1985年式SR500 アイドリング不調の原因判明! たぶん解決したと思います
目的 |
修理・故障・メンテナンス |
作業 |
DIY |
難易度 |
 初級 |
作業時間 |
30分以内 |
1
2
で
キャブのどこが悪かったと言いますと76番の部品番号【3H1ー14573-00】のレバーってやつと20番の【3H1ー14215-00】のシャフト・スロットルレバーって奴です
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これです!こやつです!このサイレントキラーばりに悪さをしていたレバーって部品です。
パーツリストではレバーとだけ書かれていますが、アクセルワイヤー2本を固定する部品なのでアクセルワイヤーホルダーレバーっとでも僕が勝手に名前をつけてやろうかと思うくらい憎いレバーです
何がどういう風にこのレバーが悪かったと言いますと、取り付け後にガタが有りました
そのガタの様子はこちらの30秒ほどの動画をご覧ください
https://youtu.be/uHxRvhwlkR0
動画を見てもらえばわかると思いますが、レバーを動かしても真ん中のシャフトは一切動いていません。このシャフトがリンクアームを介してスロットルバルブに繋がっています。スロットルバルブが動かないとガソリンは供給されません
本来このレバーはパーツリスト20番の【3H1-14215-00】スロットルレバーシャフトとナットで固定されてガタは一切ないような構造になっています。
レバーの下にある画像一番下の赤い矢印で指したアイドリングアジャストスクリューを締めこむことによって微妙にアクセルワイヤーホルダーレバーが青い矢印で指した部分で押し上げられて、その微妙に押し上げられたレバーの挙動がそのままシャフトからスロットルバルブに反映されて微妙にスロットルバルブが持ち上げられてアイドリングの分だけガソリンが供給されると言う仕組みです。
このレバーにガタが有ると言うことは微妙にアジャストスクリューを締めこんでもスロットルバルブにはその微妙に持ち上げられた力が伝達していないので全くガソリンが供給されない、だからプラグが濡れていないという事だと思います
アクセルワイヤーが引っ張られるとダイレクトにレバーが引かれてスロットルバルブが持ち上げる事で回転数が上がるようになっています。ガタがあると遊びが有るのと同じことです。
これではスロットルアジャストスクリューでいくらアイドリングを上げようとアジャストスクリューを回してもガタによる遊びに吸収されてしまって結果としてスロットルバルブが全く持ち上がってないのでスロットルバルブ全閉状態となりガソリンが供給されなくてプラグが濡れないという現象が発生していました。
ふ~ ここまで辿り着くまでに相当苦労しました。思いつく限りの原因を一つ一つ消していく事で捜索範囲を絞ることが出来たからこそ辿り着けたと思います。
キャブにはもう悪い箇所は思いつかないけど、悪いのはキャブしかあり得ないという矛盾した状態になりましたが着眼点としては良かったと思います。
恐らくこのレバーを交換してガタを無くせば復調するはずです
もちろん部品は廃盤で新品は注文できません。で、どうやって直すかですが
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買ってて良かった部品取りキャブの登場です。2020年11月に12500円でヤフオクで買っておいたキャブを引っ張り出してきました! 2年前なら1万円前後で買えたキャブも今では軽く2万超えてきましたね。先に買っといてよかったです
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部品取りからサクッと必要な部品を取り外しました!
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全部ばらして使えるかチェックします
使えそうです
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今回のドツボの真犯人を見つけました!
