乗馬で、怖いと思った時の対処法は2つ。
飛び降りるか、しがみ付くか。
いつも穏やかなキャサリンが急に走り出した時、止める自信が無かった。
止まらない、曲がらない、と、目の前に迫るゲート。
尻もちつく程度で降りられると思ったら、勢いで顔面からスライディング。
ヘルメットとベストがなかったら、危なかったかも。
駆け寄ってきた教官にメガネを渡され、掛けようとして異変に気付いた。
鼻の形がおかしい。
やばい、折れてるかも。
殴られたように目の周りが痛み始めたので、慌ててアイスパックで冷やす。
「すぐに病院へ乗せていきます」と言う教官を制して、携帯で夫に電話。
夫は皮膚科の医師で、私は薬剤師だ。
「一番痛いのはどこ?」
「鼻の付け根から、右頬のあたりかしら」
「鏡見て、どこが腫れてるかわかる?」
「眼の下。 鼻が痛いけれど、我慢できないほどじゃない」
「陥没かな。 すぐに○○病院へ向かって。 電話しておくから」
「○○って、天国に一番近い病院ってアナタ言ってたじゃない」
「ああ、あそこは口腔外科だけはマトモなんだ」
「だけは」と言われた病院の口腔外科は、他の科とは別の建物に入っていた。
受付から全て別で、まだ建てられたばかりなのだろう。
新しいだけじゃなく、スタッフの数もやたら多い。
手際良くレントゲンとCTを撮ったところで、夫が合流。
モニターのデータを顎から上に進め、骨の連続性、つながりを確認する。
私も一緒に画像を眺めるが、どうやら骨折はなく打撲だけで済んだようだ。
乗せて来てもらい、受付で待つ教官に「大丈夫でしたよ」と、まず報告。
このまま夫の運転で家に帰るのでと、クラブに残してきたボルボのキーを渡す。
「顔の腫れがひいたら伺いますが、それまで置かせておいて下さい。
もし邪魔でしたら、動かして頂いて構いませんから」
痣が薄くなり、化粧で隠せる程度になるまで約10日。
が、問題は外傷よりも精神面に表れてしまった。
落馬のショックで恐怖が先に立ち、乗馬どころか馬場に近寄れないでいた。
おまけに夫のZ4を借りて運転しようとすると、急に気分が塞いできてしまう。
ハードトップの開閉に関係なく、クルマに乗る度に症状が出るようになった。
そのうちに助手席でも気分が悪くなるようになってしまった。
視界で周りの風景が流れるように動くと、不安になり目眩に襲われる。
何とかしてボルボだけでも取りに行きたいが、そう思うだけで動悸がする。
検査してみたが、他の疾患は見つからない。
夫に症状を告げると、向精神薬を勧められた。
自分で比較的弱いものを選び、試しに飲んでみて驚いた。
副作用で眠いけれど、軽くアルコールが入った時のハイな気分に近い。
不安感や緊張感からは劇的に解放され、ほんわかとした穏やかな感じ。
日常生活に少しは支障ありだろうけれど、不安から解放される点は効果大。
周りに何が起きても、笑って済ませられる気がする。
ニュースでは、経済危機に金融恐慌、災害、増税、生活保護と、暗い話題ばかり。
TVドラマは、殺人、病気、ストーカー、リストラと、不安を煽るものばかり。
この空気、スポンサーである製薬会社の陰謀じゃないの?
と、勘繰ってしまうのは私だけかしら。
今なら夫と一緒のベッドに寝ても、苦痛に感じないかも。
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2012/07/16 12:41:28