
存在自体は知っていた。ただ価格的にそれはちょっと・・・という印象だった。
同様な類はいくつかあるが,市場的には受け入れ難い価格になっている。勿論,開発費やスケール・メリットを生かせない生産量からは,致し方ないと頭では理解できるが。
だがコイツだけは実物を目にすると,完全に理解できた。
ズバリ,価格だけの価値はある。全ての箇所に妥協のないパーツが奢られているとまでは行かないが,掛ける所にはちゃんと良い物を奢っている。その他はそこらに出回っている物を流用して程々で。そのバランス感覚が秀越だ。
至極まともな設計でギミックもなく,実戦仕様。作りもそう悪くないし,もし必要に迫られ改善したければ,それもとても容易だ。
「遊び足りないオヤジ」
の「終の車」としては,ほぼ条件を満足している。ちなみに私なりの我が儘で贅沢な絶対条件を並び立てるとこうなる。ブランド,伝統,歴史,雑誌での賞賛,リセール価値は番外となる。
●走行状態で2.5kg/psを割る
これが2k台前半に入ると,俄然面白い領域に入る。
490kg(乾燥)/190psでまあまあ近い。実際にはガス・水・油(オッサンの腹のも含む)込みで戦闘態勢・離陸重量600kgとなり,3.16kg/ps程度だと思う。
●13,000以上回ること
11,500でまあ何とか我慢の範囲内。理想は16,000以上だが。
●比較的低い速度域でも3G以上の横G
2.5Gを発揮とのこと。おそらく空力でダウンフォースを稼げる200以上でだろう。
牛馬ポル蓮・・・どんな高価なモデルであれ公道用である限り,せいぜい1G至近前後。これが3Gを越すとモーター「スポーツ!」と言える負担を全身に感じさせてくれる。
ただし,F1のように車重に近いダウンフォース域で,というのではダメ。楽しめる速度域が尋常ではないクソ度胸域にシフトしてしまう。
お釣りも無く修正も素直だ。レギュレーションはフラット・ボトムOKでデフューザーもまともな物が付いているので,100辺りからダウンフォースが効き出す。低速域でも楽しめるのはイイ。
タイヤが低温域でも世間一般レベルで交差点も曲がれ,パニック・ストップもできる。タイヤの消耗はA048でも,軽量ゆえ公道なら5千kmとかなり持ち,公道なら温度の上げやすいレインでも良さそうだ。
●ドグ・ミッションでシーケンシャル
6速で合格。リンク機構で誤魔化したエセ・シーケンシャルでもない。オプションのエア・シフター装備では,エンジンのカミソリ・レスポンスと相まって,パドルをカチカチやれば「バシュ・バシュ・バシュ」と。シフト時間の短さは感動的!DSGのように意図しない動きや,変速機内部にあるクラッチの摩耗の心配もないし,ミッション重量も軽い。
ちなみに997 GT3cupのドグミッションはパーツ価格のみで7束!
リビルドですら4.5束する。
●小さいこと
5ナンバーの枠内に入っている。最近は何もかも押し出しと立派さを狙ってか巨大化しすぎている。結果的に日本の狭い山道ではトロトロ。国産ボーイズ・レーサーの敵にさえなれず,高速道路で威張るか,銀座で見せびらかす飾り物になっている気がする。
●手が入ること
あらゆる所に容易に手が入る。プラグ交換もエンジンを降ろしてという馬鹿々しさもない。配線も単純で,ブラック・ボックスがなく専用テスターなんぞも不要。全ての箇所がオッサンの手持ち工具で弄り倒せる。
リヤ・カウルも工具無しにものの1分ほどで,バッサリと1人で脱着できる。
エキシージもばっさり外せるが,工具も必要で工数も多い。脱着する決心と覚悟をするのに,これまた時間が掛かる。
●タイミング・ベルトがないこと
チェーン駆動。これも同じく,2万キロごとにエンジンを降ろして,ベアリングも全交換という馬鹿々しさもない。
●パーツ供給とその価格
汎用品を多用なので問題ない。高信頼の日本製エンジンで価格も安く,アフターパーツも妥当な価格で多種。また足回りも簡単に作り直せる構造だ。フレームはクロモリでもない汎用規格の厚肉角鋼管なので,溶接も容易。
●維持費の安さ
性能の割りに抜群に安い。1.2Lで税金も安く,毎年9万近い自動車税のお布施に比べくもない。重量税も1/4で済む。
最も掛かりそうなタイヤですら,高性能車のタイヤ1本分の価格で,4本全てが買える。勿論すぐに硬化するアジアン・タイヤではなくA048が。
パッドもオイルも安く,車体のイニシャル・コストは高額だが,それ以後はバイクに毛が生えた程度の額で凄まじく楽しめる。
●手直し箇所が少ない。するにも容易で安価。
このままでも十分だが,ハンドルのクイック・リリースも標準装備。
敢えて弄るなら,ブレーキはATEをポン付け,フランジ径は同じなので,マフラーもバイク用をポン付け。ショックはDynamicを奢りたいところだが,アラゴスタかクワンタムあたりが現実的だろう。
シートも体に合わせて,フォーム整形すればベストだが,これからの季節に着膨れすると,入らなくなってしまうジレンマがある。
ちなみにボルト止めだがシート,ペダル共に前後調整できる。ブレーキの前後バランスも,コックピットから工具無しで調整可能。LSDも付いている。
●それなりの実用性
これほどの旋回性能にも拘わらず,オーバー・ハングが短いので,GT3が行ける所はほぼ行ける。車高短ワンボックスより実用性は高いかもだ。それに何とか2人乗れる。オプションのエアー・シフターなしでは,2人乗りでシフトはチトきついかも。おねーたんの胸を刺激することになり,無用なシフトを繰り返して,喜ばれるか嫌われるかは博打となる。
ドアなんぞも元々無いので乗降性も十分。駐車場に戻って見たら,分厚いドアで乗り込み不能や,アクロバットを強いられ,筋を違えることもない。
●駐車場のバーをくぐれること
楽勝~~♪
やはりお尻と地面のクリアランスが,座布団1枚程度がイイ。実際は車検の都合上2枚分ほどありそうだ。
う~~ん。嵌った。困った。
何だかもう一つ上まで回っていない気がするが,ちなみにイギリスでのワンメーク・レースの上位タイムはF3に近似とのこと。
Posted at 2007/11/18 03:02:44 | |
おか | クルマ