一度ガリガリ書き続けたけど、長くなってしまったので纏めてみます。
技術考察は楽しくて仕方ないですね。
【CPU能力向上のタイミング】
・プロセスルール微細化により、電力効率が向上した時
・コア数の増加により並列処理能力が向上した時
・既存技術とはまったく異なるアプローチがなされた時
プロセスルールの微細化は、現在のCPUの基礎技術が確立されたときから継続して行われています。
ムーアの法則により約2年ごとにプロセスルールが更新され、発売後も電力効率の向上や製造効率向上により能力の安定化が図られ、同一製品であっても出荷時期によって能力が異なります。(最近ではAMDのPhenom2 X6 1055Tの消費電力が下がりました)
コア数の増加は今後数年のトレンドです。
Pentium4で1コアCPUの性能向上に見切りを付けたIntelは2コア内蔵のCore2Duoシリーズを発表。その後、Core2の基盤2つを1つのCPUに乗せたCore2Quad(擬似4コア)を発表しました。
AMDでは64bit命令に最適化されたAMD64シリーズを進化させ、Intel同様2コアCPUを発表します。その後、擬似4コア(2×2コア)のIntelに対して、純粋な4コアCPUを発表、並列処理時の効率の差を謳いました。
ちなみにIntelとAMDの差は、一般的にはこんな感じです。
・コア辺りの処理能力:Intel圧勝
・64bit命令の処理能力:AMDの勝ち
・コストパフォーマンス:AMDの勝ち(6コアが3万円切るなんておかしいです)
・変態度:AMD圧勝
技術革新による性能向上は、コンピューターの歴史を見れば一目瞭然ですね。
真空管で構成されていた計算機から、現在の構成へ至る道のりは、技術的ブレイクスルーを超えたことによるものです。
かつてのコンピュータにはCPUというものは無く、真空管を組み替えることによって計算を処理させていました。それでも、今の電卓よりも性能は劣ります。
世界最初のコンピュータ:エニアックは、実はアナログ回路でした。
現在のPCは、かつてのスパコンと同程度の処理能力を持っています。
そして、コストは大幅に下がって、一家に1台以上になっているんですね。
ちなみに先日、国産スパコンが世界でもっとも電力効率が高いスパコンとして認定されましたね。こういった技術的挑戦から、技術は進歩します。一見無駄に見えても、長期的な視点で見たとき、人類全体の遺産となるんですね。
(もちろん処理効率が高いといっても、一般家庭向けのPCとは電力消費、発熱とも桁が違います)
こうして高性能化が進むコンピュータの世界ですが、限界があります。もちろんそこに到達するには、今のペースで行っても10年はありますが・・・
・プロセスルール微細化の限界
・電気の特性上の限界
・コストの限界
プロセスルールを微細化するということは、より原子のサイズに近づくという事です。
微細化のペースも鈍っており、その補完的な意味で多コア化が進んでいますが、いずれは限界にあたります。
Intelの予測では、2019年頃にそうなるのではないかと言う事です。
将来的には、CPU内の配線(配線といっていいのかはわかりませんが)は、幅が原子何個分、配線間の隙間も原子何個分・・・なんてことになりかねません。
そうなった場合、電気も電子が原子を伝わる物理現象です。設計どおりに動くとも限りませんし、隣の配線に影響を及ぼす事もあるんじゃないでしょうか。
集積率が上がれば面積単位の発熱量も増加するため、放熱も大きな問題になりそうです。
電気の特性の問題としては上にも書きましたが、他にもあります。
この世の全ては、光速以上の速さで伝達/変化できません。
今は問題になりませんが、いつか光速の壁が立ちはだかるかもしれません。
ちなみに現在光速の壁にぶち当たるのは、最近帰還したはやぶさを代表する、遠距離探査機との通信ですね。電波は光速を超えることはできないため、はやぶさと通信するとき、タイムラグは何十分にもなったそうです。そのため、はやぶさには、大まかな指示を基に自身で判断する仕組みが組み込まれました。
コストの限界は、案外知られていないかもしれません。
どんどん販売単価は下がるものの、プロセスルール微細化に伴い、テスト費用が跳ね上がるそうです。
CPU1個辺りの利益なんてたかが知れているので、いずれはテスト費用回収のために、同一製品が長期間に渡って販売され続けるのかもしれません。
ちなみに現在は、旧世代製品を廉価版製品として採用することで、費用を回収しているようです。
で、なんでこんな事を書いたかというと・・・SFが好きなんで、スタートレックとかよく調べてたりするんですね。
SFの世界では、超光速なんてものは当たり前です。
スタートレックの世界では、亜空間を利用することで光速を超えますが、コンピューターの処理もこの亜空間内で行われ、光速の制約を越えた演算を行えるそうです。
設定上、「575兆回/ナノ秒の処理能力(575,000ExaFLOPS)を持ち、4700万のデータチャンネルに同時にアクセスが可能」となっています(VOYシリーズ、USSヴォイジャーの設定)。
こんな世界を実現するには・・・と考えた結果がコレだよ!
現在でも、技術的な壁を突破する試みは実験されています。
その1つが量子コンピュータです。
量子コンピュータの特徴は現在のコンピュータとは違い、1と0以外に、「ゆらぎ」の状態が存在することです。現在のコンピュータとは違い、「1か0」ではなく「1か0か10か01の状態がすべて同時に存在する可能性がある」という感じですかね。(間違ってるかもしれません)
量子テレポーテーションとか難しい話なんですが、とりあえず量子のゆらぎによりすべての状態を同時に表現可能だということらしいです。
ITメディアの記事で説明があったので、
リンク張りますね。
この量子コンピュータは、現在のコンピュータの進化系にあたるものであり、現在のコンピュータより高速だが、現在のコンピュータで演算できない問題は回答不能です。
現在研究中のコンピュータとしては、人間の脳の構造を模倣したニューロコンピュータや、DNAの構造を利用したDNAコンピュータなどがあります。
生物的な化学反応を利用したコンピュータでは、現在のコンピュータとはまったく違った演算をできるので、別分野での応用が期待されています。
ちなみに、人間の脳も量子コンピュータの一種と考えられるようです。
処理能力は10TFLOPSに相当するそうで、今のところこれを越えるスパコンは存在しません。
・・・どうしてこうなったのか、自分でも本当にさっぱりだ。3時間前の自分に問いただしたい。