なつかしい。。。もう40年近く前なんですね。E39AギャランVR-4のカタログでセンターデフ付き4WDを説明しているページです。当時大学生だった私はこのページを暗記するほど読んでいました。
職場の知人がいまセンターデフ式の高性能4WD車を愛用しているのですがGRヤリスに乗換を考えていると話しかけられました。同時に『ぱぴとさんはもうスポーツ4駆には戻らないんですか?』と聞かれました。
わたしは昭和の終わりごろから平成20年ころまで、年齢にして25歳くらいから40代後半までセンターデフ付き4WD車を4台乗り継ぎました。このころは高性能ターボエンジンにセンターデフ付き4WDを組み合わせた車にしか目がなくてほかの車なんか全然眼中にありませんでした。なぜセンターデフ付きにこだわったかというと後輪にしっかりと駆動力が伝わってほしかったからです。4台とも前後のトルク配分は50:50。どんな時でも50%の駆動力が後輪に付加されていることがうれしかったです。上記の知人には以前この話をしたことがありました。
ところで4WDにはいくつか種類があることはよく知られたことだと思います。私が乗ってきた4台はすべてセンターデフ式4WDだったのですが、いまセンターデフのある4WDってほとんどないですね。現代のラリーシーンでおなじみの例のGRヤリスもセンターデフは持たないタイプです。いわゆる電制カップリングを使うタイプ。このタイプの4WDの作動はおそらく多くの人は誤解しているように思っています。ほとんどの走行シーンで後輪には駆動力は配分されないと思います。GRヤリスのカタログでは後輪のトルク配分は最大70%までと言って後輪におおく駆動力をかけることをアピールしていますが実態は99%FFで走っているものと思います。前輪は氷の上、後輪はアスファルトの上、というくらいの極端な条件でなければ後輪に駆動力が分配されることはほぼないとみています。
40年前のギャランVR4のカタログと違って最近の電制4WD車は4WDの作動説明を明確にしていないことが気になっています。実際はほとんど前輪だけで駆動しているのにほんの一瞬だけ後輪にトルクがかかることを大げさに表現してるように思えています。もう一つの例はポルシェマカン。この車は前輪よりも後輪のサイズを大きくするなど後輪重視の仕様を見せていますが、電制4WDであることだけ説明して詳細な構造機能の説明がないことからほとんどFFだと思っています。
ここで重要な知見は、『カーメーカーの都合でコスト重量低減の目的で乗用車の基本コンフィグレーションをFRからFFに変更してしまったが、クルマ好きはFFでは満足しないことが多いのでFFベースで4WDを作ろう。ここでは後輪が駆動していることを強くアピールしたい』という製造側の思惑だと思います。
実際の4WD車の駆動力配分のことについてはあまり細かいことを書き始めるとどんどん長文になってしまいますが、センターデフを持つ4WDすら走行中の本当のの動的な駆動力配分は前後重量配分や駆動系の剛性差、タイヤの微小な外径差が大きく支配していてフロントの駆動力配分が実は70%くらい、というデータもあります。路面とタイヤの間にキチンと摩擦力があるのであれば電制カップリング車の場合は、リヤには駆動力はかからないと考えて間違いないと思います。
1995年ころだったと思いますが、かの徳大寺氏がスバルと三菱の4WDを比較して、『スバルの4WDはいつも後輪にキチンとトルクをかける本格派、三菱の4WDは全車、(あの大パワーを誇るGTOですら)前輪がスリップした時だけ後輪に駆動力がかかるだけのなんちゃって4駆』との記事を書いていたことを明確に覚えています。まずこの記事は大きな間違いを含んでいます(三菱だってセンターデフ式4WD車は常時後輪に50%のトルクをかけているし、逆にスバルは高性能ターボ車以外はカップリング式の4WDで、乾燥路では完全にFF車でした。もっというと三菱の方がセンターデフ4WD車は多かったです。ましてや個別車名を上げて攻撃していたGTOは、センターデフに機械的に不等トルク配分を与え、後輪の駆動力配分は常時60%程度だったはずです。)が徳大寺氏も後輪をきちんと駆動させる4WDの方がエライ!と思っていたのですね。
わたしは4WD車4台に乗り継いでるうちに、『後輪の駆動にこだわるんならFRでよくね?』と思い始めてきました。FFベースの車に4輪駆動システムを無理やり後付けして不必要に構造を複雑化した結果、不自然な挙動を起こしながら4輪がお互いに抵抗力を発生しあってぎくしゃくと走る様子に気づき始めてしまった私は『製造側の都合で意味なく複雑化した車に乗ってる』と思うようになり、もう4WDを所有するのはやめようと思ったわけです。そして実際にFR車に乗りかえたわけですが、今まで乗っていた4WDに比べるとFR車はクルマの上質感を味わえる車だと実感しました。4WDにはないFR独特の走行感覚は自然で無理している感覚がなくスムーズでクルマの味があります。それに比べると4WDは駆動系が発生させる内部抵抗を感じられてしまいそれだけで走行フィーリングは大きく損なわれていると思います。
先日Googleで『FRと4WD』みたいなキーワードで検索したところ、AIによる概要欄に、『後輪駆動はクルマの矜持』と書かれていましたが、この言葉こそ私がいつも思っていることです。FRの自然でスムーズな挙動を味わうことこそ今では私のくるまに乗るときの楽しみなんです。ワインディング路やグラベルで1秒を削り落とすような走りも若いころは楽しみました。そんなシチュエーションではセンターデフ付きの4WDは有効に作動してくれたと思いますが、しょせんそれはクルマの全走行距離の5%まで行かなかったと思っています。ましてや電制カップリングのGRヤリスなどは自慢の電制4WDが作動している時間は全走行の1%にも満たないと思います。しかしFR車のスムーズで自然な走行感覚は全走行の100%のシチュエーションで現れています。こんなことが私がフルタイム4WDからFR車に移行した理由です。
Posted at 2025/08/21 22:29:49 | |
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