八王子城跡トンネル

甲州街道の宿場として、また明治以降は多摩の中核都市として発展した八王子。
現在は立川の追い上げを受け地盤沈下が指摘されていますが、軍都として発展した立川に比べ、戦国以前からの歴史的な積み重ねでは八王子に到底太刀打ちできるものではありません。
「八王子」の地名の由来は、仏教の守護神「牛頭天王(ごずてんのう)」の8人の子どもである八将神、もしくは日本書紀に登場する五男三女(→合計8人)の神様にあります。
神道と仏教の神様がごっちゃになっているみたいですが、明治以前の神仏習合状態では、スサノオと牛頭天王が一緒に祀られていた神社は数多く、全国にある「氷川神社」「八坂神社」と名づけられた神社が該当します。
明治維新後の神仏分離の際、その多くが「スサノオ」の単独祭祀に切替えたため、現在では純粋な「神社」となっていますが、いまでも牛頭天王を祀る「天王神社」が数多く残っています。また地名の「天王洲」「天王寺」「天王町」「天王台」等々は、概ね牛頭天王に由来するものです。
戦国時代の16世紀。北条氏照が、山頂に牛頭天王の八将神「八王子権現」を祀っていた深沢山に「八王子城」を築城。ここから「八王子」の歴史が始まります。
八王子城は、豊臣秀吉の軍勢が小田原城を攻略する途上、総攻撃を受け壮絶な落城を遂げました。現在は国の史跡に指定され、御殿の門や橋が復元されたほか、城址内に「八王子神社」が建立されています。
今となっては山深く静かなところ。一般の人が目にするとすれば、圏央道を走行している際にナビゲーション上で「八王子城跡トンネル」または「八王子城山」という文字がモニターに映るときくらいでしょうか。
圏央道のPRページに拠れば、トンネル掘削の際地下水位に影響しないよう、可能な限り止水措置を図った旨記載されています。一般的な工法では、施工中は強制的に排水して地下水位を下げ、貫通後も滲み出してきた水は坑外に排出して河川や下水に流すようにしますが、それでは地下水が回復せず、周辺の井戸涸れや湧き水の水量減少を招きます。
地質的には山の麓に不透水層が横切っており、かなりの標高まで地下水位が達しています。
八王子城址内には山城にもかかわらず築城当時から井戸が穿たれ、屋敷跡に隣接して滝まであります。甲州街道を眼下にでき水の確保も容易とあらば、防衛拠点としては打ってつけの地だったわけです。
小田原に籠る北条氏を討つべく豊臣方が進軍する過程で、八王子城は殲滅戦に巻き込まれます。精鋭を小田原城の守りに引抜かれ、領民と婦女子だけになった八王子城は一日で陥落。北条方は屋敷脇の滝で自刃し身投げするなど、その最期は凄惨を極めます。
周辺の河川は三日三晩血で染まり、水が澄んだ後もその川の水で炊いたご飯は、赤飯でもないのに真っ赤になったという伝説が残っています。一般的に赤飯は慶事の際の食べ物ですが、八王子城址周辺では現在でも、落城した旧暦6月23日には赤飯を炊いて冥福を祈り、城跡には絶対に近付かない習慣を守っている方がいるとか。
同じ八王子市内、橋本に向かう「八王子バイパス」の途中、多摩ニュータウンからも程近いところに「鑓水」という地名があります。
住み始めた当初は、由来は「遣り水」からきているのかな?と思っていたのですが、さにあらず。
戦で血に汚れた鑓を水洗いした地であったのが由来で、八王子城の顛末と併せ、現在の八王子市内が古戦場だったことを示しています。
八王子城跡トンネルの工事に際し、可能な限り出水を抑えたというのは、環境保護の面からも十分実行すべきことではあるのですが、・・・・・・・・・・
ひょっとして無念の死を遂げた北条方の人々の怨念を呼び覚まし、血のような赤い水がトンネル内に滴り落ちてくるのを恐れた、、、、、なんてことは無いよね(笑)。
しかしながら、トンネル工事の現場は「験を担ぐ」人が多いですから、そんな地元の伝説を耳にして、気にされたことは間違いないでしょうね。
また八王子城跡トンネルは、八王子城山の不透水層の下を掘削しています。不透水層の上に膨大な量の地下水が蓄積されているとすれば、止水を厳重にしなければ断層面や岩石の割れ目から出水し、掘削が覚束ないという現実的な問題があったものと思われます。
夏が来る度に、「謎の事故多発」「バックミラーに白い影」「気が付くと後席に落武者」「フロントガラスに血の雫」なんて都市伝説が、特番で紹介されるかもしれませんので、今のうちからネタをバラしておきます。
なんてことを書いていたら、
パソコンの
キーボードに・・・・・・・
血がポタポタと・・・・・・・・
ぐぁっ、鼻血で大出血だぁ~、ティッシュティッシュ!(汗)
住所: 八王子市元八王子町3-2715-2 国史跡八王子城跡管理棟(電話は市役所文化財課)
電話 : 042-620-7265
関連リンク
タグ
関連コンテンツ( 八王子城跡 の関連コンテンツ )
地図
関連情報