ケッテンクラート
投稿日 : 2013年08月09日
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ケッテンクラートは1941年から1944年にかけてNSU社ほかにより8345輌が生産され、大戦後にも550輌が再生産された。
制式名称はクライネス・ケッテンクラフトラート(独: Kleines Kettenkraftrad)で、逐語訳すると「小型装軌式オートバイ」である。軍の制式番号はSd.Kfz.2、NSUの型式はTyp(Type) HK 101である。
ケッテン(独: Ketten)とは鎖、つまり履帯を意味し、クラフトラート(独: Kraftrad)はオートバイに対する当時の言い回しで、現代のドイツ語における"Motorrad"に相当する。兵語としてはさらにクラート(独: Krad)と略される。
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全長に対する履帯の接地長が大きいため前輪のみでの操向(旋回)は不可能である。そのため、左右のドライブスプロケットに設けられたブレーキドラムとステアリングシャフトとはリンケージとX字形に交差するロッドでつながっており、一定以上の舵角でカーブ内側のスプロケットにブレーキがかかり、その履帯の速度が落ちる仕組みになっている。
前輪は無くても走行は可能で、東部戦線の泥濘期(春の雪解けや秋の雨によってもたらされる、地面一帯が泥沼と化する期間)においては、前輪とフォークやフェンダーの間に泥が詰まって走行抵抗が大きく増えるため、前輪を外して使用していたという事例もある。
運転席左右のアームレスト的、細長いボックスは燃料タンク。
左右それぞれに一か所づつの給油口が確認出来る。
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履帯のコマ数は80で、ゴムパッド付きである。サスペンションとロードホイール(転輪)は、多くのドイツ軍履帯式車両に見られる、トーションバースプリングを用いたスウィングアーム(トレーリングアーム)とオーバーラップ式転輪の組み合わせである。この為、車体左右転輪の位置が微妙にずれている
ドライブスプロケット(起動輪)の駆動軸は一般的な自動車と同様に左右が同じ方向に駆動される方式のため、二つの履帯を逆に回転させる超信地旋回は不可能である。
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1輪の前輪で操舵する構成が特徴で、操縦席の他に2座席がエンジンルーム後方に後向きに備わる。
動力には、大戦直前のドイツで最新の量産型乗用車であった1938年型オペル・オリンピア用のガソリンエンジン(1488cc水冷直列4気筒OHV、36HP/3,500rpm)をベースに細部を改変して転用し、車体中央に縦置きした。
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前進3速・後退1速のマニュアルトランスミッションと2速の副変速機からなり、副変速機をハイレンジにしてエンジンの許容回転速度で運転した場合の最高速度は70km/hに設計されていたが、騒音が酷いこともあり実用上の速度域は50km/h以下と言われている。
アクセルはハンドルレバー右側。
床のペダルはクラッチ。画像ではわからないがプロペラシャフト反対側にブレーキペダルがある。
画像上側のレバーが変速機。画像下側のレバーが副変速機。
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戦争末期、前照灯はこのような形状となった。
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このような状態で乗車する。
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走行時は振り返り前方を見ながら乗車すると安心。
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