2025年12月03日
オーラ運転支援レビュー ゴルフ7からどれ位進化した?
まだ600km程度の走行距離であるため、オーラの運転支援に関してのファーストインプレッション程度で読んでいただきたい。
オーラは2021年出荷開始、前車のゴルフ7は2013年国内出荷開始のため9年(私のAUTECH Sports Specは2025年式なのでそれを考慮すると12年)の乖離がある。ゴルフ7は当時としては珍しくACCを含めた運転支援機能が「標準装備」されており、アイサイトが先行する中、2013年のCar of the Yearを受賞するなど当時の先進機能が評価されていた。こうした運転支援は日進月歩でありハードウェアの進化もさることながら、実はソフトウェアの進化の方が重要だったりする。日産自慢のプロパイロットはオプション装備(しかもナビとのセットオプションで高価)となる点で評価に苦しむところもあるが、2.0機能においてはハンズオフに対応するなど「技術の日産」の面目躍如といったところだろう。
ゴルフ7を購入した2013年当時、私の買える範囲のクルマではスバルのアイサイトしか運転支援システムはリリースされておらず、そのアイサイトは2008年の発表から2013年ではVer.3にまで進化し、カメラのカラー化など機能は群を抜いていた。王者トヨタも当時はまだ運転支援に消極的で、2015年にやっとToyota Safety Senseを発表した。ホンダはゴルフに1年遅れての2014年、日産のプロパイロットに至っては2016年まで待たなければならない。
そういう意味でVWの運転支援対応はかなり早かったと云える。ゴルフ7購入時スバルXVと比較検討をしていたが、ACCの速度設定を160kmまで設定出来るなど、スバルでは出来なかった設定が魅力だった。(もちろん、制限速度は守ってましたw)
精度という観点ではアイサイトには敵わないものの、高速道路を走行する際はACCを設定した方が安心して運転出来たし、渋滞中は最早ACC無しは考えられない。
唯一の不満は、
ゴルフ7は、レーンキープアシストの警告音が大きい
という事だ(初期のみ。MC以降のゴルフは不明)。欧州車は「オン・ザ・レール」と呼ばれる様に直進安定性が高い。高速道路走行においては、ハンドルに手を添えている程度でヒタ走る。もちろんACC設定をしている際もハンドルを握っているのだが、突然
「ピィーーーー!」
という大警告音を発し、ハンドルを少し動かしてクルマに「操作をしているよ!」と伝える必要があった。最近のクルマには「静電式」のセンサーが搭載されており、本当に手を触れているだけで問題ない車種もある様だが、ゴルフの場合はある程度トルクを掛けた状態でないと「不保持」という判定がなされる仕様だった。この「ある程度」という感覚は最後までつかめなかった。しばらく警告音を鳴らさずに走らせていても忽然と鳴りだし、鳴り始めると連続したりした。時々鳴ってくれるおかげで「眠気」とは無縁であったわけだが、同乗者がうたた寝をしている時にはだいぶ迷惑だったに違いあるまい。(うちのかみさんは優しいので、それで怒ったりすることはなかったのは幸いだった。)という訳で、オーラにおいてはここが良くなってくれていると嬉しいなと期待をしていた次第。
前置きが長くなったが、納車1ヶ月で体感したオーラの運転支援機能のインプレッションに入りたい。
繰り返しとなるが、高速約300km・自動車専用道路に限りなく近い道50km程度を走行したレベルでのインプレッションである事を予めお断りしておく。(採点:5点満点)
1.速度設定・速度変更の容易性・追随性 点数 4点(良好)
【良い点】
・プロパイロット設定ボタン及びSETボタンの位置が非常に押しやすい
・135kmまで速度設定が可能
・設定速度への到達時間が早く、スムースな運転が可能
・高速渋滞時30秒まではRESボタンなしで追随再開可能
【気になる点】
・速度設定が5km刻み(設定速度を上げる手数が増えて面倒)
・1km毎の速度設定が出来ない(前車追随であれば気にする必要なし。あれば善し)
【ゴルフ7との比較と採点理由】
ゴルフはステアリングの左側にスイッチがあったため、右利きの私には少々押しづらかった(左腕をアームレストに置いていたせいでもある)。ゴルフでは160kmまで設定出来、唯一オーラより優れていた点。オーラでも135kmまでの設定が可能であり、実用上全く問題がない。停止後、RES・アクセルを踏むこと無く、前車追随を再開するなども優れているが、ナビリンク機能の良さをまだ実感出来ていないため4点とした。
2.車間距離維持 点数 4.5点(非常に良好)
【良い点】
・クルマが設定する車間距離に違和感なし(最大車間距離設定で使用)
・走行速度に応じた車間を維持(どの程度違うのか不明であり、まだ確信はない)
・これまでの所「なぜこの車間で入る!」と憤ることはない(割り込む人によるが…)
【気になる点】
・車間設定がもう少しきめ細かいとベター(3段階→5段階位)
【ゴルフ7との比較と採点理由】
ゴルフでは5段階で設定が出来たが、速度連動をしていないと思われ最大車間で設定していると割り込まれるケースが多かった。速度連動でどれ位の車間差が発生するのか、実感を持てれば5点(最高・最良)でも良いかもしれない。
3.レーンキープ精度 点数 4点(非常に良好)
【良い点】
・ハンドル保持は軽く持っている程度でも警告音は鳴らない(決定的違い!)
