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― 風のあとに残るもの ―峠の頂を越えたあと、路面のざらつきが、指先から少しずつ遠のいていく。ブレーキを抜いた足の裏に、まだ微かに熱が残っていた。エンジンを切ると、音がひとつずつ、世界から抜けていく。