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2021年04月14日

いいのではないでしょうか

トリチウムなど含む処理水 薄めて海洋放出の方針決定 政府
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20210413/k10012971161000.html
2021年4月13日 14時45分 福島第一原発
東京電力福島第一原子力発電所で増え続けるトリチウムなど放射性物質を含む処理水の処分方法について、政府は、国の基準を下回る濃度に薄めたうえで海へ放出する方針を決めました。東京電力に対し、2年後をめどに海への放出を開始できるよう準備を進めることや賠償も含め風評被害への対策を徹底するよう求めています。

政府は13日午前8時前から総理大臣官邸で関係閣僚会議を開き、東電・福島第一原発で増え続けるトリチウムなど放射性物質を含む処理水の処分方法について議論しました。
会議では、国の小委員会がまとめた基準以下の濃度に薄めて海か大気中に放出する方法が現実的で、海の方がより確実に実施可能とする報告書などを踏まえて、海へ放出する方針を決めました。
具体的には、東京電力に対し、2年後をめどに海への放出を開始できるよう設備の設置などの具体的な準備を進めることを求めています。
放出にあたっては、トリチウムの濃度を国の基準の40分の1、WHO=世界保健機関が示す飲料水の基準で、7分の1程度に薄めるとしています。
また、農林水産業者や地元の自治体の関係者なども加わって放出前後の濃度などを監視するモニタリングを強化するとしていて、IAEA=国際原子力機関の協力も得て国内外に透明性の高い、客観的な情報を発信し風評を抑えることにしています。
さらに、漁業関係者への支援や観光客の誘致、地元産品の販売促進などの対策も講じるとしています。
それでも生じる風評被害には東京電力が賠償を行うよう求めています。
このほか、関係閣僚による新たな会議を設けて必要に応じて追加の対策を機動的に実施します。
しかし、海への放出には、漁業関係者が反対するなど地元などの懸念は根強いことから、政府や東電は、安全性を確保し風評を抑える対策の徹底が問われることになります。 首相「風評対策徹底を前提に海洋放出が現実的と判断」 菅総理大臣は会議の中で「アルプス処理水の処分は福島第一原発を廃炉するにあたって避けては通れない課題だ。このため本日、基準をはるかに上回る安全性を確保し、政府を挙げて風評対策を徹底することを前提に、海洋放出が現実的と判断し、基本方針を取りまとめた。これまで有識者に6年以上にわたり検討いただき、昨年2月に海洋放出がより現実的との報告がなされた。IAEAからの科学的根拠に基づくもの、こうした評価がなされている。また、海洋放出は、設備工事や規制への対応を行い、2年程度のちに開始をする。トリチウムの濃度を国内の規制基準の40分の1、WHOの定める飲料水の基準の7分の1まで低下させる。さらに、IAEAなど第三者の目もいれて高い透明性で監視をする。さらに福島をはじめ被災地の皆様や漁業者の方々が風評被害の懸念をもたれていることを真摯(しんし)に受け止め、政府全体が一丸となって、懸念を払拭(ふっしょく)し、説明を尽くす。そのために徹底した情報発信を行い、広報活動を丁寧に行う。早速週内にも本日決定した基本方針を確実に実行するための新たな閣僚会議を設置する。政府が前面にたって処理水の安全性を確実に確保するとともに、風評払拭に向けてあらゆる対策を行っていく。国民の皆さんには心からのご理解をお願い申し上げる」と述べました。 梶山経済産業相「極めて重い責任 時期は適切」 梶山経済産業大臣は、13日の閣議の後の記者会見で、「福島をはじめ被災地の皆様が風評への懸念を持たれている中での今回の決定は、政府として極めて重い責任を伴う決断だ。これまで懸命に復興に取り組まれてきた皆様の努力をむだにせずに、復興の歩みをさらに前に進めるという強い決意をもって、私自身が先頭に立つ覚悟で対応したい」と述べました。
また、判断に至った経緯について、梶山大臣は、「安全性の確実な担保と万全のモニタリング体制の整備、漁業者などの懸念の把握と徹底した風評対策を確保できていると判断し、最終的な決定に至った。決定のタイミングは適切だった」と述べました。
一方、漁業者などから反対の声が根強いことについて、梶山大臣は、「実際の放出が始まるまでには設備の工事や規制の対応に2年程度の時間が必要になることから、放出までの時間を最大限活用して、懸念を払拭し、理解を深めていただけるよう努力していく」と述べ、風評を抑えるための対策に全力を挙げる考えを示しました。 東京電力 小早川社長「最大限風評を抑制」 東京電力の小早川智明社長は会議のあと、記者団に対し「大変重く受け止めている。政府の方針に従って適切に取り組んでいくとともに最大限、風評を抑制するべく我々の立場でできることはやっていく。長きにわたる廃炉の中で今回の件を含めて復興と廃炉の両立にしっかりと取り組んでいく」と述べました。
また、風評への対応については「まずは風評の影響を発生させないように最大限努力することはもちろんだが、それでもなお損害が発生するようであれば、適切に賠償したい」と述べました。
一方、海洋放出に反対する声も根強くあることについて、小早川社長は「しっかりと丁寧な説明を尽くすとともに、風評対策にしっかり取り組み、取り組みを通じて理解が得られるように、最大限努力したい」と述べました。 全漁連 岸会長「強く抗議 反対の立場変わらず」 全漁連=全国漁業協同組合連合会の岸宏会長は抗議の声明を発表しました。
この中で、岸会長は先週、菅総理と会談したことに触れ「海洋放出には、断固反対であることを改めて申し入れ慎重な判断を強く求めたところだ。それにもかかわらず、本方針が決定されたことは極めて遺憾であり、到底容認できるものではない。強く抗議する」としたうえで、「今後とも、海洋放出反対の立場はいささかも変わるものではない」としています。
そして、なぜ海洋放出の方針を決めたのかを漁業者や国民に責任を持って説明すること、また風評被害にどう対処するのか、安全性をどう国内外に説明し担保するのか、さらに福島県をはじめ全国の漁業者が安心して漁業が継続できるための方策を明確に示すことなどを改めて求めています。 福島県の漁業者からは怒りの声 漁業者が反対の姿勢を示し続けたにもかかわらず、政府がトリチウムなどの放射性物質を含む処理水の海への放出を決定する方針を決めたことについて、福島県の漁業者からは怒りの声が上がっています。
