
秋田県内このシリーズ、2回目は羽後町である。
地図でもわかるように、羽後町は、左半分を由利本荘市に、右半分を横手市と湯沢市に囲まれた、県内でも屈指の豪雪地域である。
秋田市から、上記三市に行くにありては、羽後町を経由することを待たない。
けだし、羽後町に行くためには、羽後町を目指さなければならないのである。
けれどもここは、自身、県内10の単独市町村中、最も訪れる回数の多い町である。
今手元にあるダイアリーを見返しても、ここ最近だけで4月19日・26日、5月3日・6日と訪ねている。
羽後町は本当に良いところである。だからこのブログも半端な分量ではすまない。
秋田市からのドライブルート的には、国道13号線を南下するか、もしくは国道7号線より由利本荘市から進軍するかのどちらかだろう。ナビでの距離的にはどちらも約85キロ程度で変わらない。
13号線から横手より雄物川を超えれば、羽後である。
しかれども、午前の往路はやはり、由利本荘市からの経路が圧倒的に多い。
7号線から日本海道路を進むこのルートは、右手には日本海、正面には鳥海山のロケーションが待つ。
果たして岩城ICから、新緑の山々を目に走ると、唐突に目の前に、真っ白な鳥海山のパノラマが広がるのである。
本荘ICを降りてからの、由利高原鉄道沿い矢島108号線から見える車窓の眺めは、鳥海の美しい風景だ。

それは、その日を祝福してくれているかのようである。
早朝より出てて、時間的な余裕があるならば、鳥海町の麓より秋田県最奥の百宅集落~フォレスタ鳥海ラインのドライヴや鳥海荘での温泉も楽しめるだろう。
なんとなれば、羽後と鳥海町というのは本当にすぐ近くなのである。これについては後述する。
以下、羽後町の紹介である。
まずは町のデータである。
人口は約16,800人
平成27年度一般会計総額は約81億円。
その内訳は、市区町村税等の自主財源が26.3%、地方交付税交付金や国庫支出金等の依存財源が73.7%である。
この数字は、他と比べてどうなのだろうか。
例えば、先だっての大潟村と比較すると、(その後の調査によって、大潟村の自主財源が占める割合はかなり高かったことが判明した。)人口は約5倍であるのに対して、同一般会計総額は約2.3倍である。
また、同雄勝郡の市である湯沢市は、人口約50,000人で同会計は約288億円であるから、その他の自治体との人口予算比はけっして多いものではないだろうか。
一言で云うならば、羽後町というのは自然と文化財の町である。
地図

羽後町マップは、山内貴範氏の『町おこしin羽後町―美少女イラストを使ってやってみた』に詳しい。
この本は、美少女キャラといえば何かと誤解?を受けやすいイメージがあるようだけれど、
それらを払拭する丁寧な記述がなされているし、ガイドブックとしても白眉だと思う。
東由利からのルートでは田代地区、矢島からは仙道地区、湯沢からは西馬音内地区が玄関口となる。
地区の入口には、それぞれの看板があるから目印にどうだろう。

実際に、道路を走る町民の車のスピードは驚く!程ゆっくりである(笑)
是非、旧長谷山邸には足を運んで欲しい。
およそ10メートルの栗や楓を接木なしで組んだこの建築用法は、明治以降の木造技術の現れでもあるのだ。
蔵の扉は、増田にもない六重の意匠が施されたもので、これが個人宅であるというのは、にわかに信じられないスケールである。
1704年建立の地蔵院
町でも鐘のある寺院は、ここが唯一である。
なんとここで合コン!も開かれるようで、最近も二組のカップルが結婚したそうである。
禅寺とのことで、こちらは今度、座禅でもしに行こうか。
三輪神社は、正面より左に八幡神社を、右に須賀神社を並ぶ、建立を室町まで遡る古い神社だ。
えー説明は案内板をば(苦笑
350年前の古民家、鈴木家住宅も是非足を運んで欲しい。
歴代の当主が蒐集した古美術品もちゃんと残っていて、蔵の見学も可能だ。(本当にこの記事は、旧長谷山邸のことも含めて、現46代目当主の鈴木氏への取材なくして成り立たなかった。改めてお礼申し上げる次第である。)
鈴木さんちに行く看板はけっして見落とすことはないだろう!
ちなみに(この、ちなみには鈴木さんの口ぐせでもある(笑))同じ茅葺き(厳密には異なるが)白川郷の合掌造りは、雪下ろしの回数を最小限で済ますためのあの斜面なのだそうで、ここもさぞかし雪下ろしは大変なことかと思われるが、しばらくもするとその意味はなくなるそうである。
田代地区の蒐(アザミ)沢集落では、そこかしこに茅葺きの民家があり、なんとなれば竜騎士07氏を思わせるそこはかとない雛見沢である。
集落の最奥は、そこで終わりではない。
ここを右に下れば、鳥海の川内に直接出るのだ。
それは羽後と鳥海の交易を今に残すものでもある。
通称、未毛位根林道は、ここを起点とする。
いざ突撃!
かなりの悪路だが我が愛機は素晴らしい走破性を誇る。
この道の終点から見える風景は一度、その目でご覧あれ!!
さて町は、盆踊りで有名な西馬音内の通りである。
休日の午後などは、まるでキリコの白昼夢のよう。
しかし、決して寂れたシャッター街ではない。
ちなみに、フォトにある北都銀行西馬音内支店は、秋田県出身の漫画家矢口高雄氏が、デビュー前の銀行員時代に初めて赴任した支店である。
西馬音内はお蕎麦も美味しい。
長谷山のせいろは、お昼最大の楽しみの一つである。
午後のひとときは、カフェOHZAN櫻山しかないだろう。
櫻山のカフェは旧対川荘であり、明治に建てられた羽後町の迎賓館である。
毎年、庭の桜が咲きはじめる四月下旬から、十月半ばの冬の訪れる土日祝のみ開かれる。

訪れる曜日が土日になるのは、やはり、ここで過ごしたいからである。
JAうご
西又葵氏イラストは、どこかで目にしたことも多いのではないだろうか。
LAうごの商品は、一度パッケージ含めて現物を手にとって味わってもらうことを願う。
あきたこまちだけでなく、羽後牛のシチューも絶品である。
お土産も可愛らしい。

遊んだ帰りは羽後の風景が見渡せる、としとらんどのお湯でほかるのが常である。
さて、羽後町は、平成の大合併の際、県内でも一番先に合併しないことを宣言した町である。
なかんずく県南雄勝郡では唯一の単独町である。
当時の佐藤正一郎町長(現県会議員)が国の一方的な推進に唱えた異に、町でも賛同する声が多かったこと、そして、合併特例債の活用にもすべからく「これ以上、借金を増やして何をつくるのか」という思いがあったからだという。
最後になりますが、羽後町は本当に良いところです。
もし、このブログが訪問等、何らのきっかけとなるならば、望外の喜びであります。