むさし屋さん
2014/10/16
2014.08.13 K4-GP 500km チェッカーフラッグ
これまでのお話(中編)はこちら。
残り15分。
ガソリンは
ほぼ
なくなってしまった。
アイに装着している、かなり正確な燃費計によれば、
現在消費したガソリンは、
54リットル。
計算したところ、
富士1周あたり、
0.6リッター前後消費する、アイ。
このままでは、走りきれないかもしれない。
ギリギリの戦いが、続いていた。
ドライバーやんかど君によれば、
『純正の燃料計、最後の1メモリが消えてから、3周走れる。』
アイの燃料タンクは、35リットル。
スタート時、20リットル入っていたとして、
現在は1リットル以下だが
実際には、走行開始時にギリギリまで補充していたから、
+1~2リットル
入っている・・・はず。
残り10分。
最後のメモリが・・・消えた。
アイは、55リットルという燃料を消費し、
それでもなお、
オーナーやんかどを、
そして、
NoLimitを
ゴールへと導くため、
走り続けた。
ピットはもう、
祈るしかなかった。
やんかどの経験と、アイを。

残り5分。
アイの後ろに
3位の車が張り付いた。
残り3分。
未だ、
アイは2位を走り続けている。
燃料は、計算上、既にマイナスを刻み続けているが、
アイは、まだ止まらない。
残り1分。
残り
・・・・・・・・0分。
K4-GP
1時開始から5時間。
時計が、
午後6時を刻んだ。
午後6時1分
アイは
2位でホームストレートを通過した。
アイは2位でフィニッシュラインを超えた
・・・・はずだった。
しかし、
まだ、レースは終わらない。
『まだ、午後6時経過後、トップチームが、チェッカーを受けていない!!』
このレースは、
レースの規定時間が経過した後、
トップチームがフィニッシュラインを通過する時間を持って、チェッカーが振られる。
つまり、
1位の車両がチェッカーを受けていないこの時点で、
未だアイのレースは、
終わっていないのであった。
更に、アイの後ろにつけていた3位の車両も、
チェッカーを受けなかった。
-----そのすぐ後ろで、レースの終わりを告げるチェッカーが
・・・・はためいていた。
6時2分・・・6時3分・・・
アイは
戻ってこない。
6時4分。
6時の時点で3位であった車両が、
2位で、チェッカーを受けた。
そして、6時5分。
ゆっくりと、
アイが、
最終コーナーを立ち上がってきた。
ガス欠症状を起こし、
今にも止まりそうな、
力を使い果たしたアイが、
既に薄暗くなった富士スピードウェイのホームストレートで、
3位のチェッカーフラッグを受けたのだった。
全チームが、ホームストレートを、
通過する車両を見つめている。
もちろん、
我々NoLimitチームも。
どこからともなく沸き起こる、拍手。
アイに向けての拍手、
そして、その日戦った全てのライバルに向けて。
暑い夏の1日が、終わろうとしていた。
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その後、
各車共に、最後の1周を行い
ホームストレートで停止するのでしたが、
フィニッシュ後のアイから、悲痛な無線が届きました。
『アイが、止まった』
コース上で、
アイは止まりました。
やんかど君をゴールへと運んだ後に、
この日、レースが始まってから初めて。
やんかど君は、一旦車を停め、
揺すり、少しだけ時間を置いて、
再始動。
力ない音ながらも、なんとか復帰。
アイに、
最後のがんばりをお願いして、
既に多くの車両が戻ってきているなか、
本当にゆっくりと、
この日最後の最終コーナーを曲がって
皆がまつホームストレートへと
帰ってきたのでした。
僕は、
ピットでやんかど君との交信を、
最後のコーナーのところまでしていたので、
その後、ホームストレートに移動したときには、
暗くなったコース上で、
多くのエントラントが思い思いにたたえあっているところでした。

人ごみをかきわけ、
アイを見つけたときには、
なんとも言えない感情がこみ上げてきたことだけは、忘れずに書いておきます。
やんかど君の
『今回のレースが、マジで一番きつかった。』
この言葉が、彼のレース時の状況を、
そして、NoLimitとして初のK4-GPを、
如実に表しているといえるでしょう。
厳しい戦いでした。
が、戦いを終えて戻ってきた
タイヤカスと汚れにまみれたアイは、
我々にとって、誇らしいレーシングカーでありました。
最終消費燃料
『58.5リットル』
アイ、よくがんばってくれました。
ありがとう。
表彰式。
この日、クラスの参加台数が規定よりも少なかったため、
アイのエントリーするGP-1は、2位までが表彰対象でした。
昨年まで、表彰台に立たせていただけに、
悔しい結果となりました。
正直、無線の不調が無ければ、2位のままフィニッシュすることは、
十分可能だったと感じます。
が、
もしそうだったとしても、
あと1周
その1周のマージンを、僕とガーコー君とで、
用意出来ていたならば、無線の不調など気にせず、勝ちに持っていくことは出来たでしょう。
なので、実力不足だったことも、否めません。
だた、データで見ると、
過去3年間、優勝チームの周回数は、
97周、96周、96周。
そして、今回のアイも、96周。
決して、過去に引けをとらないレース展開をしたことだけは確かです。
しかも、
ドライバ2名は、K4-GP初参戦、アイでの富士も初でした。
ガーコー君と僕は、
二人とも同じ気持ちでした。
『まだまだ、上手く走れる。
今回、1時間40分もの時間をかけて、進化したのだから。』
実際、各時の持ち時間のうち、
最初と最後では、全く走りが違いました。
次回、必ず今回よりも上手く走れます。
僕にとって、
昨年春から始めた耐久レース。
毎回大変で、毎回悔しい思いをしているわけですが、
今回、後一歩というところまで来て改めて思うことは、
『やってよかった、楽しいことばかりだ。』
・・・ということ。
今回、ブログを書くのに時間がかかってしまいましたが、
その分、書いている途中に思い出すことは、楽しく、熱く戦えていたことばかり。
濃い記憶として、鮮明に僕の脳裏によみがえってきます。
今年33になりましたが、
まさか30過ぎて、フリー走行ではなく、レースをやることが出来るとは。
そして、こんなにも充実した日々を送れるとは思ってもいませんでした。
いいチームメイト、
そして、普段から走る、
サーキットで会う友人たち。
応援してくれる人たち、
サポートにわざわざ1日つぶして付き合ってくれる人たち。
スポンサードしてくださる方々。
場所を提供してくれる、主催。
どれが欠けても、こんなに楽しいことは、出来なかったでしょう。
感謝です。
これからも、参加できるとき、出来ないとき、
あるとは思いますが、
必ずまた、耐久レースには出ると思います。
デルタオイル・NoLimit 耐久初号機 アイ。
次回は、
クラス優勝を狙います。
皆さん、今後とも、応援よろしくお願いします!
Posted at 2014/10/16 19:01:23
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