こ奴が11日間僕を悩ましてくれたにっくき犯人です!レバーも悪かったけどシャフトも悪い奴です!このレバーが黒幕です
部品番号【3H1ー14215-00】
解説するとこんな感じです
このねじ山が4山潰れることでしっかりとナットで固定できず1㎜~2㎜程のガタ発生する。その1㎜~2㎜のガタにアイドリングアジャストスクリューの調整分が吸収されてしまうのでアイドリングアジャストスクリューを回してもまったくキャブの内部にそれが伝わらなくてキャブが完全全閉状態となり全く燃料がエンジンに供給されない、その結果全くエンジンがかからないという原理です。
右が部品取りから外したシャフトで左がガタがある現状つけてるシャフトです。
奇麗にねじ山がつぶれて舐めてますね
こんな潰れたねじ山ではトルクが掛からず緩んでしまって暴れてレバー側が削れて1mm~1.5mm程のガタが出てしまってそのガタにアイドリングスクリューがレバーを持ち上げた分全て吸収されてしまってスロットルが完全に全閉状態となりアイドリング時にガソリンが供給されなくなりエンジン不動となったという結論です
いや~しかし、こんなパッと見しょうもないM8のピッチ1.0のねじ山が四つ潰れただけであんなに調子崩すなんて!想像もつきませんでした。いや~勉強になります!
しびれますね~ 素人整備万歳です!
このシャフトはかなり特殊な形状をしてるので舐めやすいネジですね。SR専門の修理工場の親父さんにこの画像を送ったら、『なんでこんなところばらすんや!ばらす必要のない部品をわざわざばらすからこんな事になるんや』と言われてしまいました。
確かにシャフトとレバーは固定したままでキャブのボディから外せます、わざわざ分解する必要は全く無かったみたいです、、、、、
でもねしょうがないですよ!
分解したい病ですから、
ネジ1本まで完全に分解したい、、、
せっかくバラしてるんやから細部まで掃除したい、、、
ねじ山をタップとダイスで修正したい、、
洗って奇麗にしたい、、、
なんでもしたい、、、
【したいしたい病】なんです。
しょうがないですね、笑
分解する必要の無い部品を分解して故障させる、、、、親父さ曰く【人災】です、これこそ素人DIYメンテナンスの面白いところですね、最高です!痺れます!
しかし原因が分かれば後は簡単です、復調へのめどが付いたのでここら辺から作業はとても楽しい気持ちで取り掛かれました
ちなみにこのネジはM8でピッチ1.0でした、M8の一般的なピッチは1.25なので手持ちのタップダイスセットには無かったのでねじ山は修正できませんでしたがとりあえずこの部品取りから取ってきたレバーのねじ山は奇麗な状態だったので真鍮ブラシでねじ山を掃除しました。
アマゾンでM8のピッチ1.0のタップとダイスセットは注文したので後日また作業したいと思います
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部品取りの状態を確認し掃除して綺麗になったら錆びないように全体をグリスアップします
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キャブに組付けます
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スロットルシャフトとレバーをナットで固定します。親父さんからは『二度と分解するなよ!接着でもしとけ!』と指示を頂きました。ドSの親父さんありがとうございます~
シャフトはM8で締めるソケットは12です。ここで小問題発生です。レバーとシャフトの間がほとんど隙間が無くてラチェットのソケットが奥まで刺さらないのでナットを正確にくわえてくれませんでした、薄型のナットな上にシャフトは上下が削られている特殊な形で、めちゃくちゃ舐めやすくてこのままでは締め付けるのが怖い感じです。
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絶対に舐めたくないんで、工具を削ることにしました。この舐めやすいナットを確実に固定できるように12のソケットをグラインダーで削って専用工具を即席で作成します。とにかく何がなんでも舐めたくないんです。そのためには躊躇なく工具を削ります
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こんな感じにソケットを削りました
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しっかり奥までソケットが刺さって確実にナットをくわえてくれました。
ピッタリと合った工具で安心してナットを締めれたんでレバーとシャフトをしっかりと確実に固定することが出来ました!
一切ガタは有りません
ふ~あと少し
レバーのガタが無くなった様子はこちらの20秒ほどの動画でご確認ください
https://youtu.be/q3L1WWveZs0
レバーを動かすとシャフトも一緒にダイレクトに動いています、良い感じです
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キャブを組付けていよいよエンジン始動テストです!
