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FLAT6さん
イイね!
2013/02/11

MTとATの違いを考察する。(その3)

第2章 MTとATの技術的分類

前回、MTとATの違いは心情的分類では「変速装置」の原理的な形式ではなく、なんと「クラッチの有りか、無しか」と技術屋にあるまじき層別で結んでしまいましたが(笑)、基本的なメカの特性は掴んでおく必要がありますので、復習しますが、ここは、さらりと行きます。

今のところ実用かつ、市民権を得ている自動変速機の方式は
①トルクコンバータとプラネタリギア+多板クラッチ式の いわゆる「トルコンAT」

②日本メーカが投資して来た、金属ベルトまたは金属チェーンによる「CVT」ですが、今はほとんど
 トルコン併用で、中にはギア式の副変速段を持つものも有ります。

③メカニカルなギア列の組み合わせにクラッチを持つMTミッションから進化したツインクラッチによる
 DCT

となります。

一方、マニュアルトランスミッションはメカ的な機構は大差なく、シフト方式がHパターンだったり、前後のみのシーケンシャルパターンだったり、という区分があります。

それぞれ、長所短所あるけれど、今や技術の進歩でかなりの領域でオーバーラップし、○○式だから、、ダメ、なんてことは相当小さくなっています。けれどもだからこそ、根本の成り立ちが「向き不向き」=こういう使い方が一番気持ち良い、、と言うところが出てきます。

理屈は述べませんが短く書くと

①トルコンAT(ロックアップ付き)
トルクコンバータ+多段遊星歯車式は、流体継ぎ手の親戚ですから、なめらかな変速と衝撃吸収性に優れ、トルク倍力作用も有って、どんなエンジンとも相性は良い(ダメなエンジンでも救われる)、、けれど裏を返せばなめらかゆえに「スリップロス」があり、ダイレクトな反力感が無いため、スポーツ走行での醍醐味は薄い。
(故に、これを改善しようと全段ロックアップとし、かつロップアップ開始時間を最大に早めたのがマツダのSKY-DRIVEですね。実際乗った感じも、これが一番車のジャンルを選ばす対応範囲広いと思いました)

 要約: 流体伝達時とメカニカル伝達時の2モードを行ったり来たりしている。トルク切れはゼロではないが、変速時には多少有る。


②CVT
トルコンに慣れた故か、渋滞や坂道で重宝するクロープ現象がCVTには無いため、トルコンを前段に持つことによって、これをカバーし、かつ衝撃もダンパとして緩和出来るし、トルク増幅機能も有る。しかし、ベルトとプーリの摩擦伝達故に僅かとは言えスリップロスがあり、チェーンの屈曲抵抗、機構上の圧力損失などあり、流体程ではないが、伝達効率は落ちる。トルコンは発進から20km/h程度でロックアップし、あとはCVTのみで制御され高効率。定速の高負荷は苦手で、おいしい領域は中速域だが、頻繁な速度変化に文字通り無段変速出来るなめらかさが持ち味。基本はスクータと原理は同じなのでエンジン回転と車速のリニア感が得られず、そもそも「趣味的な」乗り味には不向き。(近年大トルクにも対応できるようになり、スバルのDITレガシィにも使われている。むろんなめらかだが、故に急な変速差の大きい(4速から2速に落とすような)動作では、変速時間が思ったよりかかり、なめらかだが加速するまで待たされる感がある。スバルには申し訳ないが、マツダのSKY-DRの方が、スバルの車の性格には有っていると思うのだが、なぜAWDというダイレクト感の出せる車に苦手なCVTで頑張るのか、??である。)
2015/7/3補足)スバルのCVTに関しては、急速に進化して、その狙いがわかって来ました。その話はこちらで・・・「CVTはアイサイトのために」 

 要約: スタート域はトルコン経由だがすぐロップアップされる。変速時にトルク切れが無い。(伝達トルク/重量で不利)走り出した後は、元来エンジンとタイヤのダイレクト感に優れるはずだが、、、。


③DCT
2つのクラッチを使って、偶数段と奇数段を順番に変速する。次のギアを前もって入れておく事で、素早い変速が出来る。いくつか機構は有りますが、同軸配置の2つのクラッチでコンパクト化され、今や欧州では廉価、省エネ用途ではDCTが主流となりつつありますが、欧州びいきの広告雑誌が讃えるほど、しつけが良いとは思えず、ストップ&ゴーが世界一頻繁な東京では、奥方が好むとは思えません。マニュアルの生産インフラ使えて、長距離移動や、過密な都市で無い条件且つ、低コストで出来るから、、、と言う感じ。但し、他と違う重要な点は、クラッチが滑るまで、タイヤとエンジンの回転がダイレクトに繋がっていること。

 要約:ギヤによる伝達でスリップが無く、効率が高い。変速時のトルク切れは極わずかだが、変速の段付きは残る。
ギア結合とギア結合の間に、一瞬クラッチを介したスリップ領域があるが、人間がやるより極わずか。これを減らすほどにトルク切れは減るが、ショックが増える。


・・・となりますね、大体は。
さて第1章で触れた、「MTが必要」と言っている部分を最も補えそうなメカニズムを持っているのはどれでしょうね?(笑)。次回で、スッキリ、、となるのでしょうか?。

つづく
Posted at 2013/02/11 23:34:48
イイね!
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