このうち、新地町の漁業者の小野春雄さんは(69)「漁業者が反対を表明していた海への放出の方針を議論もろくにせずに決定するなんて、私たちに寄り添おうという気持ちがないのかと怒りがおさまらない。自分は津波で亡くなった漁師の弟のためにも、そして息子たちのためにも一生懸命漁業に取り組んでいる。周りのみんなも復興に向けて頑張っている。その姿を政治家たちは見にも来ないで方針を語ることにも腹が立っている」と話していました。
そのうえで「政府は風評対策をしますと口では言っているが、現状、具体的なものも示されず、東電の信用度も落ちている中、全く信頼できない。自分たちが願っているのは、普通に毎日好きなときに漁をして生活すること。そのためには本当に福島の漁業に影響が出ないという保障が得られるまでは今後も反対の姿勢を続けていくしかないのではないかと思う」と話していました。 「海洋放出決定」に至るまでの経緯は 福島第一原発の原子炉建屋では1号機から3号機の溶け落ちた核燃料を冷やすための注水が続いていることに加え、建屋への雨水や地下水の流入が続き、1日140トンのペースで放射性物質を含む汚染水が発生しています。
この汚染水は専用の浄化設備に送られ吸着剤で大半の放射性物質が取り除かれますが、「トリチウム」(三重水素)という放射性物質は性質上取り除くことが難しく、処理しても水の中に残ってしまいます。
福島第一原発の構内には、この処理したあとの水をためる大型のタンクが1000基余り設置されていて、およそ137万トンの容量のうちすでに9割に水が入っています。
敷地内には空きスペースもありますが、国や東京電力は今後溶け落ちた核燃料や使用済み燃料の一時保管施設などを建設する必要があるためタンクを増やし続けることはできないとしています。
今の計画では来年秋以降にはタンクが満杯になる見通しを東京電力は示しています。
国はこのトリチウムなどを含む処理水をどのように処分するかについて有識者による委員会などを設け2013年から6年余りの時間をかけて検討を行ってきました。
まず、専門家チームによる処分方法の技術的な検討がおよそ2年半にわたって行われ、報告書では次の5案が示されました。
▽基準以下に薄めて海に放出する案、
▽加熱して蒸発させ大気中に放出する案、
▽電気分解で水素にし大気中に放出する案、
▽地中深くの地層に注入する案、
▽そしてセメントなどにまぜて板状にし地中に埋める案です。
このとき、トリチウムを分離して取り除く技術についても検討されましたが、すぐに実用化できる段階の技術ではないとの結論になりその後の検討には加えられていません。
これに続いて、社会学者や風評の専門家などを交えた経済産業省の小委員会が総合的な検討を3年余りかけて行いました。
5案のほかにもタンクなどでの保管継続を加えたおおむね6つの方法について議論を交わしました。
そして、小委員会は去年2月、基準以下に薄めるなどして海に放出する方法と蒸発させて大気中に放出する方法が前例もあって現実的だとしたうえで、海のほうが確実に実施できるとする報告書をまとめました。
この報告書を受けて、政府は、去年4月から7回にわたって地元自治体や農林水産業者、それに全国の関係団体などから意見を聞く会を開くとともに、書面による意見募集を4か月にわたって実施しました。
このなかでは、漁業関係者や地元住民などから風評被害を懸念して海への放出に反対や慎重な意見が出されたほか、具体的な風評被害対策を示すよう求める声や国民の理解が進んでいないなどの指摘が出されました。
また、選択肢については、海外で実績があるモルタルなどで固める案や船で離島などに移送する案、原発の敷地外に運んで保管や処分をする案などについて、検討を求める意見も出されていました。
一方で、福島第一原発が立地する大熊町や双葉町からはタンクでトリチウムなどを含む処理水を保管し続けることが復興の妨げになっているとして政府に対し、対応策を早急に決定するよう要望が出されていました。
経済産業省は去年秋、福島県の自治体に対して海洋への放出を前提とした風評被害対策などを示しましたが、全国漁業協同組合連合会などの強い反発もあり、その後も検討が続けられていました。
政府は、こうした関係者の意見を踏まえて風評対策や丁寧な情報発信などについて検討を進めたうえで、適切なタイミングで処分の方針を決める考えを示していました。 トリチウムとは トリチウムは、日本語では「三重水素」と呼ばれる放射性物質で水素の仲間です。
宇宙から飛んでくる宇宙線などによって自然界でも生成されるため、大気中の水蒸気や雨水、海水、それに水道水にも含まれ、私たちの体内にも微量のトリチウムが存在しています。
トリチウムは、通常の原子力施設でも発生し、各国の基準に基づいて、薄めて海や大気などに放出されています。
水素の仲間で、水の一部として存在するため、水から分離して取り除くのが難しいのが特徴で、福島第一原発の汚染水から多くの放射性物質を除去する装置を使っても取り除くことができません。
国内の原発では、1リットル当たり6万ベクレルという基準以下であることを確認したうえで海に放出していて、海外でも各国で基準を定めて放出しています。
トリチウムが出す放射線はエネルギーが弱く、空気中ではおよそ5ミリしか進みません。
このため、人体への影響は外部からのものよりも、体内に取り込んだときのリスクを考慮すべきとされています。
国の小委員会は、体内で一部のトリチウムがタンパク質などの有機物と結合し、濃縮するのではないかといった指摘があることについては、体はDNAを修復する機能を備えていて、動物実験や疫学研究からはトリチウムが他の放射性物質に比べて健康影響が大きいという事実は認められなかったと結論づけています。
また、マウスの発がん実験でも自然界の発生頻度と同程度で、原子力発電所周辺でもトリチウムが原因と見られる影響の例は見つかっていないとしています。
放射性物質の性質に詳しく国の小委員会の委員をつとめた茨城大学の田内広教授は人体への影響を考える際、濃度の大小がポイントだと指摘します。
