうどヘッドライトの裏あたりに、配線を通す穴があります。。次期モデルでは室内側で完結できるように構造変更をお願いいたします!
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2wayスピーカーであるRX165のパッシブネットワークです。
スピーカーに同梱されているネットワークをコンパクトにするために、アクリルのケースから基盤を抜き取り、超特大の熱収縮チューブで覆いました。
高級スピーカーのネットワークは総じて大きいので、スペースがタイトな車の場合はひと手間かかります。
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ハイエース乗りの方であれば当然のことなんでしょうけれど、改造しないと取り付けできないステアリングスイッチを増設させていただきました。
DIY派の方の助けになるかもなので、ちょっと語ります。
ステアリングスイッチは、スーパーGLのオプションとして設定はあるらしいのですが、納車されたグレード(DX系)にはオプションでも設定されていないようです。
スパイラルケーブル内にリモコン用の配線が組み込まれていない車両の場合はスパイラルケーブルも交換しなくてはいけません。
もう少し情報が集まれば、現車確認をしなくても配線の有無が判るのですが、今のところは6型以降であれば配線があるという情報しか手元にありません。
ステアリングパッド裏の配線についても、左右のスイッチパッドに分割された配線があるのですが、そのハーネスだけでは入手できないようです。
反対側のスイッチパッドを買っても、右側のスイッチパッドを買っても、接続できる場所一か所しかないのにコネクタが付属してきてしまうので、配線の組み換えと分岐作業が必要になってしまいます。
初めから左右のスイッチパッドセットで分岐配線付きのものを購入すれば、手のかかる加工は不要なのですが、それなりのお値段がしてしまうので、配線を加工して増設するのが相場になっているのでしょう。
作業としては、スパイラルケーブル以降、ナビ裏まで3本配線を引き回します。
この配線(経路)は、グレードによって存在しているようですが、今回はカプラーに配線はありませんでした。
カロッツェリアの場合は、スパイラルケーブル以降から引き回した配線の先を3.5mmミニプラグにして、ナビ裏のW/Rに挿して学習させれば完了です。
参考資料
トヨタ純正部品 ステアリング パッド スイッチ LH ハイエース/レジアスエース 84247-26020 ¥9,680+税
トヨタ純正部品 ステアリング スパイラルケーブル 84308-12010 ¥16,900+税
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