鳥取自動車道佐貫大橋
「ゆずり車線」を走行していたキャンピング・トレーラーの責任問題
2016年07月24日

2015(平成27)年8月4日1045時ころ、夏休みの休暇を愉しむべく鳥取自動車道下り線を目的地へ向けて急ぐクルマが、凄惨な事故を起こしてしまった。
千代川を越える佐貫大橋の手前で終わる「ゆずり車線」から本線に戻ろうとしたキャンピングカーを避けきれず、女性が運転する後続の普通乗用車が対向車線へ逸脱し軽ワゴンと衝突、普通乗用車に同乗していた3人が死亡・軽ワゴンの男性ドライヴァーと普通乗用車の女性ドライヴァーが負傷した。
一方で「キャンピングカー」は、女性が運転していた乗用車および対向の軽ワゴン車とは全く接触しておらず、当然に死傷者は出ていない。
しかし事故を惹き起こす原因を生じさせたとして、法的責任を問われ書類送検された。
報道では、「ゆずり車線」から合流してきた車輌は単に「キャンピングカー」としか記されていない記事が多い。
それでは当事車輌の形態(自走式か牽引式か)が読み取れないが、他コンテンツを参照して調べると、乗用車に牽引されたトレーラーであったようだ。
別項の通り、かつて同様の車輌を保有して愉しみ、現在でも牽引を続けるドライヴァーとしては他人事ではない。
確かに形式的には、優先車線を走っていた普通乗用車の進路を妨害したキャンピングカーの責任を否定し難い。その点に関しては異論はないのだが、一方で「事故を防げたか」という観点で状況を眺めてみると、キャンピングカーのドライヴァーを責めるのは酷な気がする。
事故発生の状況を推察するに
①女性が運転する乗用車が猛スピードで追いついてきた
②ほぼ並走するような状態でキャンピングカーに割り込まれた
③その他(2車線道路と勘違いし進路を譲ったつもりが反対車線に飛び出した…等)
③なら明らかに女性側のミスと言える。もしかして「キャンピングトレーラー」なる車種の存在を知らずに、「ゆずり車線」を先行しているのは車間を詰めて走っている乗用車+ワンボックスカーと見做していたなら、ワンボックスが減速して避けてくれるもの…とでも思ったか。
戻って①も、速度超過なら女性側の責任大。②は微妙であるが、フルブレーキで回避するなど女性側の対処如何で防げた可能性が高いように感じる。
そもそもキャンピングカーのドライヴァーは、機敏に走れない自車の走行性を真摯に理解し、マナー良く「ゆずり車線」に退避、車線減少に伴って合流を強いられただけのこと。走行車線を走るドライヴァーは、優先車線だからと意地を張るのではなく、僅かな区間でも進路を譲ってくれていたことに感謝してスムーズな合流に協力すべきなのではないか。
高速道路の構造や、そこを走行する車種の多様さ、そして「ゆずり車線」の存在と意味について、女性ドライヴァーが十分理解していれば、事故は防げたように思う。
彼女も法律違反を問われて送検されたようだが、最大の罰は同乗していた3名、即ち夫と2人の息子を死なせてしまったことだろう。
「軽自動車の燃料は軽油だと思った」と、誤給油をやらかすような低劣なリテラシーで、他者の命を奪いかねないクルマのハンドルを握るドライヴァーも多い。
複雑な交通法規の一言一句、世界に誇る工学技術の塊である自動車の仕組み、同じく高度な土木テクノロジーを駆使して整備される道路の構造を、全て完璧に理解せよ、とは言わぬ。
それでも自動車や道路について、社会的・技術的に知識を得、理解を深めていくことは、即ち事故を減少させることにも繋がるのだと考える。
住所: 鳥取県鳥取市河原町八日市 ※電話番号は当該区間を管理する国土交通省鳥取河川国道事務所
電話 : 0857-22-8435
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