ドキドキ
こんどこそ最初のキック一発でエンジンかかるやろうな~~って思いつつキャブにガソリンを送ります
チョーク引いて
そしてキック一発!蹴り下ろします
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
結果は
↓
↓
↓
↓
↓
まさかのエンジン全く掛からず、、、涙
何回かキックしても
うんともすんともブスンともいいません、、、、
天を見上げながらの心の声は
『あかん、、、完全に詰んだ、、
誰か助けて、、、もう無理、、、』
万策尽きるとはこのことです
これ以上の悪いところは素人の僕の知識では見当が付きません、、、
親父さんに軽トラで引き上げてもらうしかないかなぁ、、、
なんて途方に暮れてました
粘り強く10回ほどキックを踏んでたらちょっとはボッボッとか言い始めました!
おっ!良い傾向です、、、
熟考し次のような仮説を立ててみました
今までさんざんアイドリング不調でアイドリングアジャストスクリューいじったりパイロットスクリューを回したりしてたから燃調が適正から外れててちょっと濃いのかな?という仮説です
早速プラグを確認すると濡れてます。
『ガソリン来てるやん!』おもわずガッツポーズ!なんとかなりそう
パイロットスクリューの戻し量を2回転半から2回転に戻しました
これは今までとは明らかに違う、燃料来てるしエンジン始動しそうです。
これまでの経験からエンジン不動のドツボにはまっても押し掛けならかなりの確率でエンジン始動できるので、ここはワンチャン押し掛けしてみることにしました
坂を上がりチョークを下げて押し掛けするとあっさりエンジン始動!
あっさりとエンジンは始動したんですけが!
いきなりの5000回転の爆音での始動でした!
ババババババババ~~~~~~って静かな近所の道に爆音が響き渡りました。10人くらい居てた通行人の皆さんが爆音で全員が振り向いて白い目で見られました、、、、
変なおっさん爆音立ててなんやねんって顔で見られました、恥
めちゃくちゃ恥ずかしかったです。すぐにチョークを戻し3000回転くらいに落ちましたがそれでも3000回転なんでうるさいです。とりあえずエンジン切ってアイドリングアジャストスクリューを緩めて再始動したらものすご~~く良い感じにエンジンが始動しアイドリングも安定しています
すぐに1100回転くらいに微調整してしばらく様子を見るために走ってみましたが不調は感じられませんでした。これで恐らく復調できたと思います。
その後1時間程ビビりながら近所を流して様子を見ましたが一度もエンジンが止まることもなくアイドリングも1100回転で安定して信号待ちの停止でもエンジンが止まるようなそぶりは全くなくその他の不安な兆候など全く無く安心して乗ることが出来ました。
良かった~~嬉!
9月4日にSRが帰って来てから9月15日の今日復調したので11日間のドツボでしたがなんとか復調してくれて良かったです。
ねじ山4個潰れただけでこんなに調子くずんですね、、、ほんと勉強になりますし痺れました~!!
思い起こせば自分がキャブを分解するときに分解の必要の無いところを分解した結果起こった不調なんで、なんともいえないなぁ~という気持になりますが、不調の原因を推理して検証して失敗してまた推理してどんどん捜索範囲を絞って行く事で何とか自力で修理できた事への喜びも感じられます。
素人メンテナンスながらによくできたとも思っています
インジェクションならこんなトラブルとは無縁の様ですがこれも古いキャブのバイクの楽しさでもありますね!
復調した我がSR500の乗り味についてですが、腹の下から込み上がってくる強烈なトルクからくる排気音のドドドド~の一音づつごとに後輪が地面を蹴るような力強さ、アクセルを開けた時に体が前に持っていかれて頭だけ後ろに下がるような荒々しさなど、乗っていて本当に楽しいバイクです。性能が良いわけではなく早いわけでは無いけど暴れ馬のような荒々しいバイクだと思います
これが本来のSR500の姿なんだなと感じました。
苦しい11日間でしたがまた愛機への愛情もふかくなりました。
整備手帳は長くなりましたが原因不明の不調にどのように向き合ってどのように乗り越えたのかと言ったところを一緒に体験して頂けたらとおもって心の声と交えて長々と書きました。
さぁ来週はフェリーに乗って九州ツーリングです
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