リア周りの車体センターをDIY計測で確認。フレームアライメント確認①
目的 |
修理・故障・メンテナンス |
作業 |
DIY |
難易度 |
 初級 |
作業時間 |
30分以内 |
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SRのフレームのリア周りのアライメントはピボットシャフトで固定されている “ブッシュ2” を中心と考えると、エンジンが右に5mmオフセットして搭載されている所までは何と無く確認済みですが、
その他に
・リアタイヤのオフセットはないのか?
・チェーンラインはセンターラインと並行なのか?
・シートレールは右側に何mmズレているのか?
今回は実際に出来る限りしっかりと確認します。
今回はとても長いので計測結果を先に書きますと、
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ブッシュ2は車体のセンターと言える。
ブッシュ2と各パーツのズレは、
・エンジン 右に8.75mm
・スイングアーム 右に4mm
・リアタイヤ 右に4mm
・チェーンライン 右に2.125mm
・シート固定点 右に6mm
・リアフェンダーとグラブバー 右に6mm
・フレームリアサス固定点 右に4mm
(左右のズレ量で表記したのでオフセットとしてはその1/2量)
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この様な計測結果と成りました。
1978年発売開始でCADも無い時代に設計されたオートバイなのでこんな物なのでしょうか。。。? 車体の精度ってどの位だと思いましたか?私の思いとは結構な乖離がありました。
計測は、定規・アルミパイプ又はステンレス棒・ノギス・エンビパイプ・2mm厚のワッシャーを使って極力計測精度が維持できて再現性の良い方法で行いました。簡単な方法なのでぜひ皆さんの車両でもTRYしてみて下さい。
では各部を計測していきます。
先ずはブッシュ2とエンジン中心の確認です。
スイングアームを外してスイングアームからブッシュ2を取り出してピボットシャフトと共にフレームに装着ます。
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ブッシュ2とフレームの隙間は2.5mmでした。
本来であればダストカバーもココの隙間に入ります。片側1mmなので計2mm。残りの0.5mmがスイングアームを装着する際の隙間になります。ピボットシャフトを締め込むとフレームが締まってブッシュ2を挟み込んで固定する構造です。
(写真のブッシュ2は中古で買ったスイングアームに付いてきた使えない錆品です。一応書いておきます)
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2mm厚のワッシャーを左右のダストカバー分のダミーとして挟んでピボットシャフトを締め込んで、スイングアーム装着時のフレーム寸法を再現します。
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計測します。フレーム左からエンジンセンターまでの距離
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104.0mm
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フレーム右側からの距離
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95.25mm
カメラはレンズがなるべく車体中心になる様にフレームに添えて位置決めしてあります。
計測精度的は104.0+95.25=199.25mm。
ブッシュ2の長さが197.4mmとダストカバー分が2mmなので足して199.4mm。誤差0.15mmで良いところですね。
199.25 /2 = 99.625mm
104- 99.625=4.375
95.25-99.625=-4.375
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結論①
エンジンのセンターはピボットシャフトの中心から左右で8.75mmズレていて、4.375mmオフセットしている。
と言う事で、ブッシュ2が車体のセンターになっていると思うので、引き続きセンターを確認していきたいと思います。
因みにフレームに対するエンジンのマウント位置の基準点は、写真で言って左上部のブラケットが基準点になるようです。他のマウント部に比べてブラケットが太くなっています。右上のブラケットは斜めに装着する様になっていてスライドして幅のツジツマを合わせられるように(左に押し付ける様に)なっています。
下側のブラケットはそれに合わせて位置決めされる(今回の場合左寄せになる)様で、右のブラケットが歪んでエンジンを挟み込むみたい。曲がり易いように薄手の鉄板の2枚重ねなのかな?写真は次項
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こんな感じです。細かい様だけどそのまんまチェーンラインに関わりますので。
なのでエンジン搭載位置を突き詰めて考えると、エンジンを横から見てリア上側のマウントと一番前のマウントの前後2箇所で左右の位置決めをして、下側の2点で強固に固定すると言う考え方が良いみたいです。なので締める順番にも配慮が必要って事になります。
こう言う考え方、プロショップみたいで良いですよね。
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次にスイングアーム周りの確認をしてチェーンラインとリアタイヤのセンターを確認します。
左チェーンアジャスター 4.4mm
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右チェーンアジャスター 20.3mm
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リアタイヤ・ハブ・ブレーキとスペーサーAssyで 185.5mm
スイングアームに挟まる物の合計 185.5+20.3+4.4= 210.2mm
リアホイールがスイングアームの間のセンターに来ているのは以前確認済みなので、リアタイヤのセンターからスイングアーム内面は 210.2 /2= 105.1mmとなります。
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リアスプロケットとスイングアームの距離は16.4mm。なのでスプロケット表面はリアタイヤのセンターから105.1 - 16.4 = 88.7mmの所にあるって事ですね。