そのうえで田内教授は、「トリチウムが体内に取り込まれてDNAを傷つけるというメカニズムは確かにあるが、DNAには修復する機能があり、紫外線やストレスなどでも壊れては修復しているのが日常。実験で、細胞への影響を見ているが、基準以下の低濃度では細胞への影響はこれまで確認されていない」と話していて、低い濃度を適切に管理できていればリスクは低いとしています。 政府の決定について専門家は… 福島第一原発の汚染水を処理したあとの水の処分めぐって、技術的な検討を行ったトリチウム水タスクフォースと風評影響なども含めて総合的な検討を行った国の小委員会、いずれの会合でも委員長を務めた名古屋学芸大学の山本一良副学長は、今回の政府の決定について、「トリチウムは大量にあれば体への影響もあるが、非常に薄ければ影響がないことは生物学的にもいろいろなところでわかっていて、われわれの議論で海洋放出がいちばん確実と申し上げているので、方針決定の参考にしていただいたと考えている。大変難しい問題だが処理水の扱いは、福島の復興にとって先送りできない問題なので、この決定によって廃炉の進展がますます加速されることになればいいと思う」と述べました。
そのうえで、実際の放出にあたっては、「非常に薄くすることで、安全を担保するので、まずはタンクごとの濃度や、希釈後の濃度のチェックなど技術と科学で保障できる精いっぱいの所までやり、加えて、地元や国際機関の助けを借りてチェックしてもらうことで、実施本体の信頼の低下を補っていくようなシステムを作らないと行けないと思う」と述べ、東京電力の信頼回復の努力に加えて二重三重の仕組みが必要だと指摘しました。
また、今後の課題については、「国の小委員会では、福島や東京で公聴会も開き、いろんな方の本音を伺って誠実に答えてきたつもりだが、はっきりと意見を言う方以外にも静かに意見を持っている方がいて、そうした方となかなか話し合いができなかったことは今後の課題。専門家としてもできるかぎり疑問に答えていく必要があるし、いろんな立場の人間が協力して風評の根源になる誤解を解く努力を積み重ねていく必要があると思う」と述べました。 規制委初代委員長 田中俊一氏「廃炉に必要な処分方法」 東京電力福島第一原発の事故の翌年に発足した原子力規制委員会で初代委員長を務めた田中俊一さんは13日の政府の決定について、まず「なぜこんなむだな時間を5年も6年も使ったのか。丁寧な議論をしているように見えるが、結論が見えているものを早く決めないから時間ばかりむだにかかった」と方針決定に至るまでの対応を厳しく批判しました。
そのうえで、処理水の海への放出については「廃炉というのは放射能を水で洗い流しながら進めていくものだ。水を処理して排出濃度基準になったらその水を捨てるというプロセス抜きに廃炉は進まず、水をためておけばいいという考えは、『廃炉をやめます』というもので、廃炉作業全体として物事を考える必要がある」と話し、廃炉作業を進めるうえで必要な処分方法だという考えを述べました。
一方で、処分を実施する東京電力については「決して褒められる会社ではないが、『信頼できないからほかでやる』ということもできない。国が厳しく監視することで国民の不安解消に努めるべきだ」と述べました。
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【詳報】処理水 海洋放出の方針 理解はどこまで…?風評対策は?
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20210413/k10012971481000.html
2021年4月13日 18時49分 福島第一原発
東京電力福島第一原子力発電所の事故の発生から10年以上がたった今も増え続けるトリチウムなど放射性物質を含む処理水。その処分方法について政府は、国の基準を下回る濃度に薄めたうえで海へ放出する方針を決めました。
政府は7年余りにわたる検討を経て方針を決定しましたが、地元を中心に海洋への放出には根強い反対があり、専門家は地元など関係者の理解や納得に課題を残したと指摘しています。これまでのプロセスや海洋放出の具体的な方法、風評被害対策の方針などをまとめました。

去年、政府が開いた意見を聞く会では地元住民や漁業関係者など29団体43人のうち6つの団体と個人が海への放出に明確に反対する意見を表明したほか、福島県内の市町村議会では海洋放出への反対や慎重な対応を求める意見書が相次いで可決されました。

また、今月7日に菅総理大臣と面会した全国漁業協同組合連合会の岸宏会長は「海洋への放出は絶対に反対という考えはいささかも変わらない」と強調していました。 “国・地元 双方向の対話機会が少ない”<専門家>なぜ、このような状況になったのか。
専門家からは地元を含めた関係者との双方向の対話の機会が少なかったことが影響しているとの指摘があがっています。
国は、処分方法について2013年から有識者による委員会などを設けて検討を行い、去年、国の小委員会が基準以下に薄めて「海か大気中に放出する方法が現実的だ」などとする報告書をまとめました。 この間、2018年に地元住民など一般の人が意見を述べる「公聴会」が開かれ書面による意見募集も行われましたが、あくまでも意見を聞く場だとして関係者との対話や議論はほとんど行われませんでした。
また、政府は処分方針の決定に向けて去年、地元の農林水産業者や全国の商工団体などから意見を聞く会を開きましたが、出席者はほとんどが組織の代表で割り当てられた時間内に意見を述べる形式のため双方向の対話にはなりませんでした。
合わせて書面による意見募集も行われましたが、方針が決定されるまでの間にこうした意見に対する政府としての見解は示されませんでした。
これについて経済産業省は、なるべく多くの意見を聞くためこの形式を採用したとしていて、処分の方向性が決まらない検討の途中では意見のやり取りができる材料がなかったとしています。 “住民の議論参加に課題”<NHKアンケート>NHKはことし2月、福島県の1200人を対象にインターネットによるアンケートを行いトリチウムなどを含む処理水の処分についても聞きました。
この中で「地元住民などの関係者が十分議論に参加しているか」尋ねたところ
▽「そう思う」は3%
▽「どちらかといえばそう思う」は10.4%だった一方
▽「そう思わない」は37.4%
▽「どちらかといえばそう思わない」は23.8%で
住民がどのように議論に参加するかが課題になっていたことが伺える結果でした。 専門家“政府 関係者の理解得る努力 長期で必要” 原子力と社会との関係に詳しい東京電機大の寿楽浩太教授は、漁業関係者など反対の声も上がる中で政府が方針を決定したことについて「政府側はさまざまな方の意見表明の機会を多く設けた認識だと思うが、当事者としては意見が方針に具体的に反映された手応えを持てていないのではないか。関係者どうしが相互にやり取りしながら解決策を模索していく場が十分に設けられなかったことが惜しまれる」と指摘しました。
