うちに居た野良猫の話

野良猫にエサをあげることには賛否両論あると思います。お叱りの意見もあると思いますがそれを承知で書かせてもらいます。

うちには野良猫が居着いていました。我が家では「クマ」と呼ばれていました。

イカツイ名前ですがメスです。
これには由来があって、黒猫の「初代クマ」ちゃん、胸元に月の輪熊のような白い模様があったので「クマちゃん」と呼ばれていたからです。ちなみに初代、と書いたようにクマちゃんは何度か代替わりをしており、代々、子孫のなかでも黒猫が我が家に居着くのが伝統になっていました。
初代クマちゃんは特にエサをあげるでもないのに、なぜか我が家の裏庭に居着きはじめ、特に悪さをするわけでもないので放っておいたので裏庭で子育てまで始めました。たまーに竹輪なんかあげてましたが…。
という感じで初代クマちゃんの子孫、しかも黒猫ばかりが代々、我が家の周りでゴロゴロゴロゴロしていました。

そしてついに歴代クマちゃんの中でも一番印象に残り、忘れられない存在になった、恐らく4代目？と思われるクマちゃんがゴロゴロを開始します。歴代クマちゃん、ほぼ同じ見た目の黒猫で、更にたまに旅に出て居なくなるので正確には何代目なのかよくわかりませんが…。
この(恐らく)4代目、なかなかフレンドリーなヤツで、夜中にクルマ(180SX乗ってた頃です)をいじってると近くに来てジーッと見てたり、近くに寄っていっても逃げずに居ます。とはいっても触らせるようなことは無く、あくまで野良猫でしたが。
ここで新たなキャラクターが登場します。ボクの奥さんです。結婚して一緒に暮らしだしてしばらくの間、職についていなかったのですが、その専業主婦をしている間に、急激にクマちゃんと仲良しになっていきました(笑)。いつも家にいたからでしょうか。その頃からたまにゴハンをあげるようになりました。
そうなると自然とクマちゃんの我が家の敷地内の滞在時間が長くなり、朝から晩まで玄関、窓の下、クルマの下、いつも我が家にいます。
家の中に人の気配を感じると、「なにしてんのー？なんかちょーだーい」みたいな感じで裏口のスキマやカーテンの間からこっちを見てます(笑)
こうなるともう家にいるのが当たり前、ボクが仕事から帰ってくると走ってきてくれたり、建てたばっかりのポストの柱で爪研ぎの仕方を見せてくれたりします。家にも上がり込むようになり、専用のマットの上でゴロゴロしたりしてました。ま、野良猫の自覚はあるようで、寝起きは我が家の前の道の下、排水溝の土管の中のようで、ゴハンを貰うと帰っていきました。
この頃から徐々に体を撫でさせてくれたり、頭と頭を近づけると頭突き？をしてくれたり、手のひらを差し出すとアゴを乗っけてきたりと半分飼い猫のように接してくれました。一度、仕事から帰って台所に行くと、奥さんが晩ごはんを作っている横でちょこんと座り込み、ゴハンを作る奥さんをジーッと見ていたことがあり、その姿が今でも忘れられません。我が家は子供もおらず、基本的に二人暮らしですが、新しく家族が増えたような気持ちでした。

野良猫というのはやはり飼い猫ほどは長生き出来ないようで、辛そうに呼吸をしている姿が目立つようになりました。計算してみると8年以上、我が家の敷地で暮らしています。そしてクマちゃんはいつも座っていた指定席の窓の下で亡くなってしまいました。
あくまでも野良猫ではあったと思いますし、ゴハンを貰いに来てゴロゴロしてただけでしたが、ホントに家族のようなヤツでした。今でも思い出すと悲しいですが、彼女を思い出すと我が家にいてくれてありがとう、そう思います。なんだか彼女を思い出すと少しだけ優しい気持ちになります。