福島県赤十字血液センター
緊急の呼び掛けは「美談」に非ず
2014年08月03日
私自身が献血ドナーとして定期的に協力を申し上げていることもあり、どうしても献血に関するニュースには敏感にならざるを得ない。
昨今は、エイズウィルスがスクリーニングを通過してしまい輸血患者を感染させてしまったとか、献血ルームで暴力沙汰が発生した等々、深刻なニュースが多い印象だが、2014(平成26)年5月に少々毛色の違う報道に接した。
福島県内で大量出血した患者の為にラジオで献血が呼びかけられ、リスナーが敏感に反応。県民が献血ルームに列を為したという。
福島県民の善意で、危機に陥りかけた患者さんが一命を取り留めたことをまずは喜びたいが、さりとて単純に「美談」「久しぶりのいいニュース」で片付けてよい話ではない。
このニュースを裏返しに読んでみれば、急な呼び掛けにも関わらずドナーが集まってくれたからいいようなものの、風邪の流行や悪天候が原因で血液が調達できなかったら患者さんはどうなるの?……ということになりかねない。
血液事業は都道府県単位の展開を基本としつつ、局地的な需給変動に対処するため全国7ブロックの広域血液センターが設置されている。
福島県は「東北ブロック血液センター」(宮城県血液センターに併設)の管内で、本来はここから融通を受けることになっていると思うのだが、こちらでも不足が生じたなどの事情で調達できなかったのだろうか。
日本赤十字は福島県民の善意への御礼と併せ、今回の事態が生じた原因を調査・公表すべきだと考える。
人口に比例してドナーも多い東京は、夕刻には血液の調達量がオーヴァーしてしまい、善意を受け取り切れず泣く泣く断らざるを得ない日もあるという。
東京および関東ブロックの血液需給に余力がある前提で、「浜通り」のいわきや山間部の会津で急患が発生したならドクターヘリや自衛隊のヘリコプター出動を仰ぎ、今回の福島や郡山・白河であれば新幹線を利用して東京の血液センターから緊急輸送する……といった方策も考えられたかもしれない。
通常ダイヤでは福島県内全駅を通過する「はやぶさ・こまち」が、緊急血液輸送のため新白河駅に臨時停車……なんてニュースが聞けたら、既に献血60回を超えるドナーにして鉄道ファンである私はとても嬉しいのだが。
住所: 福島県福島市永井川字北原田17
電話 : 024-544-2550
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