そのうえで実際の放出に向けては、関係者の理解を得る努力が長期にわたって必要になるとして「10年の時間を要して十分な納得感が得られていないという声が聞かれる中で政府の責任で決定したのであれば、過去の経緯をきちんと検証し改めて信頼関係を作っていく必要がある」と話しています。 そもそも、トリチウムとは…?トリチウムは日本語では「三重水素」と呼ばれる放射性物質で水素の仲間です。
宇宙から飛んでくる宇宙線などによって自然界でも生成されるため、大気中の水蒸気や雨水、海水それに水道水にも含まれ、私たちの体内にも微量のトリチウムが存在しています。
トリチウムは通常の原子力施設でも発生し、各国の基準に基づいて薄めて海や大気などに放出されています。
水素の仲間で水の一部として存在するため、水から分離して取り除くのが難しいのが特徴で、福島第一原発の汚染水から多くの放射性物質を除去する装置を使っても取り除くことができません。 国内の原発では1リットル当たり6万ベクレルという基準以下であることを確認したうえで海に放出していて、海外でも各国で基準を定めて放出しています。
トリチウムが出す放射線はエネルギーが弱く空気中ではおよそ5ミリしか進みません。このため人体への影響は外部からのものよりも体内に取り込んだときのリスクを考慮すべきとされています。
国の小委員会は
▽体内で一部のトリチウムがタンパク質などの有機物と結合し濃縮するのではないかといった指摘があることについては、体はDNAを修復する機能を備えていて動物実験や疫学研究からはトリチウムが他の放射性物質に比べて健康影響が大きいという事実は認められなかったと結論づけています。
また
▽マウスの発がん実験でも自然界の発生頻度と同程度で原子力発電所周辺でもトリチウムが原因と見られる影響の例は見つかっていないとしています。
放射性物質の性質に詳しく国の小委員会の委員をつとめた茨城大学の田内広教授は人体への影響を考える際、濃度の大小がポイントだと指摘します。そのうえで田内教授は「トリチウムが体内に取り込まれてDNAを傷つけるというメカニズムは確かにあるが、DNAには修復する機能があり紫外線やストレスなどでも壊れては修復しているのが日常。実験で細胞への影響を見ているが基準以下の低濃度では細胞への影響はこれまで確認されていない」と話していて、低い濃度を適切に管理できていればリスクは低いとしています。 海洋放出はどう行われるのか?福島第一原発構内のタンクにためられているトリチウムなどを含む処理水は、現状ではトリチウムの濃度が環境中に放出する際の国の基準を超えているため今のままでは海に放出することができません。また、トリチウム以外の放射性物質も濃度が基準を超えているものがあります。 このため、海洋放出に向けてはまずトリチウム以外の放射性物質の濃度が基準以下になるまで改めて専用の浄化設備を通して放射性物質を取り除き、濃度を下げます。
そのうえで、こうした設備で取り除くことができないトリチウムを海水で薄め基準を大幅に下回るレベルにして放出することになります。
国は放出に当たって放出の前後でのモニタリングを強化し、環境に与える影響を確認しながら少量での放出から開始するとし、モニタリングで異常な値が出た場合などには放出を停止するとしています。
トリチウムの濃度を薄め放出するための設備は新たに作る必要があり、今後、設計や放出までの具体的な計画を東京電力が検討し原子力規制委員会の審査を受けることになります。
国は東京電力に対し、2年後をめどに海洋放出を開始できるよう設備の設置などの具体的な準備を進めることを求めています。 その基準は?トリチウムを環境中に放出する際の国の基準は1リットル当たり6万ベクレル以下と定められています。 国はトリチウムなどを含む処理水を海に放出する際の濃度について、基準の40分の1の、1リットル当たり1500ベクレルを下回る水準まで薄めるとしています。
福島第一原発では汚染水の発生量を抑制するため建屋周辺で地下水をくみ上げ海に放出していますが、この中にもトリチウムは含まれています。
こうした水を海に放出する際の東京電力の自主的な基準は1リットル当たり1500ベクレル未満で、国はトリチウムなどを含む処理水の海洋放出にあたっても同様の水準にするとしています。
また、1年間に放出するトリチウムの量については事故の前、福島第一原発が通常の運転をしていた時に目安とされていた22兆ベクレルを下回る水準となるようにするとし、その値は定期的に見直すとしています。 トリチウム放出量<国内の原発>また、トリチウムは通常の原子力施設の運転に伴っても発生していて、各国の基準に基づいて薄めて海や大気などに放出されています。国内の原発では1リットル当たり6万ベクレルという基準以下であることを確認したうえで海に放出されています。 国内の原発の1年間のトリチウムの放出量です(2019年度)。
▽関西電力
大飯原子力発電所で56兆ベクレル
高浜原子力発電所で13兆ベクレル
美浜原子力発電所で8600億ベクレル
▽九州電力
玄海原子力発電所で50兆ベクレル
川内原子力発電所で55兆ベクレル
▽四国電力
伊方原子力発電所で16兆ベクレル
などとなっています。
経済産業省のまとめによりますと、福島第一原発事故の前の5年間を平均した年間の放出量は、加圧水型と呼ばれるタイプの原発で18兆から87兆ベクレル、福島第一原発と同じ沸騰水型と呼ばれるタイプの原発で0.02兆から2兆ベクレルとなっています。
東京電力福島第一原子力発電所では事故の前の2010年に2兆ベクレル余り放出されていました。 トリチウム放出量<国外の原発>国外の原子力施設でも運転をする際にトリチウムは発生し、各国がそれぞれつくる基準に基づいて海洋や大気中へ放出されています。 原発のタイプや施設の種類によって放出量に違いがあり日本にあるタイプのものでは、経済産業省のまとめによりますと、2002年には
▽中国の大亜湾原発で42兆ベクレル
▽アメリカのキャラウェイ原発で同じく42兆ベクレルが放出されています。
このほか
▽カナダのダーリントン原発で2015年に
液体として241兆ベクレル、気体として254兆ベクレルが放出されています。
▽またルーマニアのチェルナヴォダ原発では2002年に
液体で85兆ベクレル、気体で286兆ベクレル
▽韓国のウォルソン(月城)原発では2016年に
液体で17兆ベクレル、気体で119兆ベクレル放出されています。
再処理施設では放出量がより多く
▽フランスのラ・アーグ再処理施設では2015年に
液体で1京3700兆ベクレル、気体で78兆ベクレル
