板倉東洋大前駅

「鶴が羽ばたく姿」と形容される群馬県の県土。太田市辺りから南東向きに延びる「鶴の首」の先端、まさに嘴に位置するのが板倉町で、板倉東洋大前駅はその町内でも最東端に近い位置にある。
開発が進められていた板倉ニュータウンと、ニュータウン内に誘致された東洋大学板倉キャンパスへのアクセス手段として当駅が地元請願により開業するまでは、東武日光線は群馬県内(といっても僅か3km余り)を通過するだけで駅がなかった。東武日光線で群馬県内にある駅は、後にも先にもこの駅が唯一。
別項でご紹介した埼玉県加須市の柳生駅~群馬県板倉町の当駅~栃木県栃木市の藤岡駅と、一駅ごとに県が変わるユニークな区間となっている。
流域面積日本一の大河・利根川と渡良瀬川に挟まれた低地が広がるこの地は、当然に水の便が良く、川が運ぶ肥沃な土が堆積しており古くから稲作が盛んな場所だった。
数年に一度発生する水害で収穫を全てを失うリスクはあるものの、他の地域の数倍に及ぶ収量を揚げられ、1・2年収穫できなくても食いつなげられることから連綿と耕作が続けられてきた。
農民たちもただ荒れ狂う洪水に運命を委ねるだけでなく、住居の一部を盛土した高台に置き、蔵の軒先には避難用の小船を準備して身の安全を確保。倉庫内は相場水準の低い麦を下段に、高い米を上段に積むことで、もし倉庫まで水没してしまった場合の損害を可能な限り低減する工夫を凝らしていたという。
ダムや堤防が整備された現在でも、洪水のリスクは全く減っていない。
大雨が降り、利根川・渡良瀬川の水位が上がってしまうと、板倉町周辺の低地に降った雨は行き場を失い滞留する。そればかりか、利根川・渡良瀬川から逆流した水が板倉町内を流れる谷田川に逆流し、低地に溢れ出す。
戦後混乱期の日本を襲ったカスリーン台風(1947年)では町内で5m以上も浸水した場所があり、水が退くまでに3週間を要した。ごく最近国土交通省が試算した被害想定でも、谷田川の堤防決壊・排水ポンプ場の停止という最悪の状況を前提にしてはいるが、板倉ニュータウン内で5m前後の浸水を見込んでいる。
谷田川の洪水を抑えるべく、国土交通省は4箇所のポンプ場を配置。板倉町周辺に滞留する水を、強制的に利根川・渡良瀬川へ排水できるようにしている(他にも農林水産省1箇所、群馬県1箇所の排水機場がある)。
4箇所のうち、国土交通省直轄のポンプ場としては全国でも最も古く、谷田川の最下流で渡良瀬遊水地(谷中湖)を通じて渡良瀬川への排水を担う"最後の砦”、「谷田川第一排水機場」の更新工事が先ごろ竣工した。
従来のディーゼルエンジンでポンプを駆動する方式を止め、最新の「立軸ガスタービンエンジン」でポンプを駆動させる方式を採用。排水能力の向上と設備のコンパクト化、維持コストの低減を図っている。
板倉ニュータウンで暮らす人々や、重要な移動手段として機能している東武日光線が洪水に沈むことのないよう、万全を期して治水対策にあたってほしい。
住所: 群馬県邑楽郡板倉町朝日野1丁目1-1
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