【気になる点】
・道路センターを確実に捉えている感じではない
・やや左より、やや右よりなど、ドライバーがレーン内設定出来ればベター
【ゴルフ7との比較と採点理由】
警告音が一度も鳴らずストレスフリー!レーンキープ精度に関しては3点台(良好)レベルと感じたが、警告音の点で加点し4点とした。
4.車線逸脱警告及び後側方車両検知警告 点数 3点(良好)
【良い点】
・後側方の検知感度は非常に高い
・車線逸脱警告は正常に作動し、ウィンカー操作が適切であれば余計な警告はされない
【気になる点】
・後側方検知が敏感すぎる(?)
→ 追い越し後の車線復帰で警告音+ハンドル制御が入り車線を戻されてしまう
・後側方の車両との相対スピードで制御できるとより良くなるのではないか?
・赤緑色弱であるため日中ミラー警告灯にあまり反応出来ない
→もう少し明るいとありがたい(個人的問題&法規的に問題がなければの話)
【ゴルフ7との比較と採点理由】
ゴルフにはこの機能は実装されていなかったため、安全面という意味では非常にありがたい。上述したような制御に変更出来れば4点以上と考えるが、操舵介入の感触が悪いため3点(良好)とした。
5.駐車支援関係 点数 3点(良好)
【良い点】
・前後それぞれ4ヶ所のセンサーで過不足なし
・感知感度(距離)設定が可能(設定:中で使用している)
・アラウンドビューモニターと併用することで障害物確認が容易
【気になる点】
・駐車に関係なく何かに接近すると警告音が鳴ってしまうため、ちょっとビックリする(慣れか?)
【ゴルフ7との比較と採点理由】
ゴルフではリバース連動で助手席側ドアミラーを下方に下げる機能があり、こちらの方が実は使いやすかった。慣れの問題もあるが、余計な警告も多く前車との使い勝手の観点で現時点では3点とした。
6.インテリジェント・エマージェンシー・ブレーキ及び前方衝突予測警報
点数4.5点(非常に良好)
【良い点】
・2025年の年次改良で、左右検知範囲が拡がり歩行者・自転車にも対応
(どれ位拡大されたのかは不明)
【気になる点】
・一般道走行中一度だけ「接近警報」が鳴り、インジケータ点灯もされたが一瞬で消灯したケースあり。ブレーキ動作までには至らず
・ドラレコで確認をしたが、直接影響を及ぼしそうな物体・人などは確認されなかった。道路脇の影にいた人に反応したとすれば検知感度が敏感すぎる
【ゴルフ7との比較と採点理由】
ゴルフ7では前方のみの検知であったが、後側方及び左右の検知範囲が拡がり予防安全の観点で非常に優秀。誤動作とは云えないが過敏に反応したと思われる部分もあるため、若干減点してこの点数。
7.プロパイロット使用時の走行安定性 点数 5点(最高・最良)
【良い点】
・作動時の直進安定性は非常に高い(EPSの味付けに依るところも大きい?)
・ハンドルがしっかり保持されている感覚で、微動だにしない。(ハンドルのカチッと感はゴルフ以上)
【気になる点】
・特になし
【ゴルフ7との比較と採点理由】
走安性はゴルフ7と比べても遜色なし。総合的な機能を含め進化が大きく、大変満足のため最高点。
総合評価 9年(12年)の進化は明確
当たり前と云えば当たり前だが、9年間(12年間)の進化は著しい。
最大の不満点であった、LKAの警告音やステアリング保持の判定基準など実用に則したインプリがなされている様で感心した。一方、制御に関してはチューニング又は改善の余地がある点も見られるが、ドライバーの慣れの問題でもあるため、この辺は経過を観察していきたい。
蛇足になるが、オーラの発する警告音などのサウンドは、バンダイナムコとのコラボレーションであり非常に心地が良い。他車に乗る機会が少ないためあまり比較は出来ないが、クルマの起動音やLKA警告音など未来感を感じる音であり非常に好ましい。
こうした気の利かせ方はクルマ作りのセンスの良さを感じるのだが、ホーン(クラクション)の音にどうして配慮が出来なかったのか?残念でならない。
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Posted at
2025/12/03 18:33:11
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