▽イギリスのセラフィールド再処理施設では同じく2015年に
液体で1540兆ベクレル、気体で84兆ベクレル放出されています。 東電の設備能力審査へ 原子力規制委 原子力規制委員会では今後、東京電力が申請するトリチウムを薄めるための設備の能力などの審査を行う見通しで、これに合格しないと設備の稼働は認められません。
タンクにたまった処理水を放出するためにはトリチウムを国の基準以下の濃度に薄めるための専用の設備を作る必要があり、東京電力は今後、福島第一原発の廃炉計画に、新たに作る設備についても反映させ、規制委員会に審査を申請することになります。
規制委員会は東京電力からの申請を受けて、トリチウムを基準以下の濃度に薄める能力が確保されているかや、設備の健全性などを審査の中でチェックします。
審査のほか、建設工事のあとに行われる検査などの手続きもあり、それらに必要な期間について規制委員会の更田委員長は2年程度かかるとの認識を示していて、この審査や検査に合格しなければ設備の稼働は認められません。
また、規制委員会は海洋放出の実施後、福島第一原発周辺の海域で海水に含まれる放射性物質の測定を強化することも検討していて、水質に大きな変化はないか確認するとしています。 風評対策 議論深まらず…一方、政府による方針の決定まで7年余りの歳月がかかったにもかかわらず、議論が深まらなかったと指摘されているのが風評被害対策です。
去年4月から7回にわたって開かれた地元の農林水産業者や全国の商工団体などから意見を聞く会では、29団体43人のうち半数以上から風評被害対策を示すよう求める意見が出されました。
もともと国はトリチウムなどを含む処理水の処分に伴う風評被害などの社会的な影響について2016年からの国の小委員会の中で議論するとしていました。
しかし報告書では、海洋放出の場合、社会的な影響は特に大きくなるとの指摘があった一方、示された対策は
▽周辺環境のモニタリング強化や
▽測定結果や科学的知見の丁寧な情報発信
それに
▽福島県などが取り組んできた既存の対策の拡充と強化などにとどまり
地元などから具体的な対策が見えないという声が相次ぎました。
経済産業省は理由について処分の方法が決まらない中、仮の話だとしても風評対策について割り切った議論を進めることが難しかったとしています。 国の小委員会の委員を務めた福島大学の小山良太教授は「方法を決定する前に海洋放出の場合にどんな影響や損害があるか事前にシミュレーションして対策を考えることもできたが、国側はその時点で方法を決めたと思われることを気にしていたのではないか。本来であれば事前に影響の大きさや対策の内容、規模感について議論をしたほうが合意形成につながりやすいプロセスだったと思う」と述べました。
また、今後の風評対策については「これまでの風評対策をただ拡充するのではなく水産業や観光など産業の特徴を踏まえてどんな対策は効果があったのか一度、現状を分析するべき。また福島の漁業は本格操業しておらずまだ経営体としてぜい弱なので、流通や消費への対策だけでなく経営体力を強化するような生産基盤に対する支援も必要だ」と指摘しています。 政府は“風評対策に万全” トリチウムなど放射性物質を含む処理水を海に放出するにあたって、政府は風評被害の対策に万全を期すことにしています。
具体的には風評の影響を最大限抑えるためトリチウムの濃度を国の基準の40分の1、WHO=世界保健機関が示す飲料水の基準では7分の1程度に薄めたうえで海に放出するとしています。
また、農林水産業者や地元の自治体の関係者なども加わって放出前後の濃度などを監視するモニタリングを強化するとしていて、IAEA=国際原子力機関の協力も得ながら海洋放出が国際慣行に沿って行われることなどの情報を、科学的な根拠に基づいて発信することにしています。
さらに、水揚げを増やすため漁業関係者の設備導入に対する支援事業を継続するほか、地元や周辺自治体の仲買や加工業者の販路の開拓なども支援します。
このほか、観光業などについても風評被害が懸念されるとして、観光客の誘致や地元産品の販売促進など本格的な復興に向けた対策を講じるとしています。
こうした対策を取っても生じる風評被害には東京電力が賠償を行うよう求めています。
そして、関係閣僚による新たな会議を設けて必要に応じて追加の対策を機動的に実施するとしています。 専門家「科学的理解と流通経路の維持を」 風評問題に詳しい筑波大学の五十嵐泰正准教授は、政府が示した風評被害対策について「処理水の安全性について科学的な理解を醸成していくことは非常に重要だが、風評被害の構造的な問題として流通の各段階で取引先が気にするかもしれないという過度なそんたくが発生することで需要そのものが減退し、消費者の理解以前に買えなくなるという状況がある」と指摘しています。
そのうえで「科学的な理解の醸成と車の両輪のように重要なのは福島県や周辺地域の魚介類の流通経路を決して失わないようにしたり、拡大したりする方策をしっかりと示すことだ。売られているのだから大丈夫だという状況を作り続けていくことが大事だ」と述べ、科学的な理解の醸成に加えて生産・加工・流通・消費の各段階での対策の必要性が盛り込まれたことは評価できるとしています。
一方で、風評被害が生じた場合の賠償については「大前提として風評被害が発生した場合に賠償するのは当然だが、賠償を継続している漁業に後継ぎ世代が未来を見い出せるかどうかや子や孫につがせようと思うかは心配で、賠償が長引くほどこの産業に将来展望を見出しにくくなるのではないか。賠償を支払うだけではなく後継者の育成や他業種からの新規参入の促進など、漁業を中核とした地域をどう作っていくかというビジョンも関係者との対話の中から明確にしていくべきだと思う」と話していました。 専門家「このままでは風評避けられず、対策を」 国の小委員会の委員を務めた東京大学の関谷直也准教授は、今回の政府の方針決定について「国民の中でどれだけ処理水についての理解や周知が進んでいるかというと不十分なまま今に至っているのが現状だと思う。このままの状態で放出となれば風評被害の発生は避けられず、放出までの2年間で国民の理解を得るために何をするのか具体的に考えなければならない」と話しています。
さらに最近、東京電力の不祥事が相次いでいることにも触れ「福島第一原子力発電所の事故から10年がたった今、さまざまな問題が出て気の緩みが出ていることを考えると、今は東京電力による処分を信用できる段階ではなく信頼性をどう担保するかも課題だと思う」とも述べて、国民の理解や信用を得ていくことの大切さを指摘しています。
