阿倍王子神社

大阪市阿倍野区に鎮座する、熊野大社と関連の深い由緒ある神社。
世界最大の陵墓造営で有名な仁徳天皇の夢枕に、熊野神社の神使にしてサッカー日本代表のシンボルでもある霊鳥・八咫烏(やたがらす)が現れ、御所周辺を探索させたところ「あべの」の地で発見。当地に神社を創建したと伝わる。
その熊野への参詣ルート(熊野街道)上にあったことから、巡礼者の保護と休憩場所の提供を担っていた99の王子社のうちの一つとして栄えた。しかし王子社は熊野詣の衰退に伴い統廃合・移転が相次ぎ、創建当時から現在に至るまで同じ場所に立ち続けている御社はここ「阿倍王子神社」の他には存在しない。
なお50mほど離れた場所にある末社に、陰陽師として知られる安倍晴明を祀った神社がある。
2013(平成25)年夏に開催された「阿倍王子神社夏大祭(氏子大祭)」において、極めて悪質かつ罰当たりな事件が発生した。全く当たりの無い籤引きを営業していた露天商が、詐欺罪で逮捕されたのだ。
弓矢を用いた射的の遊技場「的屋(まとや)」が転じて、祭礼の際に開設される露天商のことを総じて「テキヤ」と呼び訓わすようになったとされる。
摘発されたような籤引きの露店も、射的と同じく客の射幸心に訴求する商売なので「的屋⇒テキヤ」の起源に最も近い保守本流の業態と言っていい。そんな業者が露天商の評価を貶めるケチな詐欺行為を働いたのだから、救いようがない。
籤引きの公正さが担保される限りにおいて、人々は幸運の女神との戯れに一喜一憂し、外れても「仕方ないねぇ」と納得して祭礼の続きを愉しむだろうが、胴元がズルをするなど神をも畏れぬ罰当たりな所業。露天商の守護神であり、露天商そのものを指す代名詞となっている中国大陸由来の商業の神・神農もさぞお怒りに違いない。
私個人の考えであることを最初にお断りしておくが、私は露天商から物品を購入するのを好まない。
大多数が善良な業者であることを理解しつつ、衛生管理の問題や今回摘発されたような不正、更に私が買ったたこ焼や子どもが被るお面のお代が”鉛の弾を弄ぶ黒い玩具”や”幻覚を呼ぶ小麦粉”に化けてやしないかという疑念を振り払えない。
善良な業者とて、意に反して用心棒代やみかじめ料を集られ、私から受け取った売り上げの一部または全部が反社会的勢力に流れないとも限らない。
そんなのは偏見だ、綺麗事だとお叱りを受けるかもしれない。当の私とて、硬化した頭脳と狭小な人格が導き出した偏見であって欲しいと思っている。
しかし「テキヤ」の起源となった射的が暴力団の資金源としてメジャーな「賭博」とも通底しているのは、「的屋」の別称「矢場(やば)」が形容詞化して危険かつ尋常ならざる状況を表現する隠語「やばい」となった経緯が証明している。
「阿倍王子神社夏大祭」の事件で逮捕された露天商も、不正に売り上げた金を暴力団に流していた可能性が取り沙汰されている。また全国的にも、暴力団追放を徹底したら露店が全ていなくなってしまったとか、地元商店が格安で食品を販売しているところに暴力団員が押しかけて露天商と価格を合わせるように脅した………といった事例・事件が後を絶たない。
子どもにせがまれつつも、私の財布からは可能な限り支出をしない……というだけのことで、露天商そのものの存在を否定するつもりはないし、祭礼から露天商が居なくなって空疎な状態になることも望まない。露天商は、特別なイヴェントごとの盛り上げ役として必要欠くべからざるものだろう。
だとすれば、その位置付けと役割の重要さ、神仏の御膝元で商売を開ける有難みを肝に銘じ、徹底した衛生管理と不正行為の排除、そして反社会的勢力との完全絶縁を成し遂げてほしいものである。
住所: 大阪府大阪市阿倍野区阿倍野元町9-4 阿倍王子神社社務所
電話 : 06-6622-2565
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