日野自動車本社・日野工場

サブタイトルの表記、ヌード写真ぢゃないですよ(笑)。
本来ベア・シャシと書くべきかもしれません。ボディを架装する前のシャシのことを云ったつもりです。
私が以前住んでいた多摩の一角、日野市といえば「日野自動車」。多摩でもいち早く工場誘致を進め工業化を推し進めた結果、世に「日野五社」と呼ばれる企業が工場を構え、街の発展に寄与しました。
神鋼電機(現在は撤退)
オリエント時計(こちらも事実上撤退。現在セイコーエプソンの工場に)
富士電機
小西六(現在のコニカミノルタ)
そして日野自動車です。
ディーゼル車規制に伴う買換え特需と相俟って国内最大のシェアを維持。業績も順調で工場を出入りする自動車の数も多く、活況を呈しています。
日野市には「日野」駅もありますが、その先の「豊田」駅も日野市内に位置します。日野がトヨタ傘下にあるから、というわけではありません(笑)。正確には「とよだ」と読みます。豊田駅の南側は多摩川の支流・浅川の河岸段丘になっていて、いまでも豊富な湧水に恵まれ田んぼをやっている農家がちらほら。豊穣な土地だったから「豊田」になったものと思われます。
ご存知の方も多いと思いますが、日野や日産ディーゼル、三菱ふそうといった。いわゆる「トラックメーカー」は、シャシやエンジンの生産を担当する会社であって、「ダンプカー」のティルトする荷台部分や「タンクローリー」のタンク部分は、別の会社が製作します。多摩近在で言えば「立川飛行機」(戦前は「隼」を生産した飛行機メーカー)が有名でしょうか。そのほかでは先ごろ東急車輛の特装車部門を併合することが決まった新明和(こちらは現在も飛行艇を生産する旧川西製作所。二式大艇や紫電改を生産)・パブコ・コマツなどがあります。
バイパスなどで、キャブだけで荷台のないトラックが仮ナンバーをつけて走行しているのを見掛けることがあるでしょう。これらは、日野や日産ディーゼルの工場を出発して、ボディーメーカーに向かう途中の状態なのです。
概ね最低限キャブだけは架装された状態で出荷されますが、仕様の問題で国内では架装されず、シャシのままで輸出される場合があります。小型トラックなどでしたら部品状態でコンテナ梱包し出荷できますが、大型バスのシャシなど、組上げた状態では運搬すること自体が困難な場合は、どうするのでしょうか。
その答えは・・・・・
冒頭画像の状態のまま、公道を走って出荷されます。
滅多に出くわすことはありませんが、衝撃的なのを通り越して笑ってしまいます。
アメリカの古いアニメなどで、クルマで追いかけっこしている最中にぶつかったり大爆発したりして、最後にはシャシだけで逃げるようなギャグがありますが、まさにその状態(笑)。
回送ドライバーは、上下つなぎのレーシングスーツ様の服を身につけ、フルフェイスのヘルメットを被ります。シャシにはステアリングとペダル類が出ている(生えている?)だけで、身を守るものは何もありません。
ドライバーは木箱にしかみえない椅子にちょこんと腰掛け、さっそうと風を切って走り去っていきました。
後で聞いた話ですが、トラックメーカーには「回送キット」のようなものがあって、最低限のターンシグナル・ブレーキランプなど灯火類と腰掛け(再度言いますが、どう見ても単なる木箱)などが一式そろっていて、納品先に着くと全て取り外してドライバーと一緒に回収するそうです。ちなみに、公道を走る以上は自賠責保険もしっかりかけてあるとのことでした。
しかしそれにしても、何の防護もないシャシにたった一人座って、結構な長距離を走らなくてはならない、なんて幾らクルマ好きの私でも多分できないですね~。
日野自動車のプロドライバーさんの根性には、ほんと脱帽です。
そんな手間をかけて輸出されたシャシが、末永く活躍することも願って止みません。
住所: 東京都日野市日野台三丁目1-1
電話 : 042-586-5111
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