また、国際的に政治問題化している点についても指摘し「この問題に関しては中国、韓国、台湾などでこの数年間、科学的な問題が政治問題化されたまま放っておかれていて課題が逆輸入されている状況もある」と述べ、近隣諸国に向けた情報発信の必要性を訴えました。


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「死活問題だ…」 処理水めぐる国内・海外の反応は
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20210413/k10012971771000.html
2021年4月13日 19時32分 福島第一原発
東京電力福島第一原子力発電所で増え続けるトリチウムなど放射性物質を含む処理水の処分方法について、政府は国の基準を下回る濃度に薄めたうえで海へ放出する方針を決めました。東京電力に対し2年後をめどに海への放出を開始できるよう準備を進めることや、賠償も含め風評被害への対策を徹底するよう求めています。
福島県の漁業関係者の間では政府の決定について風評被害への懸念の声が上がっていますが、こうした声は周辺の県の漁業者からも聞かれます。海外も含めた今回の決定をめぐる反応です。

漁業者 “風評被害に強い懸念”<岩手 陸前高田> 岩手県陸前高田市の漁業者は風評被害に対する強い懸念を示しています。
陸前高田市小友町を拠点にカキやワカメの養殖を手がける水産会社代表の千田勝治さんは「三陸の海は福島ともつながっていて、とても他県のこととは思えないし人体に影響の無いようトリチウムの濃度を薄めても風評被害による消費者の買い控えが起きるのではないか。漁業者はコロナ禍で需要が減る中でダブルパンチとなり、さらにひどい状況になると心配している」と強い懸念を示しました。
また、政府の決定に至る手続きについては「漁業者とのコミュニケーションもないまま一方的に放出を決めたのは問題だ」と指摘したうえで「2年後に海への放出が始まるまでに、国はモニタリングや風評対策などを漁業者にしっかり説明してほしい」と話していました。 「決定は遺憾 憤り感じる」<宮城県漁協>宮城県漁業協同組合も懸念を募らせています。
県漁協によりますと、今シーズンは新型コロナウイルスの影響などで水産物の価格が下がり、宮城県特産のカキのうち主に生食用のむき身では先月の10キロ当たりの平均単価が7428円と去年の同じ月の60%程度にとどまっています。このため、今回の方針決定に伴う風評被害で漁業者の生産意欲がさらに下がると懸念を募らせています。 寺沢春彦組合長は「政府に海への放出には断固反対だと伝えてまもない中での決定は遺憾で憤りを感じている」と話しています。そのうえで「消費者にとって安全と安心は違うものであり国や東京電力には処理水の海洋放出はリスクではないと徹底的に説明してもらいたい。また、東日本大震災から10年がたったが、水産加工業などは震災以前の水準に達していない状況もある。県とともに風評被害への対策などを国に求めたい」と話していました。 特産のシラス 価格徐々に回復も「努力が水の泡」<茨城 北茨城>風評被害を懸念する声は関東の各地でも相次いでいます。
福島県との県境に位置する茨城県北茨城市は13日も特産のシラスの競りが行われるなど県内有数の港町として知られています。 漁協などによりますと、福島第一原発の事故のあとは2年近くシラスに値がつかない時期もあったものの、事故から10年余りがたち、価格は原発事故の前の6割から7割ほどまで回復しているということです。
今回の政府の決定について、北茨城市でシラス漁を営む59歳の男性は「魚のPR活動なども行い価格が戻りつつあったやさきの海洋放出となり、これまでの努力が水の泡になると思います。国や東京電力には誠意を持ってわれわれのところに来て説明してほしいです」と話していました。
また、69歳の漁業者の男性は「海に水を流されると、あと何年苦労しなければいけないのかと思います。10年間苦労してきた状況を見てもらい漁業者たちの声を聞いて風評被害対策をしてほしいです」と話していました。
さらに72歳の漁業者の男性は「原発事故のあとは若い人が船に乗る状況になく後継者の問題が深刻ですが、海洋放出はそれに追い打ちをかけることになります」と話していて風評被害を懸念する声が相次いでいます。 「死活問題だ」<茨城沿海地区漁協> 茨城県の漁業者の団体の会長は政府の決定は容認できないという考えを示しました。
県内にある10の漁協でつくる茨城沿海地区漁業協同組合連合会の飛田正美会長は「決定内容は到底容認できるものではなく海洋放出は行わないでほしい」としたうえで「県内への影響は計り知れず風評被害により漁業が衰退してしまう」と述べました。
また「茨城県も東日本大震災の被災地で10年たっても魚介類は事故前の6割から7割の値段で取り引きされる状況だ。それでも事故当時に比べ少しでもよくなってきた状況の中で海洋に放出されるのは漁業者にとっては死活問題だ」と訴えていました。
連合会は去年2月に政府に対して処理水を海に放出させないよう求める要望書を茨城県の大井川知事に手渡すなど、反対の立場を示してきました。 茨城 大井川知事「問題は風評被害対策をどう取るか」茨城県の大井川知事は内閣府の担当幹部とオンラインで会談し「決定は地元自治体としてしっかり受け止めさせていただくが、地元の納得を得る努力を続けてほしい」と述べ、風評被害への対策を要望しました。 大井川知事は13日午前、内閣府の松永明 福島原子力事故処理調整総括官とオンラインで会談しました。
はじめに松永総括官は「安全性を厳格に担保することと風評対策を政府一丸となって行うことを前提として海への放出を決定した。決定した経緯を丁寧に説明していくとともに風評被害対策に取り組んでいきたい」と説明しました。
これに対し大井川知事は「決定は地元自治体としてしっかり受け止めさせていただく。できるかぎりの協力はするつもりだが地元の納得を得る努力を続けてほしい」と述べ、風評被害への対策を講じるよう要望しました。 会談のあと大井川知事は「海への放出はさまざまな選択肢を検討したうえでのやむを得ない選択だったと聞いたのでわれわれとしても納得している。問題は風評被害対策をどう取っていくかだ」と述べ、政府の対策を注視する考えを示しました。 水揚げ量日本一の港も「風評被害が怖い」<千葉 銚子> 水揚げ量が日本一の千葉県の銚子漁港でも漁業者から懸念の声が聞かれました。
