2010年10月18日
よく聞く「自分はこのマシンの性能の何%しか使えていない」って話について
私もついつい使いますけど、意味不明で曖昧な言葉ですよね。
そもそもマシンのポテンシャルを100%使い切るってどういうことなんでしょう?
バイクもクルマも走りの3要素は止まる・走る・曲がるだと思ってます。この順番は自分が詰めていくときの意識的順番でもあります。
一説としてこの3要素を全て100%使い切ればマシンのポテンシャルを100%引き出せていると言えなくもないと思います。
それぞれを個別に考えるならば
止まる:接地するタイヤの縦グリップを最大限に発揮し最大の減速Gを発生させている状況。しかし動的に変化する前後バランスを考慮するならば瞬間的に考えられる最大減速Gの発生というのはあまり意味をもたないと思います。バイクであれば前後ブレーキ別ですし、クルマもですけどエンブレも一応ブレーキの要素になります。この項目だけでも「これだ!」という最適解は見つかりません。マシンの動的な前後バランスと過渡特性により求められる最適な入力は異なるってことだと思います。
走る:これは割と最適解があるかもしれません。直線に限ればホイールスピンしていなければアクセル全開全負荷の状況はマシンポテンシャルを100%使いきっているかもしれません。しかしこれはコースにおける一部の場合だけです。ホイールスピンしていない状況ってだけでもシフトアップ操作を伴うわけでHパターン3ペダル電子制御無しで考えるならシフトアップの瞬間に動力が切れる時間に個人の技量の差が少なからず出てるはずです。たかがシフトアップって言っても下手なら1秒以上かかる人もいるだろうし(シフトノブを動かす時間だけじゃなくてアクセルを抜き初めてから踏み始めるまでです)、ちょっと上手い人でもコンマ3秒はかかると思います。これがトッププロになればコンマ1とか超微妙に縮まるって話ですけど、1LAPで例えば15回シフトアップがあり一回にコンマ5秒違えば実に下手な人は7.5秒も前に進む時間が短いわけでとても大きな差になります。
さらにこれにホイールスピンを伴う状況なら深刻に難しいです。タイヤと足回りの特性から最適なスリップ率があるわけで全くホイールスピンしないより数%滑ってる状況の方がトラクションがかかるって話を始めるともう深刻です。
曲がる:もう完全にカオスです。これまた最大の横Gをって定義をすればそれまでですけど。賢明な読者なら首をかしげるはずです。
で、1つだけでも最適解が無いっていうのに1LAPでタイムを如何に縮めるかということを考えるならこの3つのバランスを考えなきゃいけないし、基本に帰れば摩擦円的考え方からその円の軌道上を辿ればいいはずですが、ところがどっこいちょっと考えれば摩擦円上を出来る限りトレースするようなグリップの使い方をしたところでそれが必ずしも最速かというと経験則的にも理論的にも絶対違います。
例として高速コーナーでフルブレーキで縦Gを使い切りつつ減速「し過ぎ」横Gの限界を使ってターンして、また縦Gの限界を使って超加速ー!な走り方は一見すると全ての項目で限界を引き出しつつ摩擦円的話からも理にかない、さらに最近のトレンド?「しっかりフルブレーキして素早く向きを変えて全開」ってコメントよく聞きますよね?
これ絶対遅いです。正しいか正しくないかで言えば状況によると思います。今回話題にしているのはサーキットでのアタックを前提にしてますんで速いことが正しいと思うので正しくないと思いますが、これが例えば峠のような場所で先もよくわからないし最小のリスクで最大のメリットを稼ぐという考え方をするならハイパワー・ハイトラクションなマシンでは特に有効と思います。サーキットでも手軽にタイム短縮するにはいい方法だと思います。特に始めて乗るマシン、初めて走るコースでなら自分もまずはこのアプローチからってのはあります。
話が長くなるので簡潔に話しますが、ロングストレートからのU字型の中~高速コーナーに対してで仮定してみるとコーナーリングスピードを重視しつつ最大限の加速をする「自分的本当の立ち上がり重視」をA、がっちりブレーキングしてクルっと回って超加速をBとするなら
Aは300キロからフルブレーキしてボトム150キロでパーシャルをBより長くとり加速
Bは同じく300からブレーキ、長くフルブレーキして100キロまで減速、その分たしかにすぱっと向きをかえ超加速
これはもちろんコーナーの状況、マシンのスペック、また1LAPを通しての兼ね合い等々ありますが、上記に記したような条件ならその後例えば800m程度のストレートがあるとして300キロ出るようなマシンで仮定したとしても十中八九Aの方が次のストレートの終速が速いはずです。
これは極端な話でしたがちょっと考えれば誰でもすぐわかる話だと思います。もっと超極端に言えばいくらヘアピンだからって一時停止してフル加速するような走り方したら絶対遅いよねって話です。
何が言いたい自分も昔、バイクですけどリッターSSに乗ったころ凄まじい加減速性能と雑誌知識によりサーキットでも全くじゃないけどボトムスピードをほとんど意識してなくてただひたすらアクセルを早く開けることばっかり考えて、進入は向きを自分の能力でも変えられるようにひたすらがっつりブレーキしてた時期がありました。。。
んで遅いと・・・
しかしですね、自分もやってたころというか走ってる最中特にですけど、加速出来るマシンってついついボトムスピードとか意識が向かなくなっちゃうことが誰しも特に初心者のうちはあるよねってことが言いたかっただけです。
んで、本題からかなり大きくずれましたが上記のようなことからこのアプローチ方法では少なくともマシンポテンシャルを100%使い切るってことは全く定義できないことがわかります。
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Posted at
2010/10/18 00:32:19
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