2013年07月05日
さて、ピストンクリアランス(P/C)の話をしたか、しなかったか
EP71スターレットの2E-TのP/Cは 0.04-0.06mm
EP82,91スターレットの4E-TのP/Cは 0.10-0.12mm
さらに、ヴィッツの1NZになるとP/Cは 0.045-0.068mm
ついでに、シビックB16Aでは 0.04-0.06mm
さらについでにホンダカブでは 0.04mm
スターレットのピストンクリアランスは広いのである
しかも、0.10-0.12mmとか
はんぱなく広い
調べてみると、昔の鍛造ピストンではこれくらい広かったとのこと
原因は材料らしい
とっても膨張するのだ
鉄よりもアルミの方が熱による膨張率が大きいのです
シリンダーとか、シリンダースリーブの材料は鉄系
ピストンはアルミ系
ならば、熱膨張によってクリアランスが狭くなることは
あらかじめ考慮せねばなるまい
よって、
ターボで発熱量の大きい2E-Tでは 0.04-0.06mm
さらに、4E-Tでは 0.10-0.12mm
ならば、
さらに出力を上げようとするならば
クリアランスをもっと大きくする必要がある?
さて、ここでアホな経験がものを言うのだが
2E-T、
ローコンプ(圧縮比7.5)、
ノーマルタービンアクチュレス仕様(ブースト1.8kg/cm2)
で乗っていたことがありました
ノーマルタービンアクチュレス仕様とは、
アクチュエーターが作動しないようにして
ブースト青天井な仕様のことです
71タービンでは1.8kg/cm2のブーストがかかります
91タービンでは1.6kg/cm2くらい
5速クロスミッションと合わさって
それはそれは日常の仕様に難がある車両でした
ダート車だったのは禍いで、
ダートコースでは4速までホイルスピンが続きます
ぬれた路面の舗装路でも、やっぱり4速までホイルスピンです
内装もほとんど着いておらず、
「C車ですか?」と問われたのはちょっとした自慢話
この宮城ナンバーが目に入らぬか!と思ったり思わなかったり
最後は、シリンダーヘッドボルトが耐えきれずに伸びてしまいオイル漏れ
乗り続けることは許されない仕様なのでした
今度は強化シリンダーヘッドボルトで組む予定です
このエンジンのピストンクリアランス、
測っておいて良かったな〜 と今さらながら思います
P/Cは 0.06mm でした
ならし運転後にトラブルが発生して
(ピストン棚落ち、原因はピストンピンのクリアランス不良でした)
ピストン&コンロッドをセットで交換したのでした
その際、3つの気筒ではピストン、シリンダーともに異常なし
クリアランス不良のシリンダーにのみ縦傷
なお、クリアランス 0.05mm で組まれていたオーバーホール前では、
シリンダーの遍摩耗は無し
これが、低温時のクリアランスが小さいことの成果でしょう
こんな経験をしていると、
「P/Cは 0.10-0.12mm だから よろしくね〜」
とか言われても素直に従えないのです
悩みに悩みながら、ひとまずジャーナルメタルを発注
いつもの営業のひとに言われるがままに案内され、
「ピストンで悩んでいるんですよ〜」
と打ち明けると、
ピストンの材料の話から、燃焼室形状の話から、
足回りやボディの設計思想の変遷までさまざまなお話をいただけました
「若者たちに違法改造をしろと言うわけではないけど、
自分でちょっと手を加えることで良くなることの喜びに触れて欲しいな〜」
とのご意見を聞きました
ちなみに、
「ターボとかが出るちょっと前くらいが楽しかったよね〜」
とのこと、それは53年排ガス規制以前くらいのことでしょうか?
なるほどなるほど、人によって感慨を感じる対象って違うもんだよなあ
そんなわけで、データ収集の基本
ひとまず正規の値で組んでみます
それにしても、ピストンが 6,000円 というのは予想通りでしたが、
メタルが1セット 3,000円 !!??
どんだけ技術がつまってんだよ??
と思いましたが、昔は 2,000円 程度だったようです
それは、5Eだから? 需要が少ないから?
生産中止も近いのでしょうか?
けれども、一度中止されても、けっこう再生産するしなあ
わたしは3年前、全国に残っていた 2Eエンジンオーバーホールキットの
残り3つを買い占めたことがあります
そういえば、4AG用のe-manageハーネスの最後1コも私でした
ついでに、2E と 4E ではクランクメタルの形状が違います
アッパーメタルにオイル溜めの溝が付いています
2E のオーバーホールの際には 4Eメタル がおすすめ・・・
などと、マイナーすぎる情報は不要でしょう
最後に、ここまで読んでくださった方へ
感謝の気持ちを込めてアドバイスを
EP82,91の特にターボにお乗りの皆様へ、
冷間時のピストンクリアランスが小さく設計されています
十分に、とは言いません、少しだけでも暖気をしてから
走り出してあげてください
純アルミと純鉄で計算して良いかわからないけど、
10℃の温度上昇で、ピストン径が+0.01mm、シリンダー径が+0.005mm大きくなりそう
シリンダー温は水温とほぼ同等と考えると、
ピストンスカートの温度が50℃くらい上がるまで
ならば、アイドリングでの暖気は 30秒 とか 1分 くらいでも良いのかなあ
Posted at 2013/07/05 12:35:02 | |
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