去年1年間の水揚げ量が27万トン余りと10年連続で全国1位の千葉県銚子市の銚子漁港では13日朝も水揚げが行われていました。 銚子漁協に所属しキンメダイの漁をしている田邉克巳さん(62)は「風評被害がいちばん怖いです。処理水を海に流すと魚が売れなくなる可能性があり心配です。震災のあと風評被害で価格が下落して大変でしたが今度はそれ以上になると思います。沿岸の漁業者への対応をしっかり議論してほしいです」と話していました。
田邉さんは10年前の原発事故のあと、銚子で水揚げされた魚の買い控えが起きたとして首都圏の消費者に安全性をPRする取り組みを続けてきました。また銚子市も放射性物質の検査を今も週に3回行っていて、これまでに基準値を超えたことは一度もないということです。
一方、千葉県で水揚げされた水産物について韓国と中国、それに台湾が今も輸入を禁止する措置をとっています。 千葉 熊谷知事「安全性など政府が丁寧に説明を」 千葉県の熊谷知事は「政府は科学的根拠や国際的基準に基づいて判断したと思っている」と述べました。そのうえで「風評被害を防ぐ実効性のある取り組みを政府に求めていきたい。安全性などについても政府が丁寧に説明していくことが重要だ。漁業関係者の声を聞きながら丁寧なプロセスで進めていく必要がある」と述べました。
千葉県は去年9月、国が周辺の県に意見を求めた聴取会で、副知事が放出による風評被害が県内の水産業ばかりでなく観光業にも影響を与えかねないと指摘したうえで「対話を丁寧に重ね関係者の十分な理解と納得を得てほしい」と求めていました。 海外の反応は? 韓国「決定は絶対に受け入れられない」今回の政府の決定について海外からも反発や懸念の声などが出ています。
韓国政府は13日午前、外務省や海洋水産省、原子力安全委員会などの関係省庁による緊急の会議を開きました。 会議の終了後、ク・ユンチョル(具潤哲)国務調整室長は「強い遺憾の意を表し、韓国国民の安全を最優先にするという原則のもと必要なすべての措置をとっていく」と述べました。
そのうえで「きょう中に韓国国民の憂慮と反対の立場を日本政府に伝える。日本政府の決定は絶対に受け入れられない」と述べて反発しました。
また
▽福島など8つの県の水産物の輸入禁止措置をより徹底していくほか
▽IAEA=国際原子力機関などに検証を求めるとしています。
会議のあと韓国外務省は日本の相星大使を呼び出して抗議しました。これに対し相星大使は日本政府の決定は事前に韓国政府に伝えていたとしたうえで「韓国を含む周辺国の環境に影響を与えることがないよう責任を持って取り組んでいく」とするコメントを、韓国メディアなどに向けて出しました。 一方、ソウルにある日本大使館の近くでは午前11時ごろから市民団体が抗議集会を開きました。参加者たちは「放出反対」などと書かれたプラカードを掲げ「周辺国でも反対が出ているにもかかわらず独断で放出を強行する日本政府に怒りを抑えることができない」などと述べ、決定の撤回を求めていました。 台湾「非常に重視」 “遺憾の意も” 台湾外交部の欧江安報道官は13日の記者会見で「海洋環境や生態系、台湾の人たちの健康と安全にかかわることであり、われわれは非常に重視している」としたうえで、2年後をめどに海への放出が始まることから「それまでの間われわれの強い関心を日本側に伝え続ける」と述べました。
台湾の原子力委員会もコメントを発表し、海への放出に反対する立場を日本側に書簡で伝えていたと明らかにしたうえで日本政府の決定に遺憾の意を表しました。
書簡では「日本政府が近隣の反対を顧みず海への放出を決めるなら台湾周辺の公海の海水と海洋生物への影響を測定し、結果を迅速にわれわれに提供するよう求めた」ということです。 中国「重大な懸念を表明」中国は外務省の報道官が談話を発表し「日本の近隣国であり利害関係者として重大な懸念を表明する」としています。
そのうえで「日本は国内外の疑念や反対を顧みず周辺国や国際社会と十分に協議しないまま一方的に決定し、極めて無責任だ。利害関係国やIAEA=国際原子力機関と協議して合意に達する前に勝手に海へ放出してはならない」と主張しています。 米「日本の透明性保つ努力に感謝」 アメリカのブリンケン国務長官は12日、ツイッターに「福島第一原子力発電所からの処理水の処分に関する決定に際し日本が透明性を保つ努力をしていることに感謝する。日本政府がIAEA=国際原子力機関と引き続き連携するのを期待している」と投稿しました。
また、国務省のプライス報道官は12日「日本は国際的に受け入れられた原子力の安全基準に合致する方法を採用したようだ」とする声明を発表しました。




トリチウムなど含む処理水 薄めて海洋放出 政府や政界の反応は
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20210413/k10012971371000.html
2021年4月13日 15時30分 福島第一原発
東京電力福島第一原子力発電所で増え続けるトリチウムなど放射性物質を含む処理水の処分方法について、政府が国の基準を下回る濃度まで薄めたうえで、海へ放出する方針を決めたことについて、政府や政界の反応です。

菅首相「情報発信含め全力尽くす」 菅総理大臣は、総理大臣官邸で記者団に対し「処理水の処分は、福島第一原発の廃炉を進め、福島の復興を成し遂げるためには避けて通れない課題だ。このため6年以上にわたり、有識者の検討や国際機関からの評価、関係者への説明を行い、海洋放出が現実的と判断し、基本方針を取りまとめた」と述べました。
そのうえで「今後、準備作業を進め、2年後をめどに海洋放出を開始する予定だ。トリチウムの濃度を国内の規制基準の40分の1にし、安全性を確実に確保したうえで実施する。風評被害により、地元の皆様方の復興への希望が失われることがあってはならない。科学的な根拠に基づく情報発信を含め、政府一体となって全力を尽くす」と強調しました。
そして、菅総理大臣は「タンクが増加し、敷地がひっ迫していることも事実だ。もう、これ以上は避けて通れないという中で判断をした。私自身は、これから、しっかり説明をして、ご理解いただけるようにしていきたい」と述べました。 加藤官房長官「タンクがどの程度必要になるか早急に精査」 加藤官房長官は、閣議のあとの記者会見で「廃炉を遅延させず、復興の歩みをさらに前に進めるという強い決意のもと、引き続き政府一丸となって取り組んでいく。実際の放出が始まるまで2年程度かかると見込まれており、こうした期間を最大限活用して懸念を払拭し、理解を深めていただく努力やさまざまな対策をしっかり講じていきたい」と述べました。
