私が自分自身の30年以上にわたる自動車業界での経験をもとに判断すると、V classは商用車であると結論付けていいと思います。順を追って説明したいと思います。
まず、ほとんどのカーメーカーはすべての自社製品を明確に『乗用車』か『商用車』に区分しています。分ける基準は、ドライブに使うか商売に使うかなんて言うことではなく、ライトデューティに使うことを想定しているかヘヴィーデューティにつかわれる前提か、ということであり、商品プロジェクトチームが判断します。
メーカーの中で商品の作り方において乗用車と商用車でどのような差異があるかというと、、、
まず、個々の商品の生産過程ではほとんど差はありません。生産工程、コントロールプランの立案、検査内容、出荷基準、出荷判定、すべてにわたって乗用車と商用車の間に区別はほとんどないといっていいと思います。
一方、開発目標性能の設定には差があります。例えば私に若干の知見のある運動性能や乗心地の試験、目標設定にかんしていうと乗用車は定員人数にかかわらず大人2名乗車、商用車は定員乗車でかつ積載量設定のある場合は定積載(750キロ積みなら750キロ積んだ状態)が試験時の車両状態になります。この条件で操安特性や乗り心地をチューニングしていきます。
だから、4ドアセダンは5人乗った状態だともはや本来の操縦安定性は発揮できなく何となく心もとない乗り味になります。(私のCクラスがまさにこの感覚です。)一方、商用車は例えば運転者しか乗っていない状態ではものすごく軽やかに動きますが一方腰高感があり旋回時にはジャッキアップ現象を感じたりもします。
さて、ここで私のVクラスの乗り味について話をしたいと思います。ゴールデンウィーク中にVクラスに乗って地方の舗装の荒れたカントリーロードをドライブしました。(若干話がそれますが、地方の道路は本当に舗装あれてますね。。。)
5人乗車+5人x5泊分の荷物(道中のスーパーで米の買いだめまでしたので全部で6-70キロあったと思います。)積載の状態だとあれた路面でもしっとりとした乗り味、異雑音もなくハーシュネスもまろやかな印象。この状態で乗り心地関連のパラメータを計測するといいデータが出そうです。そのうえ操縦安定性も全く不安なくワインディングもアップテンポに走りますし高速での車線変更も全くためらわずにスパスパ走れます。 一方、道中1日だけ2名乗車のみ(荷物もなし)で200キロほど走りました。その状態で地方の荒れた舗装を200キロ走った感想はばね乗数が全く車両状態や路面にマッチしていなくてアブソーバも完全に過減衰。車重2.4トンを超える車なのにきびきびしすぎているような印象を持ちました。コーナーを無理に攻めるような走り方をするとリヤサスに旋回ジャッキアップまで感じました。
この経験から、Vクラスの 操安、乗り心地はフル積載状態でチューニングされていることがよくわかりました。Vクラスは間違いなく『商用車』として作られています。
世の中の4ドアセダンはもちろんすべて『乗用車』でしょう。定員5人の車でも5名乗車状態ではもはや操縦安定性について車を信頼しきってはいけないんです。
ここでちょっと考えたいのはほかのミニバンやSUVたちです。少なくともアルファードは『乗用車』だと思います。7名定員ですが操安のベストバランスは2名乗車状態です。いくつかのSUVはフルモデルチェンジの時に商用車から乗用車に変更になった例もあったと感じています。
しばしばメディアの世界ではVクラスは商用車。アルファードなどとは比べられない、という論評を見ますが、言ってることは正しいと思います。
Posted at 2025/05/08 20:10:14 | |
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