国際連合大学本部
青山の一角にある「国際社会」
2011年12月12日

渋谷駅前から宮益坂を駆け上り、国道246号と合流すると間もなく、左側に岡本太郎の作品が飾られている「青山こどもの城」、右側に名門・青山学院大学が見えてくる。
「青山こどもの城」に並び建つ、明るいグレーで金属製円柱フレームが目立つ三角形の建物が「国際連合大学本部」。文部省(当時)の発注・丹下健三の設計により建築され、1992年竣工。日本にある国際機関の施設としては最大の規模である。
「大学」という名称から、例年何件か「願書はどちらで手に入りますか?」という質問が寄せられるらしい。当該受験生に授業した社会科教師、もしくは進路担当教諭が一体何を教えていたんだと嘆くばかりだが、「国際連合大学」は国際連合の研究機関であり、日本の学校教育法上の「大学」には位置づけられてこなかった。
2010年の政令改正で、文部科学省から学校教育法上の「大学院」に位置づけられ「修士」「博士」の授与も可能となったが、設立以来ずっと一般の学部学生がいない「大学」である。
国際連合の一機関ではあるが、研究・学問の独立性を担保するため国際連合の一般予算から切り離され、大学組織の自治が認められている。
よって財政的には国際連合大学が独自に各国政府・財団・企業から拠出金を募って運営している。
国際連合大学本部の敷地は、「青山こどもの城」そしてその先の「コスモス青山」を含め、都電の青山車庫があったところ。現在でも一帯の土地所有者は東京都になっているが、東京都はこの敷地を無償で提供している。
文部省(現文部科学省)は本部の建築費用120億円を拠出したほか、毎年外務省・農林水産省・環境省が10億円前後の資金を支出している。
ただし大学構内は大使館施設と同様、治外法権が適用され、日本の法規が及ばない「外国」だ。
広報展示のフロア以外に立ち入ることは不可だし、展示内容自体も然程面白いものではないが、本部前で週末開かれるマーケットはとても賑わう。
品物の並べ方や品揃えもパリのマルシェや蚤の市のようで、とても楽しい。開催日程については参考情報URLの主催者発表を参照されたい。
青山一帯が、とてもお洒落で世界中のブランド服・食・書籍・音楽を手に入れられる街であることと相俟って、この国際連合大学周辺も、東京の中心に居ながら「世界」を感じられる一角である。
住所: 東京都渋谷区神宮前五丁目53-70
関連リンク
タグ
関連コンテンツ( 丹下健三 の関連コンテンツ )
地図
関連情報