また、「外国政府や国際社会の理解を得るよう努めることは大変重要だ。必要な情報を関係省庁が一体となって、高い透明性をもって提供していきたい」と述べました。
さらに、原発の敷地内のタンクについて「敷地がひっ迫している状況もあり、タンクをなくしていくことを求める地元自治体からの強い意見もある。一方、長期保管用のタンクとは別に、放出前の水質を厳密に測定するためのタンクも一定規模必要になってくると考えている。廃炉に影響を与えない範囲で、放出設備としてのタンクがどの程度必要になるか、早急に精査していきたい」と述べました。 小泉環境相「透明性や客観性最大限重視し調査」 小泉環境大臣は、13日の閣議のあとの記者会見で「政府に設置されたモニタリング調整会議の議長として基本方針に基づく役割を全力で果たしていく。具体的には、環境省として新たに処理水の放出の前と後のトリチウムに関する海域でのモニタリング調査を実施する」と述べました。
そのうえで、「トリチウムは国内外の原子力施設で各国の規制基準を順守しつつ放出されていて、あたかも福島第一原発だけがトリチウムを放出するかのような誤った認識が広がることこそがよくない。福島県をはじめとする関係者に安心してもらえるよう透明性、客観性を最大限重視したモニタリングを実施し、その結果を公表することで風評の抑制に努めたい」と述べました。 野上農相「風評被害払拭に全力を尽くす」 野上農林水産大臣は13日、閣議のあとの記者会見で「原発事故以来、復興に向け懸命に取り組んでいる農林水産関係者には大変なご労苦とご心配をおかけしていて、海洋放出によって風評被害が生じることを懸念する気持ちは当然のことだと思う」と述べました。
そのうえで「まずは風評を生じさせないことが重要で、生産・加工・流通・消費、それぞれの段階で支援策を行っていく。処理水放出までの間、漁業者をはじめ国民の懸念を払拭できるよう農林水産省としても全力を尽くしていく」と述べました。 平沢復興相「風評被害防止へ情報発信」 平沢復興大臣は、記者会見で「関係省庁でつくる、風評被害を払拭するためのタスクフォースを開催し、的確な対策を行うよう指示したい。復興庁としては、風評被害対策について、今年度の当初予算に従来の4倍の20億円を計上していて、トリチウムの性質や処理水の処分方法を分かりやすく説明したチラシや動画を公開し、海外に向けても必要な情報を発信していく予定だ」と述べました。 麻生副総理・財務相「もう少し早く実施という意識もあった」 麻生副総理兼財務大臣は、閣議後の記者会見で「科学的根拠に基づいてもう少し早く実施したほうがいいのではないかという意識もあった。しかし、被災地の方の話や風評被害という懸念に対応した結果、きょうまで延びたと思っている。水は飲んでもなんてことない。今回の決定でどんどんタンクを増やしていくための経費は減ると思う」と述べました。 茂木外相「風評被害対策にも全力を」 茂木外務大臣は、記者会見で「処理水については、これまでも国際社会に対して高い透明性をもって積極的に情報提供を行ってきた。今回の方針案の決定はアメリカも高く評価している」と述べました。
そのうえで「国際法や国内外の規制を確実に順守して安全性を確保していくほか、今後も科学的根拠に基づく丁寧な説明により、国内はもちろんのこと、国際社会の理解の醸成に努めることで風評被害対策にも全力で取り組んでいきたい」と述べました。 井上消費者相「リスクコミュニケーションを強化」 井上信治消費者担当大臣は、13日の閣議のあとの記者会見で、トリチウムなどを含む処理水に関連して「風評被害の防止ということが非常に大きなポイントとなるので、消費者の方々とのリスクコミュニケーションをさらに力を入れて取り組みたい」と述べました。 自民 二階幹事長「不安の解消や風評被害の回避に万全を」 自民党の二階幹事長は、記者会見で「海洋放出は国際的にも広く認められた手法であり、政府がいろんなことを検討したうえで決定したものなので支持したい。ただ、地元の皆さんの不安はもっともなので、政府には丁寧に説明し、不安の解消や風評被害の回避に万全を期してもらいたい」と述べました。 自民 佐藤総務会長「批判よりも解決方法を」 自民党の佐藤総務会長は、記者会見で「風評被害を避けなければならないことは当然であり、トリチウムがどういう物質で、どういう形で処理水を海に放出するのか、国民に理解してもらえば不安をあおることにはならない。この案件は、批判しようと思えばいくらでも批判できるが、解決方法を探すほうが何倍も大切だ。菅総理大臣は正しいことをしている」と述べました。 自民 世耕参院幹事長「判断は妥当 風評被害対策を」 自民党の世耕参議院幹事長は、記者会見で「タンクの保管にはリスクがあるし、放出に当たっては厳しいルールを適用しており、政府の判断は妥当だ。風評被害対策をしっかりやってもらいたい」と述べました。
また、立憲民主党の枝野代表が、現状では、安全性などの説明が尽くされていないとして、海への放出に反対する考えを示したことについて「批判して誰かに責任を押しつけるのではなく、福島の復興を進めていくうえで解決しなければならない問題として、党派を超えて協力していくことが重要だ」と述べました。 立民 福山幹事長「非常に失礼な対応で遺憾」 立憲民主党の福山幹事長は、記者団に対し「国民への十分な説明がなく、海洋放出ありきで進んだとしか言いようがない。地元では先月ようやく試験操業を終え、本格操業に移行し始めたやさきの放出決定は、現場の漁業者の操業意欲に水を差すもので非常に失礼な対応だ。風評被害を防ぐ具体策もなく非常に遺憾だ」と述べました。 公明 山口代表「具体策の説明に努力を」 公明党の山口代表は、政府与党連絡会議のあと、記者団に対し「やむをえない対応だ。風評被害を懸念する声もあるので、政府は、関係者が安心できるよう具体策を説明する必要があり、同時に国際社会に対しても科学的な根拠に基づいた発信に努めていくべきだ」と述べました。
また、立憲民主党の枝野代表が、現状では、安全性などの説明が尽くされていないとして、海への放出に反対する考えを示したことについて「原発事故が起きた当時、政権を担っていた人たちは責任を持って発言してもらいたい。野党にも建設的な協力を期待したい」と指摘しました。

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Posted at 2021/04/14 19:21:51

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