2017年09月03日
へくしょん
「警視庁から各局、久松管内、車両盗難中、中央区日本橋馬喰町1丁目6番地、久松1、緊急開始で臨場せよ」
警視庁から至急ブザーがけたたましく鳴り響き、島しょ部を除く都下全署に指令が知れ渡った。
「久松1、臨場いたします。馬喰町2丁目から。どうぞ」
「警視庁了解。
警視庁から久松」
「久松から警視庁、どうぞ」
「了解。本件は市民からの目撃通報である。専務等を要請すると共に、依然、通報者がマル被の付近に居座る場合は、速やかに別々に分離を願いたい。通報者は若い匿名の女性。尚、久松の101番で受理致しました。
担当は田中ー。どうぞ」
「101ですね。久松は加藤です。尚、久松20が臨場中。以上、久松」
「至急至急、捜査160から警視庁。久松の女性を確保した!以上、捜査160」
「至急至急、捜査160。
女性は怪我をしていないということですか?119で東京消防へ応援の要請か?どうぞ」
「現在、赤灯を載っけないで160の女警が無理矢理車内に連れ込んだ状態。久松からも女警よろしく」
足立ナンバーの捜査車両が応援に駆け付けたところで久松1号が滑り込んだ。
被疑者の面々は先に辿り着いた捜査車両には依然気付かなかったようで、久松のパトカーが来たせいで、やっと気付いたのだった。
「久松1から警視庁。臨場しました。現在、付近に原チャリ、松戸市ナンバーのピンクナンバー、後で会社に連絡して貰いますが、とりあえずこいつがZのランクルにまとわりついてるような感じで止まっています。
とりあえず、以上、久松1」
「久松1は、このまま安全確認に怠る事なく鋭意職質し、特定行為を割り付け等をせよ。
尚、久松のリモコンは後ほど総括至急をもって警視庁へ入電せよ」
「久松、承知致しました」
「久松1から警視庁。指定工具で06、現逮。柄はね、現在、車内にいます。専務もこっちに寄越してください。これより調べます(取り調べ)」
「久松1、確認出来たらZの物損被害は確認出来ましたか?」
「あとでピーフォンで写真送りますが、タイヤを外そうとして、所携のジャッキをあてがって、タイヤを外し掛けていました」
「警視庁了解。
警視庁から久松20」
「久松20です」
「久松1の車内にいる柄に対して06の方針で鋭意追求するように願いたい」
「よろしく、どうぞ。以上、久松20」
久松1のPCには、今日は地域3係が乗り込んでいたが、担当警部補は9自らの町田分駐で指名手配対策の勤務経験のある男で、武蔵野時代にも覚せい剤の手配犯を追い込んだ事もある猛者だった。
被疑者は、金髪の若い男で上下ジャージという出で立ちだった。
駆け付けたその瞬間、男は工具を手にしてはいなかったが、とっさに落としたに違いない。強引に押し込む連中は、現行犯逮捕されない様にその場に指定工具を放り捨てる事があるのだ。
原付を警察に電話して問い合わせて貰うと、佐々木五郎と言う人物が出て来た。
少年犯罪の前歴があった。
男は「ランクルなんか、かっこいい車だと思って近くに止めて眺めていた」の無理な一点張りなので、1自らに頼んで、1自らには裁判所に飛んで貰った。
これだけ疑わしいので、本人が否認したらすかさず強制捜査するのが鉄則だった。
それよりも係長はもう一人いるに違いないと思っていた。
「おい。仲間はどこに飛んだか覚えてないか?どうせ、俺が来るまで、あそこにはてめーともう一人居たんだろうが。え?」
「俺に聞いたってしょうがないじゃねーか。どっちみち、ほんとに知らねーんだからよー」
「知らねー知らねー、じゃねーんだよ。遊んでんじゃねーよ、この馬鹿野郎」
その内、気の利く隣の署境の蔵前の後輩が自転車に連れて歩いてやって来たと、知らせが入った。
共謀者は後輩の自転車の男に怖気付いて、なんら抵抗をしなかったそうだ。
最初に取り押さえた男も書類効力で無事に逮捕したら、結局、柏から二人乗りで都内に遊びに来た、19歳と17歳の勤労者の二(に)人組だと判明した。
「久松から警視庁」
「久松、どうぞ」
「ただいま、お時間をお願いします。恐れ入ります。
えー、先のZの総括を送ります。
被疑者は19歳と17歳の柏市内の勤労者で両方とも06で現逮し、今は会社に連れて来て居ます。一緒に調べて居ます。
尚、通報者と被害者にもケア手配済みです。あと、柄は両方とも通報した女の人の顔を見て居ませんでした。どうぞ」
「警視庁から久松。了解、おつかれさまでしたー。本日、これからも鋭意警ら活動、警視庁のためによろしくお願いします。
以上、警視庁」
ブログ一覧 | 日記
Posted at
2017/09/03 03:16:57
タグ
今、あなたにおすすめ