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フロントスプロケットはスプロケカバーの取り付けボスの加工面まで
4.0mm
手が足りなかったので定規が写ってないですが、スプロケット面の延長線から加工面の距離です。
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加工面からエンジンセンターは89.2mm。なので+4して 93.2mm。エンジンの割れ目がブッシュ2の中心から4.375mmオフセットしているので-4.375mmして、88.825mmがセンターからドライブスプロケットの表面の距離。
リアスプロケット表面は88.7mmだったのでズレは0.125mm。誤差範囲かな。
コレでチェーンラインの確認はOKと思いましたが、リアアクスルのオフセットの確認をして無かったですね。リアアクスルシャフトが車体のセンターにある事が確認出来ればチェーンラインの確認もOKになります。
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ではスイングアームの左右方向の精度確認です。
スイングアームの開きの寸法は 210.7mmでした。間に挟まるものは210.2mmだったので隙間は0.5mmになっているようです。
計測前に210.2mmに切り出した塩ビパイプを挟んでキュッと締めておきました。
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スイングアームのピボットシャフト側の幅は186.6mmです。
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ピボット側の端面に細いパイプを挟んで軽く締めます。
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ココの隙間を計測します。
ピボット側の端面に沿わせたパイプが3mmあるので、隙間の計測値+3mmがピボット側端面からスイングアーム内面までの距離になります。
計測結果が (210.2 - 186.6) /2 -3 = 8.8mm であればリアアクスル周りがブッシュ2のセンターにある事が確認できます。
右側 7.2mm −1.6
(初め4mmのジェラルミンのパイプを使用したのですが、力を少しかけるとシナルようだったので途中から3mmのステンレス棒に変更しました。写真と計測値はごっちゃになってますが、掲載の結果はステンレス棒での計測値になっています。棒の曲がりは棒を回して計測してバラツキで確認します。意外と真っ直ぐが出ます)
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左側 11.0mm +2.2
計測誤差は -1.6+2.2=0.6mmなのでまぁまぁですが、1.3~2.5mm右側に寄っているようです。
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手元にもう一本スペアのスイングアームがあるのでそれも計測してみます。
右側 6.8mm −2.0mm
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左側 10.9mm +2.1mm
計測誤差 −2.2+2.1=0.1mmなのでOKですね。
2本測りましたがやはり左右で4mm程ずれます。2本とも似たり寄ったりなのでそんな感じなんだと思われます。
正確な値はしっかりとした治具を作成して計測しないとですが、取り敢えずリアアクスルのセンターは右に4mmズレていて約2mmオフセットいるとして良いと思います。たった2本の計測結果からですが製造時からのズレだと思われます。
今回は左右方向の計測のみですが本当であれば上下方向のズレも見る必要があります。ザックリ、テーブルに乗せて4点の高さが整えばOKでしょう。
フレームでお世話になったショップさんに教えてもらいましたが、機種によっては製造時から10mmくらい片足が浮いてしまうスイングアームもあるそうです。
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結論②
リアアクスル(リアタイヤ)のセンターは右側に4mmずれて2mmオフセットしている。
結論③
チェーンラインはフロントを基準として、リアスプロケットが車体中心側に0.125mm + 2 = 2.125mmズレている。
・リアタイヤの直進をチェーンラインの確認で合わせるやり方に「チェーンラインは正しいとは限らないので目盛りで合わせる」。と言う言い分があると思いますが、確かにチェーンラインのズレはあるようです。チェーンラインを修正するかズレを考慮して作業する必要がありますね。
スイングアームの目盛りの精度も計測したかったのですが、出来るだけですが精度良く計測する方法が思い浮かびませんでした。
代わりに目盛りのズレによる影響度を考えてみます。リアアクスルシャフトはホイールベースの1/6程の長さなので(1410/230)、目盛りで0.2目盛り分(1mm)ズレていると仮定すると、リアタイヤの向きを延長したラインとフロントタイヤ接地点のセンターは単純に6倍して6mmずれる計算になります(正確には端数は出ますが無視できる値です)。
チェーンラインを合わせた上でチェーンラインを見てチェーン引きを行い、その時のメモリを見て目盛りの精度を確認するのが良いかもしれません。
結論④
全体的にアベコベ。ブッシュ2基準で言うと
スイングアームのリア軸は、タイヤ・スプロケ含めて右に4mm
チェーンラインは右に0.125+2mm
エンジンは右に8.75mm
・ブッシュ2が車体センターと言える結果は見当たらず。スイングアームがセンターと言える結果も見当たらず。
・他に基準となる部位も見当たらず。
リアタイヤの位置を修正するとしたらスペースが許せばですが、左側のチェーンアジャスターの鉄板を1枚剥がしてそれを右側にスペーサーとして挿入すると2.4mm修正が効きます。
スイングアーム自体の修正はたとえプレスなどが使用出来たとしても修正した角度分、シャフトが付く部位の角度も修正しないといけないので難しいと思います。
タイヤ位置の修正は右流れの車体の修正には逆作用かな?でも車体とタイヤのセンターとチェーンラインが合ってた方が良いと思います。変に捩れた感じを削減出来るかも。
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その2までの計測結果を基に各部品をセンターを合わせると、シートレールと各部品の間隔がコレだけアベコベになりました。
右のシートレールが広がってるって言えば分かりやすいかも
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